最新の大容量冷蔵庫は、省エネ性能が非常に高く、生鮮食品などの傷みやすい食品も長持ちするものが多い。今回は代表的な4社から、幅68.5cmで600L超えのフラッグシップモデルを比較。主に冷蔵室、野菜室、チルドルームなどで実際に食品を保存し、その状態と使いやすさや、お手入れのしやすさをプロ家電レビュアーの石井和美さんがチェック。フラッグシップモデルはユニークで便利な機能が充実しているので、独自機能にも注目してほしい。
・「冷蔵室の鮮度保持」では、キャベツときゅうり、ハムのサラダをラップなしで「中」の温度帯で3日保存し、状態をチェック。
・「野菜室の鮮度保持」では、上段にパプリカ、しいたけ、きゅうり、下段にほうれん草を入れ、途中で何回か扉を開けながら1週間置き、鮮度をチェック。
・「チルドルームの鮮度保持」では、各モデルに搭載されている特徴的な保冷機能を使用し、豚の挽肉を3日間保存し、変色などの状態をチェック。
・「使いやすさ」では、デッドスペースになりやすい上段の使いやすさを中心に、特徴的な工夫があるものに加点。
・「お手入れ」では、操作のしやすさ、掃除のしやすさに注目。特に汚れやすい箇所などを中心に、工夫があるかどうかをチェック。
・「独自機能」では、他にはない便利な機能へフォーカス。先進性なども含めて評価し、実用性が高いものはより高評価とする。
冷蔵室は冷気がまんべんなく行き渡る構造に進化
Brand 東芝ライフスタイル
Item GR-U600FZS
price 29万円
spec
本体サイズ(約):幅685×奥行745×高さ1833mm
質量(約):130kg
年間消費電力量:252kWh/年
定格内容積:600L
「東芝ライフスタイル GR-U600FZS」の特徴
プラスチック製の冷蔵室内奥のダクトカバーに、熱を吸収し素早く冷やすヒートシンク効果を利用したアルミ製の「メタリッククールパネル」を新採用。さらに、冷気が冷蔵室内にまんべんなく行きわたり、より均一に冷却されるよう、冷気吹き出し口形状を最適化している。これらふたつの効果と、独自の「新鮮ツイン冷却システム」との相乗効果により、冷蔵室内をチルドルームと同等の約2℃、高湿度約85%以上の最適な食品保存環境を実現した。また、聞き取りやすい音声で冷蔵庫の状態を知らせてくれる「音声アナウンススピーカー」も搭載しており、使い勝手も優れている。
CHECK!「冷蔵室の鮮度保持」
細く切ってあるキャベツはほぼ乾燥が見られず、指で持ってもしっとりしている。一方、ハムは変色や乾燥なども見られず、ラップなしで3日間も保存したとは思えないほどうるおっている。
CHECK!「野菜室の鮮度保持」
上段、下段ともに1週間経過しても野菜はうるおいを保っている。特にカットして「使い切り野菜BOX」に入れておいたパプリカも断面に乾燥などは見られない。
CHECK!「チルドルームの鮮度保持」
「氷結晶チルド」で保存した豚の挽肉は、やわらかい状態のまま。変色はなく、鮮度を維持している。スプーンですぐにくずして使えるので、解凍する手間がなく、すぐに使える。
CHECK!「使いやすさ」
一番上の棚は天地が比較的狭く、350mLサイズの缶を立てておける。背が低い女性だとワンタッチでドアポケットの高さを変えられるフリードアポケットも使いやすい。
CHECK!「お手入れ」
野菜室には、野菜くずをサッと掃き出せる穴の「おそうじ口」があり、掃除しやすい。また、引き出しの手を引っかける部分は、ゴミが落ちてもすぐに拭きとれる形状でうれしいなど、細かい部分でいろいろな工夫がある。
CHECK!「独自機能」
冷蔵庫にスピーカーが搭載されており、音声アナウンスが便利だ。半ドアアラーム、給水タンクの残量通知など、声で知らせてくれるのでわかりやすい。
低温でも高湿なので鮮度保持は別群
ラップなしでも乾きにくい冷蔵庫
今回使用した4モデルの中でも“鮮度保持能力”は抜群だった。野菜はしおれたり、乾いたりすることがほぼなく、1週間保存後も鮮度がよかった。使いかけの野菜も「使い切り野菜BOX」に入れておけば、ラップなしで断面のうるおいはキープしたまま。野菜をたくさん使う家庭にぴったりの冷蔵庫といえるだろう。
他にも、冷蔵室は冷蔵室内をチルドルームと同等の低い温度帯(約2℃)で保存できるようになったこともポイントだ。温度が低くなると乾燥しやすくなるものもあるが、きちんと湿度を保つので保存したサラダの状態もよく、乾燥や変色も見られない。チルドルームも「氷結晶チルド」にして保存した挽肉は、凍らせない状態で変色もなく、同じく保存状態がよかった。全体的に鮮度保持については優秀な結果だ。
また、使い勝手についてもよく考えられている。庫内のLEDが明るく、見渡しやすい。スピーカーの音声アナウンスもわかりやすく、声で確認できるのは意外に便利だった。冷蔵室にはチューブ類を立てて入れる場所があり、冷凍室には整理しやすい仕切りなども設けられているなど、整理整頓が苦手な方にもおすすめ。ただ、一番上の棚が高いので、背の高さによっては奥の食材が取りにくいと感じるかもしれない。
鮮度保持と使いやすさのバランスがよく、特に生鮮食品をまとめ買いする方に合っている冷蔵庫だ。
製品貸与:東芝ライフスタイル