MENU
search icon
media
Beyond magazineでは
ニュースレターを配信しています
検索
Tags
  1. TOP/
  2. ANNEX/
  3. スマホの充電「分」時代!モバイルバッテリー不要なスマホが次々登場
ANNEX

もう「充電待ち」とサヨナラ!

スマホの充電「分」時代!モバイルバッテリー不要なスマホが次々登場

author: 山根 康宏date: 2022/05/19

 
リモートワークが一般化し、鉄道会社の終電も早まったことで夜は自宅でゆっくり過ごす、という人も増えているだろう。だが、映画を見ながら寝入ってしまい、朝起きたらスマホの電池がゼロになっていた、なんてことは今でも誰もが経験することだろう。
またそんなときに限って、スマホと一緒に持ち歩くモバイルバッテリーの充電も忘れてしまうことが多い。

realme GT Noe3は「分単位」でスマホ充電が完了する

しかし、もうこれからは朝のあわただしいわずかな時間でも、スマホの充電をしっかりと行える技術が当たり前になろうとしている。スマホの充電には早くても数時間かかることが一般的だが、最新の技術では分単位の時間があれば十分なのだ。

realmeが2022年2月にグローバル向けに発表した「realme GT Neo3」は世界初の150W急速充電に対応するスマホだ。アップルの「iPhone 13」の急速充電は20Wなので、その7.5倍も高速に充電できるのだ。realmeが独自に開発したUltra Dart Charging Systemにより4500mAhの内蔵電池を5分間でゼロから50%まで充電することができる。満充電には10分を越える時間がかかるようだが、家を出るときに5分間で50%充電できればオフィスや出先に到着するまで十分だろう。

150WのUltra Dart Charging Systemは充電中に電池の温度が高温になったときは充電速度を抑えるといったコントローラーが内蔵され、電池には複数の温度計が配置されている。また1600回の充電を繰り返しても電池の劣化は80%に留まるという。1日2回充電したとしても800日、約2年間使い続けても電池は十分な性能を維持してくれるのだ。ralmeはしっかりとした安全対策と劣化防止を他のメーカーに先駆けて実現したのである。

スマホの電池をいかに長持ちさせるか、各メーカーは技術を競い合ってきた。一昔前なら単純に電池容量を大きくすることで対応をはかっていた。数年前なら5000mAhの電池は超特大サイズという印象があったが、今やどのメーカーも4000〜5000mAhクラスの電池搭載が当たり前になっている。より電池の持ちを伸ばすにはさらに大きい電池を搭載すればいいだろうが、重量が増してしまうためこれ以上の大型化は難しいのが実情だ。

サムスンの「Galaxy M62」は7000mAhの電池を搭載。だがこれ以上の大型化は難しい

そこで各社が取り組んでいるのが電池を高速に充電する技術だ。この技術はスマホの心臓部であるチップセットを開発しているクアルコムが「Quick Charge」という技術を2013年に発表した。クアルコムはその後も毎年のように急速充電時間の短縮を図り、Quick Chargeの技術を高めていったが、中国のスマホメーカーはその動きに遅さを感じ、自社で独自に技術開発を進めていったのだ。

中国スマホメーカーの急速充電で有名なのはOPPOの「VOOC」で、2014年に発売した同社のスマホ「R5」に搭載。R5は「5分の充電で2時間通話」をキャッチコピーに中国で大人気となった。VOOCは中国メーカーが海外メーカーにも負けない技術を開発できることも大きくアピールし、OPPOはその後大きく躍進することになる。

大手メーカーに先駆け独自急速充電を搭載したOPPO「R5」

OPPOに負けじと他のメーカーも急速充電技術の開発に取り組み、シャオミが急速に追い上げている。日本でも2021年11月から販売中の「Xiaomi 11T Pro」は120W充電に対応し、100%の充電に必要な時間は17分だ。たとえば起床してから洗顔、着替え、朝食を済ませるのにどんなに早い人でも20分以上はかかるだろう。Xiaomi 11T Proは朝の外出準備時間中に満充電できてしまうのだ。

シャオミは2022年1月にグローバルで発売した低価格モデル「Redmi Note 11 Pro+ 5G」にも120W充電を搭載し、この急速充電技術を一部のハイエンドモデルだけではく、普及モデルにも広げようとしている。すでにスマホの充電「10分単位」は現実のものになっているのだ。

Redmi Note 11 Pro+ 5G。シャオミは120W急速充電を普及モデルにも拡大

realmeに続き、OnePlusからも150W充電に対応した「OnePlus Ace」が2022年4月に発表された。このモデルはrealme GT Neo3の兄弟モデルで、仕様を一部変えた製品である。またOPPOも同じく150W充電に対応したスマートフォンを近日中に発表予定だ。実はOPPO、OnePlus、realmeは同じグループ会社であり、それぞれ「カメラフォンから大衆向けモデル」「ハイエンド」「普及モデル」と製品ターゲットを変えて各国で製品展開をしている。

OnePlus Aceも150W充電に対応

日本ではまだOPPOのスマートフォンしか販売されていないが、いずれOnePlusやrealmeの製品が投入される可能性は大いにあるだろう。そして急速充電が当たり前になれば、もはやモバイルバッテリーを別途充電したり持ち運ぶ必要もなくなり、ポケットに急速充電器とUSBケーブルだけを忍ばせておけば出先でもすぐにスマホの電池を充電できるようになる。これは地球環境にも優しいといえるだろう。そしてシャオミは200W、OPPOは240Wとさらなる急速充電技術を開発中だ。スマホを分単位で充電する時代は、あと数年もすれば確実にやってくるのだ。

スマホの急速充電技術はさらに進む
author's articles
author's articles

author
https://d3n24rcbvpcz6k.cloudfront.net/wp-content/uploads/2021/04/028.jpg

携帯電話研究家
山根 康宏

香港在住。最新のIT・通信事情を取材するため世界各国の展示会・新製品発表会を1年中追いかけている。日本のメディアに海外事情の執筆記事多数。訪問先では現地取材と称し地元のキャリアや家電店を訪問し必ずスマートフォンを買い求める。最新のハイスペックモデルからジャンクなレトロ端末まで興味の幅は幅広く、時には蚤の市で20年前の携帯電話を買っては喜んでいる。1度買った端末は売却せず収集するコレクターでもあり、集めた携帯電話・スマートフォンの数は1700台を超える。YouTubeでは日本で手に入らないスマートフォンや香港情報を発信している。YouTubeチャンネルは「yamaneyasuhiro」。Twitter ID「hkyamane」、Facebook ID「hkyamane」。
more article
media
技術責任者のJake Dyson氏に製品コンセプトを聞く
ANNEX
date 2024/10/11