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縦動画に最適化された次世代スマホの正体

縦型至上主義! スマホ動画変革期に現れた「TikTokスマホ」

author: 山根 康宏date: 2022/09/28

カメラ性能を高めた「iPhone 14 Pro」が登場し大きな話題となっている。メインカメラの4800万画素という高画素数に加え、手ブレ補正「アクションモード」は手持ちでもブレない動画を撮影できる。だが、これら機能は、最近のスマホのトレンドにマッチしているだろうか? 今や空き時間があれば誰もがTikTokやInstagramの動画を見る時代になっている。そして、それらの動画は「縦向きの動画が主流」だ。縦動画こそが今のスマホでもっとも利用されるコンテンツになっているのである。

縦動画はスマホがあれば誰もが簡単に撮影して投稿することができる。でも、「自分の写る縦動画をきれいに撮ろう」とすると当然フロントカメラで撮影するわけだが、外側メインカメラに比べ画質が低く、室内などでは動画の仕上がりが暗くなってしまう。また、一旦は横画像で動画を撮影したものの、SNS投稿用に「縦動画で撮影すればよかった……」なんてことはないだろうか。

IFA 2022の会場では、縦動画の撮影に対応した最新スマホ、いわば「TikTokスマホ」と呼べる製品が展示されていた。

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縦動画撮影を意識した「TikTokスマホ」がIFA2022で目立った

フロントカメラに搭載された高画素カメラ

ファーウェイの「nova 10」「nova 10 Pro」はスマホのカメラの使い方を大きく変える、エポックメーキングな製品だ。nova 10は6.67インチ、nova 10 Proは6.78インチの画面を持つスマホである。メインカメラは5000万画素と高画質であり、800万画素の超広角カメラと200万画素の深度測定カメラも搭載。ワイド写真やボケを効かせたポートレート撮影も可能だ。だがnova 10にはほかのスマホにはない大きな機能が搭載されている。

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一見すると普通のスマホに見えるファーウェイ「nova 10 Pro」

それは、6000万画素という超高画質なフロントカメラだ。

つまり、nova 10はメインカメラよりもフロントカメラのほうが高画質なのである。これまでのスマホのカメラは「いい写真や動画はメインカメラで、セルフィーはフロントカメラで」という使い方が常識だった。

ところが、nova 10はもはや「写真も動画もフロントカメラで美しく撮影」できるのだ。TikTok用の動画を撮るときに誰かにスマホで撮影してもらう必要はなく、nova 10を自分の前に置き、フロントカメラを使いスマホの画面でプレビューしながら動画を撮れる。

フロントカメラは6000万画素と超高画質だ

高画質カメラなので若干暗い室内でも明るい動画が撮影できるのも長所だろう。他社のスマホでは室内でフロントカメラを使うと動画の画質が落ちることが多い。思いついたときにすぐにTikTokに高画質な動画をアップできるスマホはnova 10以外にないと言えるほどだ。

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nova 10(右)とnova 10 Pro。もうメインカメラは不要、フロントカメラだけで縦動画づくりができる

AIが自動で縦動画を生成!?

一方、HONORのTikTok対応は異なるアプローチをとっている。新製品「HONOR 70」の動画撮影機能は思いもよらぬアイデアを実現した。それは「ソロカット」という動画撮影モードで、文字通り1人分の動画を取り出すように撮影できる。

HONOR 70には5400万画素のメインカメラと5000万画素の超広角カメラ、200万画素の深度測定カメラを搭載されている。風景や大人数の集合写真を撮るときも超広角カメラで画質を落とすことなく美しい絵が撮影できる。HONORは、この2つの5000万画素クラスのカメラにAIを応用し、他社にはない動画機能を実現している。

ハイスペックなスマホ「HONOR 70」。こちらもカメラにヒミツがある

ソロモードでは、HONOR 70の画面の中に映る複数の人物に「+」のマークがつく。これはAIが人物を自動判別しているのである。そのまま動画撮影を開始し、画面内で子供が急に飛び跳ねたり、あるいは友人が面白い動きをし始めたら、その人物を画面上でタップする。すると、その人物だけを切り抜いた縦動画の撮影も同時に始まるのだ。

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5400万画素と5000万画素カメラを搭載し「ソロカット」が利用できる

AIは人物を常に判別しトラッキングもしてくれるので、左右に動いたり走ったりしても追いかけてくれる。一人だけを追いかけた縦動画は、あたかもスマホでその人だけを写したような動画が撮影できる。ソロカット録画終了後は、横動画と縦動画がそれぞれ別々に保存されるため、SNSの種類に応じて使いたい動画を選べばよい。

nova 10がセルフィーでTikTok動画を撮影する人向けであるのに対し、HONOR 70は友人や子供などほかの人の撮影して、面白い動きやバズりそうな絵をTikTokにアップしたい、という人向けの機能ともいえる。動きのある人物をAIが自動で縦動画にしてくれるソロカットは今のところHONORだけの特徴的な機能である。

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動画撮影中、真ん中の女性をタッチすると、右側に縦動画の枠が現れ、全体動画と縦動画を同時に撮影できる

L字に曲がる置き型縦動画

さて、縦動画撮影に向くスマホはほかにも出展されていた。サムスンが8月に発表し、日本では9月末に発売となるサムスンの「Galaxy Z Flip4」だ。縦に折りたたみ、コンパクトな大きさに変形するスマホだが、本体をL字型に折り曲げて使うこともできる。そのためテーブルの上や床の上にL字型にしたGalaxy Z Flip4を置き、動画撮影をスタートすれば一人でも簡単に縦動画を撮影できるのである。

縦動画が撮りやすい「Galaxy Z Flip4」

また、動画を見たいときに、やはりL字に曲げて机の上に置けばスタンドもいらない。食事しながら動画を見たい、PCを使いながら動画を見たい、なんてときもポケットからGalaxy Z Flip4を取り出して本体を折り曲げて机の上に置くだけだ。スマホの画面が折り曲げられるだけで、使い方も大きく広がるのだ。

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動画を楽しむなら縦折りスマホが便利だ

スマホは年々画面サイズが大型化し、カメラ性能もデジカメを口するほど高性能になった。だが、スマホの使われ方は年々変化しており、トレンドも変わりつつあるのだ。今やどのメーカーのスマホも上位モデルであれば「サクサク動いてきれいな写真が撮れる」のは当たり前のこと。

これからの時代は、縦動画の撮影・視聴することに最適化された機能が求められるようになるだろう。IFA2022で見かけた3つのスマホは、そのトレンドを一歩も二歩も先取りしているのである。

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携帯電話研究家
山根 康宏

香港在住。最新のIT・通信事情を取材するため世界各国の展示会・新製品発表会を1年中追いかけている。日本のメディアに海外事情の執筆記事多数。訪問先では現地取材と称し地元のキャリアや家電店を訪問し必ずスマートフォンを買い求める。最新のハイスペックモデルからジャンクなレトロ端末まで興味の幅は幅広く、時には蚤の市で20年前の携帯電話を買っては喜んでいる。1度買った端末は売却せず収集するコレクターでもあり、集めた携帯電話・スマートフォンの数は1700台を超える。YouTubeでは日本で手に入らないスマートフォンや香港情報を発信している。YouTubeチャンネルは「yamaneyasuhiro」。Twitter ID「hkyamane」、Facebook ID「hkyamane」。
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