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「グラベルバイク」を知っているか⁉︎

自転車もクロスオーバーで行こう!

author: 佐藤 旅宇date: 2022/01/25

乗用車の主流がセダンからミニバンやSUVへと移り変わったのと同じように、スポーツサイクルの主流も時代とともに変わっている。これまでになかった新たなカテゴリーが台頭し、各メーカーのラインナップは10年前と様変わりしているのだ。ここでは、そんなスポーツサイクルの「いま」を解説しよう。

近年になって目覚しく発展したカテゴリーのひとつが「グラベルバイク」だ。これは舗装路のほかにグラベル(砂利道)も走れるように作られたスポーツバイクのこと。

未舗装を走るスポーツバイクといえば、多くの人がマウンテンバイク(MTB)を真っ先にイメージすると思うが、アップダウンやカーブの多いテクニカルな未舗装路を想定したMTBに対し、グラベルバイクは主にフラットな未舗装路を想定して設計されている。だからMTBに装備されているサスペンション構造を持たないモデルがほとんどだ

グラベルバイクは絶対的な悪路走破性や運動性はMTBに敵わないが、舗装路&フラットな未舗装路をMTBよりもハイアベレージで走れ、ロングライドも快適にこなせる。クルマでいうところのクロスオーバーSUVのようなコンセプトなのである。

こちらが筆者愛用のジャイアント・タフロード。グラベルバイク黎明期に登場した旧いモデルではあるが、軽量かつ高剛性なリジットフレーム(サスペンション構造を持たない車体のこと)と径の大きな29インチタイヤが抜群の走破性と高速巡行性能を発揮してくれる。

ただし、自転車が日常的な移動手段として活用される日本の都市部では、未舗装の道自体があまり存在しない。ではなぜグラベルバイクが人気なのかといえば、幅広いシーンを平均点以上にこなす、優れた「汎用性」が支持されているから。

例えば、グラベルバイクは一般的なロードバイクやクロスバイクと比べると、太いタイヤが標準装備されている。接地面積が大きい太いタイヤは荒れた道や濡れた路面でも安定して走れるほか、衝撃吸収性が高いので乗り心地に優れ、パンクもしにくい。また、都市部のライドでは交通事情によって止むなく車道から歩道へ上がるケースも多いが、タイヤが太いと段差の乗り越えだって安全に行えるのだ。

デメリットタイヤが太くなると路面抵抗が増して走りが重くなる(加速性が鈍る)というデメリットがあるが、最近は車体やタイヤの性能が進化しているため、絶対的に重さを感じるようなケースはほとんどない。

もちろんレースで使うなら、ロードバイクやMTBといったそれぞれの分野に特化したモデルが理想だが、週末のレジャー&日常の足として使うならこれほど便利なスポーツバイクもない。僕自身、ここ数年はジャイアントのタフロードというフラットハンドルのグラベルバイク(残念ながらすでに絶版)を愛用しているが、その万能性に絶大の信頼を寄せている。日々の移動から、1日100㎞を超えるロングライド、MTBのダウンヒルコース、キャンプツーリングまでこれ1台でこなすほどである。

最近はクロスバイクなど、既存のカテゴリーにもクロスオーバー性を盛り込んだモデルが多くなってきた。そうしたモデルも含め、10万円以下の買いやすい価格帯の中からピックアップして紹介したい。

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あらゆる道をハイアベレージで駆け抜ける

スペシャライズド・ディヴァージュ ベース E5
15万9500円(※価格はすべて税込み)

軽量なアルミフレームにカーボンフォークを組み合わせたスピード重視のグラベルバイク。深い前傾姿勢を可能にするドロップハンドルは高速走行時の空気抵抗を低減できるほか、握る場所を変えることで平坦や登り坂といった状況に応じた適切な乗車姿勢がとれる。長距離をハイアベレージで走りたいユーザーには必須のスペックだ。

フレームには47mm幅のワイドタイヤの装着が可能なクリアランスが設けられており、各部にはキャリアを取り付けるための台座も装備。さらに剛性の高いスルーアクスル方式のホイールを採用することで、ロードバイクでは不可能なタフなシチュエーションもこなす。

問:スペシャライズド
https://www.specialized.com/jp/ja

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現代のトレンドが反映された新世代のクロスバイク

ジャイアント・グラビエ ディスク
8万3600円

専用設計のアルミフレームに27.5×1.75サイズのややワイドなタイヤを装備した新世代のクロスバイク。雨天でも安定した制動力を発揮する油圧ディスクブレーキや急な登坂にも対応できる24段変速を搭載しながら、車重は11.6kg(465mmサイズ)と軽量に仕上がっている。

同社は、舗装路での走行性能を重視したエスケープシリーズという定番クロスバイクもラインナップしているが、より多目的な用途を求めるならこちら。また、汎用性に優れたスポーツバイクというのは乗りやすく扱いやすいもの。テクニックに不安のあるビギナーにもおすすめ。

問:ジャイアント
https://www.giant.co.jp/giant22/

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ブロックタイヤを標準装備する異色の小径車

ライトウェイ・グレイシアブロック
7万3480円

小径車でありながら丈夫なアルミフレームにディスクブレーキ、そして20×2.25サイズのワイドなブロックタイヤを装備する異色の一台。

小径タイヤは慣性が小さいためキビキビとした加速感が持ち味だが、路面の段差を拾って跳ねやすいという欠点もある。グレイシアブロックはエアボリュームの大きいタイヤを採用することでそのネガを解消。河川敷の砂利道など、普通の小径車では立ち入れないフィールドでもライドを楽しめるのが特徴だ。

コンパクトな車体は車に積載しやすいので、オートキャンプのお供としても活躍しそう。ステムにはスマートフォンを固定できるマウントが標準装備される。

問:ライトウェイ
https://www.riteway-jp.com/

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“街映え”するスタイリッシュさも魅力

キャノンデール・バッドボーイ3
9万9000円

シティライドに最適化されたスポーツバイクとして、すでに長い歴史を誇るバッドボーイシリーズ。ロードバイクの高速巡航性能とMTBのタフさを高次元で両立させたコンセプトはまさに今日で言うところのクロスオーバーなモデルだった。

最新2022年モデルは、強靭なアルミフレームに「レフティ」と呼ばれる片持ち式フロントフォークを組み合わせ、40mm幅のワイドタイヤと強力な制動力を発揮する油圧式ディスブレーキを装備。フレームのトップチューブ部分にラバー製のプロテクターを配し、ガードレールなどに立てかけても傷が付きにくいよう工夫されている。

問:キャノンデール
https://www.cannondale.com/ja-jp/

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アドベンチャーに誘うタフな仕様

マリン ニカシオ+

丈夫なクロモリ製フレーム&フォークに650×47Cというグラベルバイクの中でもかなり太めのスリックタイヤを採用するモデル。こうしたエアボリュームの大きいタイヤは悪路を安定して走れるほか、空気圧を上げ下げすることでタイヤの特性をシチュエーションに最適化できる点もメリット。ギアは9段変速とやや控えめなスペック。

ただし、フロントに変速機がなく、ナローワイドチェーンリングを採用しているため、チェーン外れなどのトラブルには強い。日常使用はもちろん、ハードな道をガンガン走るツーリングにも対応できる仕様だ。

問:マリンバイクス
http://marinbikesjapan.com/

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編集者・ライター
佐藤 旅宇

オートバイ雑誌、自転車雑誌の編集部員を経て2010年からフリーランスの編集ライターとして独立。タイヤ付きの乗り物全般や、アウトドア関連の記事を中心に雑誌やWEB、広告などを手掛ける。3人の子どもを育てる父親として、育児を面白くする乗り物のあり方について模索中。webサイト『GoGo-GaGa!』管理人。1978年生まれ。
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