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まだ地面にテント張っているの?

車中泊ならぬ車上泊!“ルーフテント”という新潮流

author: 佐藤 旅宇date: 2021/12/04

いまだに陰りが見えないキャンプブームですが、その潮流は目まぐるしく変化しています。やや過剰と思えるお洒落キャンプがインスタ発で過熱したかと思えば、その数年後には最小限のギアで自然との一体感を楽しむソロキャンプがブームになるなど、シーンは今も激しく揺れ動いております。そんななか、私が新たなスタンダードとなりそうなアイテムとして注目しているのが「ルーフテント」(ルーフトップテントともいう)です。

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「ルーフテント」とは、自動車の屋根の上に設置する折り畳み式のテントのこと。ひと昔前は、日本で入手できるルーフトップテントといったらイタリアの「AUTOHOME」ぐらいしかなかったと思うんですが、近年は国内外の様々なメーカーが手掛けており、15万円を下回るような安価なモデルも登場しています。

その魅力は、スペースに余裕のないコンパクトな車種でも、これを装着すればゆったりと車中泊(車上泊?)ができるようになること。さらにルーフテントは設営が簡単なため、誰でもイージーにオートキャンプを楽しめるといったメリットがあります。また、ミニバンや1BOX車など、広い室内空間をもつ車種に装着すれば3~5人のファミリーでの車中泊だって可能です。

10月にさいたまスーパーアリーナで開催された「アソビ×モビリティ」をテーマにしたイベント「アソモビ」でもルーフテントを装着した車両の出展が目立った。写真のルーフテントはルーフラックやサイクルキャリア等でお馴染みの「スーリー」のもの。

屋根の上なので、地面に張る一般的なテントと比べると見晴らし性は抜群。風通しも良いので夏場でも快適に過ごすことができます。ただし、地上とは梯子を使って行き来する必要があるので夜中のトイレやお酒を呑んだときは要注意。梯子を踏み外して転落したら怪我しちゃいます。

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さて、気軽にキャンプできる車というとキャンピングカーをイメージする方も多いと思います。もっともこちらは市街地での取り回しや、燃費などの面から普段使いが難しく、日常的に車を使用する場合はセカンドカーが必要になると思います。近年、都市部でキャンピングカーのレンタカー事業が多く登場しているのはそうした背景があるからです。

ルーフテントも車種によっては全高がアップしたことで立体駐車場に入れなかったり、空気抵抗が増えることで高速燃費が悪化したりといくつかデメリットはありますが、普段使いに決定的な支障をきたすことはありません。頻繁にキャンプに行くユーザーなら、メリットの方が圧倒的に大きいといえます。

ルーフテントには様々なタイプ&サイズがラインナップされている。一般的なテントと同じように組み立てるタイプや、写真のように外殻がポリカーボネートなどの樹脂でできていて、展開するだけで自動的に組み上がるものもある。

何せ原則的に日本で野営できる場所はほとんどありません。だからオートキャンプをする場合はオートキャンプ場やRVパークといった施設を利用することになるのですが、それだとキャンピングカーほど立派な設備がなくてもとくに不便ではなかったりします。ルーフテントだけでも充分に快適に過ごせてしまうんですね。

こちらは「フレックス・ドリーム」によるトヨタ「ランドクルーザー プラド」をベースにしたオーバーランドカスタム。オーストラリアのオフロードパーツブランド「ARB」製のルーフテントを装備する。どんな状況でもサバイブできそうなタフな佇まいが男ゴコロを大いにくすぐる。

前述した機能的なメリットの他にもカッコいい「スタイル」としても、ルーフテントは注目を集めています。

最近、SUVをはじめとする4WD車のカスタムシーンでは「オーバーランド」というカスタムスタイルが人気となっています。オーバーランドというのは、大陸の原野を車で巡る冒険的な旅のことを意味します。しかし、近年はそこから転じて、そうした旅を行うための車を指す言葉としても使われるようになりました。

すなわち、4WDのSUVやピックアップトラックに改造を加えて悪路走破性をさらに高め、そこにルーフテントやサイドオーニング(日よけ)といったキャンピング装備を与えた車のことです。

まあ実際のところ、日本で未舗装の原野を延々と旅するようなシチュエーションはまずあり得ませんが、普通の乗用車にはないタフなルックスがジープ・ラングラーやトヨタ・ランクルーザーといったヘビーデューティーな4WD車を愛好する人をひきつけているのです。

ベースキャリアさえ付いていれば新旧・大小に関わらず、ほとんど車両に装着できるルーフテント。愛車に取り付ければ、乗用車としての利便性を損ねることなくキャンピングカー並みの就寝機能を付与させることが可能。

一般的にはまだまだ変わり種のルーフテントではありますが、このままキャンプブームが継続すれば、このスマートなギアの魅力はいずれ多くの人に知れ渡ることでしょう。と、いうより最近のアウトドア系イベントに出展される車両にはすでにルーフテントの装着率が爆上がりしており、このままいくと車の正規ディーラーのオプションとして設定される日もそう遠くないのかもしれません。

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写真提供/flexdream ARB事業部

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編集者・ライター
佐藤 旅宇

オートバイ雑誌、自転車雑誌の編集部員を経て2010年からフリーランスの編集ライターとして独立。タイヤ付きの乗り物全般や、アウトドア関連の記事を中心に雑誌やWEB、広告などを手掛ける。3人の子どもを育てる父親として、育児を面白くする乗り物のあり方について模索中。webサイト『GoGo-GaGa!』管理人。1978年生まれ。
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