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ミライのスマホは画面が伸び縮みする

OPPO X 2021は世界初の「ローラブルスマホ」

author: 山根 康宏date: 2021/05/14

スマートフォンの画面をまげて畳むことのできる、「フォルダブルスマートフォン」の製品数が少しずつ増えている。日本ではモトローラが3月に「Razr 5G」を発売した。しかし海外を見れば次の新しい画面技術を採用したスマートフォンに大きな注目が集まっている。スマートフォンの画面を巻き取ることのできる「ローラブルスマートフォン」だ。

OPPOのローラブルスマートフォン「OPPO X 2021」

ローラブルスマートフォンは2020年3月末現在、2社が製品化へ向けての動きを展開している。その中でもOPPOは、2020年11月に6.7インチの画面を引き延ばすと7.4インチになる「OPPO X 2021」を中国で発表。最近になりその実機が海外でも公開されはじめた。

コンセプトモデルの「OPPO X 2021」

筆者の居住する香港でも、OPPO香港がメディア向けに実機のデモも開始した。なおOPPO X 2021はコンセプトモデルであり、このまま製品化される予定はない。しかし実機を触ってみるとその完成度は高く、このまま20万円、いや30万円でも売りに出してくれればぜひとも買いたいと思ってしまうほどだった。

OPPO X 2021を正面から見ると普通のスマートフォンにしか見えない。よく見てみると、画面の左側は側面にかけてカーブしたデザインになっている。本体の大きさは非公開だが、横幅は75mm程度で片手で十分に持てる大きさだ。このスマートフォンが横に延び、画面サイズが大型化するのである。

閉じた状態では6.7インチサイズのスマートフォンになる

左側側面に注目すると、極薄のスリットがあるのがわかる。ここから巻き取り式のディスプレイが出たり入ったりするのだ。本体下部には丸い棒の端が見えるが、この棒に巻きつくようにしてディスプレイが内側に収納される。これほどまでに精度の高い可動部品を作り上げるとは、OPPOの開発力には素直に脱帽せざるを得ない。

左側面のスリットからディスプレイが出入りする

ディスプレイを巻き取って収納する

ディスプレイの巻き取りはモーターで行なわれる。電源ボタンをダブルタップすると、本体が自動的に開いて7.4インチの大きさになるというわけだ。縦横比が約4:3のタブレットとなるため電子書籍も読みやすくなるし、2つのアプリを分割して表示することも楽にできる。

ディスプレイが伸びると7.4インチのタブレットになる

本体のスライド機構はモーターで動かすため引き出し・収納の速度は一定している。「櫛」のような切れ込みでお互いが組み合わさる2-in-1プレートと、本体を外側から支えるスライド式のダイナミックフレームを組み合わせ、収縮の動きはスムーズだ。薄い厚みの巻き取り式のディスプレイがしわくちゃになってしまう、なんてこともない。

ダイナミックフレーム部分。本体の動きがぶれないようにサポートする

折りたたむ方式のディスプレイは折り曲げ部分、すなわちヒンジ部分に折り目が付かないようにする工夫が必要だが、OPPO X 2021のローラブルディスプレイは側面スリットからディスプレイを緩く曲げて本体内に収納するので、折り目の心配はない。ローラーの部分の径は6.8mmあるので、ディスプレイの曲げ部分には十分な余裕がある。一方、折りたたみディスプレイの曲げ部分の径は1mm程度とかなり鋭角に折りたたまなくてはならないのだ。

背面側は斜めに分割、スライド機構をサポートする

ローラブルスマートフォンとフォルダブルスマートフォンを比べてみると、ローラブルスマートフォンは片手でも無理なくディスプレイサイズを自在に変えられるが、フォルダブルスマートフォンは両手で本体を開かなくてはならない。スマートな使い方ができるのはローラブルスマートフォンなのだ。とはいえディスプレイを巻き取って収納するとき、髪の毛や埃などを巻き込んでしまうとディスプレイに傷がついてしまう。OPPO X 2021を製品として販売するためには、表面強度が高く傷のつきにくいローラブルディスプレイを開発しなくてはならないだろう。

ディスプレイの表面強度を高めることが製品化の最大の課題だ

ローラブルディスプレイ搭載モデルの登場に期待が高まる

とはいえ、現時点でも持ち運び時にしっかりケースに入れるなどして気を使えば、十分実用性のある端末であると感じられた。またディスプレイが指先タッチだけで延びたり縮んだりするさまを見るのも楽しい。ディスプレイを畳めるフォルダブルスマートフォンが出てきたときも驚いたが、ローラブルスマートフォンはそれ以上の驚きと近未来感を与えてくれる。ローラブルディスプレイの開発はTCLも行なっており、もしかすると2021年中にそれを搭載したスマートフォンが出てくるかもしれない。ローラブルスマートフォンの製品化一番乗りはどのメーカーになるのだろうか。

ローラブルスマートフォンは未来を感じさせてくれる
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携帯電話研究家
山根 康宏

香港在住。最新のIT・通信事情を取材するため世界各国の展示会・新製品発表会を1年中追いかけている。日本のメディアに海外事情の執筆記事多数。訪問先では現地取材と称し地元のキャリアや家電店を訪問し必ずスマートフォンを買い求める。最新のハイスペックモデルからジャンクなレトロ端末まで興味の幅は幅広く、時には蚤の市で20年前の携帯電話を買っては喜んでいる。1度買った端末は売却せず収集するコレクターでもあり、集めた携帯電話・スマートフォンの数は1700台を超える。YouTubeでは日本で手に入らないスマートフォンや香港情報を発信している。YouTubeチャンネルは「yamaneyasuhiro」。Twitter ID「hkyamane」、Facebook ID「hkyamane」。
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