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隠し扉にターザンロープ!

都心に現れた一棟貸の「泊まれるテーマパーク」に行ってきた!

author: 堀 真菜実date: 2022/07/28

2022年GW、都内に「泊まれる遊び場」ができたという噂を聞きつけ、家族、友人と計9名で行ってみた。外から見ると普通の一軒家。しかし、ひとたび足を踏み入れると、海、街、滑り台、ターザン、海賊船、プラネタリウムと、テーマパークを凝縮したような空間が広がる。秘密の扉の向こうには隠し部屋、家のあちこちにはホストからの粋なギフト。1日ではとても遊び尽くせない仕掛けが満載だ。さらにこれを作り上げたホストの純粋な想いを聞いてすっかりファンになった。

トラベルプロデューサー堀 真菜実が、本当は教えたくないニッポン魅惑の秘境ガイド。今回は「都心に現れた泊まれるテーマパーク」を紹介する。

外観は、ごくごく普通の家。

早速ハウスへ潜入!

噂のハウスは「Holy Town(ホーリータウン)」という一軒家。見どころの多さと凝ったデザインに圧倒された私たちは、ひと息つく間もなく全室を駆け巡った。

一階のメインルームは、海がモチーフ。「これ、部屋にほしい!」と歓声があがったのは、ディズニーランドにありそうな波のデザインの二段ベッド。壁一面に魚が泳ぎ、トランポリン、室内を横断するターザンロープ、すべり台と遊具が揃う。

もはや部屋というより「泊まれるアスレチック」。
どこかから繋がるすべり台の出口。ベッドにダイブ!

続いて二階へ。「Holy Town」という名の通り、家のなかに街を作り上げてしまったらしい。ドーナツショップにシネマ、ベーカリーとアメリカンなネオン街が広がり、道路にはキッズサイズの車が走る。

レゴハウスに、ダーツ、カードゲームなど、おもちゃ箱に入り込んだようなフロア。

はしごを登ると、秘密のベッドルームが2つ。雰囲気はガラリと変わり、頭上にはプラネタリウムが煌めく。

星空に囲まれたベッドルームはまるで空飛ぶ海賊船。舵は実際に回すことができる。

屋上はプライベートテラス。近隣から見えないよう配慮された作りだ。大型のハンモックチェアに、おもちゃのキッチンが備え付けられたハウスが隣接。友人らはバルコニーの開放感を確認するやいなや、ビールを買い出しに向かった。

楽しさがこれでもかと詰め込まれた室内と打って変わって、広々とリラックスできるバルコニー。どちらも味わえるのが贅沢だ。

さらに、この家には、隠し扉を見つけなければ入れない部屋がある。「すべり台ってどこから滑るんだろう?」と入り口を探しまわる私を、先にチェックインした友人たちがにやにやと眺めていたのだが、同じ探検を是非とも味わっていただきたいので、ネタバレはこの辺にしておこう。

遊べるだけじゃないHoly Town

Holy Townは、1日1組限定のゲストハウスである。立地は東京都の高円寺と、アクセス抜群。近くの商店街にはグルメを唸らせる飲食店がずらりと並ぶため、食事には事欠かない。

アスレチックの裏、隠し部屋、隠し扉のなかなどには、全部で8台のベッドが隠れており、最大で14名まで泊まることができる。

もちろんWi-Fi完備で、洗濯機や乾燥機も揃う。キッチンには必要なものが一通り並び、ポップコーンマシンまで使い放題。水回りの清潔さは、正直言ってホテル以上。民泊サイトAirbnbのレビューで「文句の付けどころがない」という口コミが多数あったのも納得だった。

この唯一無二の遊び場はどうやって誕生したのか。仕掛け人でホストの堀野晃世さん(以下Akiさん)とお会いできたので、質問をぶつけてみた。

子どもがミニクレーンゲームに夢中になる横で、大人たちがスポンジ弾のピストルを撃ち合うカオスな空間

ワクワクを詰め込んだらこうなった

Akiさんが民泊に目をつけたきっかけは、東京オリンピックだった。インバウンド需要を見込んで参入を決めたが、ライバルが多いことも承知していた。だから「いっそ誰にも真似できないものを」と、自分がほしいものをすべて詰め込むことにした。子ども向けと思われがちだが、実はAkiさん自身が本気で遊べる場所を追求したのだそう。

「はじめは忍者屋敷を見に行ったり、からくり屋敷のオープンハウスイベントに参加して勉強しながら、ワクワクする要素を取り入れていったんです」とAkiさん。しかし、ゲストハウスまでの道のりは想像以上に長かった。

「作りたいものを決めたものの、からくり屋敷の作り方なんて知らないし、作れる業者さんもなかなか見つからなくて……施工してくれる業者さんに出会えるまで、3年もかかってしまったんです」。3年間も諦めないでいてくれたAkiさんに、宿泊者を代表して感謝を伝えたい。

結局、Akiさんが手がけた最初のゲストハウス「Holy House(ホーリーハウス)」が完成したのが、2020年12月。今回紹介するHoly Townはそれに続く第二弾で、2022年5月のオープンとなった。オリンピックには間に合わなかったが、妥協せずにこだわり抜いたからこそ、思い描いたものができあがった。

最初に手がけたHoly House。こちらも吊橋を見つけると辿り着ける部屋など、仕掛けが満載。

Holy Townのもう一つの魅力

建物や遊び場としての完成度はさることながら、実際に行ってみてわかったHoly Townの魅力は、部屋の端々に散りばめられた「遊び心」である。

今回の滞在では、エントランスにAkiさん直筆の手紙が置いてあり、「こちらの街にあるお菓子は全てご自由にお召し上がり頂いて結構です♡」とのメッセージ。

テーブルには何もないのだが、遊び始めるやいなや、家のいたるところから、「この宝箱なんだろう?」「見て、ここ開くよ!」「え! これ本物のお菓子!?」という驚きの声が挙がり、続々とギフトが見つかった。

家中を探し回ると、いたるところにお菓子やおつまみが!
ひとつは本物、ひとつはおもちゃというニクい演出。

また、私たちが宿泊したのはちょうど梅雨が明けて猛暑が始まった日だったので、かき氷器も嬉しいサプライズだった。

ポップコーンマシンやかき氷器の材料まで揃えてくれている!

原則、非対面チェックインのHoly Townであるが、言葉を交わさずとも「どうぞ楽しんで!」という歓迎の心が伝わってきた。

進化するおもてなし

これらのおもてなしは、毎回Akiさんが自ら仕掛けているという。すでに圧倒的な設備が整っているのに、なぜそこまでするのか。

Akiさんの答えは「とにかく、宿泊する方たちに、童心に帰って楽しんでほしい」から。

「せっかくサプライズを詰め込んだハウスだったけど、情報を公開しない限りはお客様に来てもらえないので、最初に施設のネタバレさせざるをえなかったんです」「でも来てもらったからには、わぁって喜んでもらいたいじゃないですか」。そんな気持ちからHPに載っていない「もてなし」をプラスした結果、今にいたる。

掲載の許可を得る際、私が「では、これ以上ネタバレさせない方がいいですよね?」と尋ねると、「……大丈夫です!またいろいろ考えるので!」と笑顔のAkiさん。

Akiさんのこうした工夫は、季節や宿泊する人によっても変わる。あなたが宿泊するときは、今回とは違うできごとが待っているかもしれない。進化するHoly Townを是非楽しんでほしい。

時間も手間も惜しまないホストの純粋な思いから生まれたHoly Town。世界に2つとないこの遊び場は、きっとこの先予約が取れなくなるだろう。その前にリピートしなくては!

Holy Town

住所:東京都中野区大和町3-21-5
料金:料金は日によって変動。詳しくは下記予約サイトを参照
電話:090-9131-4370
アクセス:JR高円寺駅から徒歩約6分
チェックイン:15:00~0:00(セルフチェックイン)
チェックアウト:10:00
URL:https://abnb.me/xR1nhADaRbb
Istagram:@holytown_info / @holyhouse_info

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トラベルプロデューサー
堀 真菜実

新しい旅を作るトラベルプロデューサー。世界弾丸一周、廃校キャンプなど、手掛けるツアーは即日満席。はじめましてのメンバーで行く「シェアトリップ」の仕掛け人として、数千人の旅人と国内外を巡り、その経験をもとに、地方自治体や海外の観光局と、観光資源の発掘やツアー造成を行う。人と地域を繋ぐ場作り、メディア出演などでも活躍中。
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