毎月のように新製品が登場するスマートフォン。最近はカメラ性能の進化が止まらず、シャオミやサムスンが1億画素を超えるカメラを搭載する一方、アップルはiPhone 13でボケ動画が撮れるシネマティックモードを実装した。今のスマートフォンは高性能デジカメ化が進んでおり、新製品発表会でもカメラ性能を真っ先にアピールする例が目立っている。
だが、Nubiaが2021年9月に発表した「REDMAGIC 6s PRO」は、そんな今のスマートフォンの進化とはまったく異なる道を突き進もうとしている。「REDMAGIC 6s PRO」はゲーミングスマートフォンと呼ばれるカテゴリの製品であり、ターゲットユーザーはモバイルゲーマーだ。
ゲームと聞くと、任天堂やソニーのゲーム機を思い浮かべる人が多いだろう。しかし『フォートナイト』に代表される高性能なバトルゲームを本格的にプレイするならハイスペックなゲーミングPCを使う方が有利だ。
CPUの速さだけではなく画面の書き換え速度、出力できる画面サイズなど、ゲーミングPCはコストを考えずハードウェアに投資すれば投資しただけのリターン、すなわち快適なゲームプレイ環境を手にすることができる。
ゲーミングスマートフォンは、そんなゲーミングPCのスマートフォン版だ。「REDMAGIC 6s PRO」の主なスペックのなかで、ゲームプレイに関連するものを「iPhone 13 Pro Max」(カッコ内にスペックを表記)と比べてみよう。
画面サイズは6.8インチ(6.7インチ、ノッチがあるので表示エリアはさらに小さい)、画面の書き換え速度は165Hz(120Hz)、画面のタッチ反応速度は720Hz(非公式情報で120Hz)、本体側面にタッチセンサーのA、Bボタン搭載(なし)。
日本ではまだ名前の知られていない「Redmagic」というゲーミングスマートフォンの性能はiPhone 13 Pro Maxを超えているのだ。
PCには当たり前のある機能を搭載
とはいえスペックが高いだけがスマートフォンの魅力ではない。「Red Magic 6s Pro」にはほかのスマートフォンにはない大きな特徴があるのだ。背面を見るとボディーは透明で、しかも本体の一部がRGBのLEDライトでゲームに合わせて点滅する。
さらには耳を澄ませると、そのライト部分から回転音が聞こえることに気づく。「Red Magic 6s Pro」は本体を冷やすために空冷ファンを搭載しており、そのファンの部分が光る設計になっているのである。
その様は派手というよりも近未来的イメージであり、数年先のスマートフォンを使っているかのようだ。SF映画の未来都市でヒーローがiPhoneを使っていたら、一気に現実の世界に戻されてしまうが、「REDMAGIC 6s PRO」が使われていれば、観客もフィクションの世界に引きずり込まれるだろう。
世界で初めてスマートフォンに空冷ファンを搭載したのもNubiaで、2019年に発売した「Redmagic 3」が最初の製品となる。それ以降Nubiaは、ゲーミングスマートフォンの基本機能としてファン搭載を標準化しているのである。
その構造は背面の右側のスリットから空気を取り入れ、CPUを冷やしてから強制的に左側に排出するのだ。本体に穴があるので防水機能はなくなるが、こうでもしなければハイスペックなゲームを長時間プレイすることは難しい。そういえばゲーミングPCも派手に光り、巨大なファンを搭載するモデルばかりだ。ゲーミングスマートフォンは、ゲーミングPCと同じ進化の道を突き進んでいるのである。
「折りたたみゲーミングスマートフォン」という新しいジャンル
ひと昔前ならPCで動画編集をするならアップルのMacBookを使うのが常識だった。しかし、今では多くのビデオエディターやユーチューバーがゲーミングPCを使って動画編集を行っている。それほどまでにゲーミングPCのパフォーマンスはパワフルで強力なのだ。
そしてそれと同様に、いずれスマートフォンでも4Kや8Kの動画撮影が当たり前になれば、いちいちPCに動画データをコピーして編集するのではなく、そのままスマートフォン内で編集まで終わらせることが当たり前になるだろう。そんな時代が来るころには、動画編集のためにゲーミングスマートフォンを買うことが当たり前になっているかもしれない。
さてそうなれば、動画編集用に大きい画面も欲しくなる。すなわち折りたたみスマートフォンは、動画編集に最適な形状でもあるわけだ。ということは、いずれ折りたたみスマートフォンもハイスペックなゲームに対応することが求めらる。しかも大画面はゲームプレイにも向いている。つまり、「折りたたみゲーミングスマートフォン」という新しいジャンルの製品が数年後には誕生しているだろう。
スマホの背面が光ることには意味がある
Nubiaがそんな製品を出せば、背面には複数の空冷ファンを搭載し、LEDライトはFacebookメッセンジャーでメッセージが届けば青色に光り、LINEのビデオ通話がかかってくれば緑色に点滅する、といった通知用にも利用されるだろう。スマートフォンの背面が光ることに意味はあるのだ。数年後には誰もが「昔のスマホは開かないし光らなかったな」なんて話しをしているかもしれない。