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梶原由景が歩いて出会った美味しい店

大阪のスパイスカレーを支える、縁の下の出汁カルチャー。

author: 梶原 由景date: 2021/11/05

※以下は2016年11月に書かれたものであるが、今回「梶原由景が歩いて出会った美味しい店・インデアンカレー編」文中にて「創作カレー ツキノワ」に関しての言及があるため参考までに修正して再掲載する。(トップ写真提供:創作カレー ツキノワ。初掲時より変更)

各県独特の文化・風習を紹介するバラエティ番組があるが、そこで取り上げられるのはもっぱら食の分野だ。テレビや雑誌、ネット等で情報が全国的に行き渡り、地方の郊外に巨大モールが乱立するいま、文化的に平均化したということなのかもしれない。というより皆が東京のようにありたいと思うその象徴がショッピングモールということなのだろうか。

そんな文化論はさておき、いまや地方色とは地方「食」なのである。例えば僕が毎月必ず仕事で訪れる関西、大阪はどうだろう。食い倒れ、安くうまい庶民の味、様々なイメージがあるが、決定的に東京と比べて独特なのはカレー文化なのではないかと思う。

大阪のカレー文化を語る上で外せない店は「カシミール」だろう。ミュージシャンでもあるご主人の作るカレーはまさにインプロビゼーション。時には常識では考えられない具材の組み合わせが渾然一体となり、得も言われぬうまさの境地に誘う。豆腐とワカメっていうのもあったっけ。このような背景もあり、大阪のカレーは独自の進化を遂げたのである。

そしていま大阪では「混ぜカレー」だ。混ざったカレーではなく、混ぜながらもしくは混ぜてから食べるカレー。スリランカカレーの「ロッダ・グループ」ができたことがその流れを決定的にした。スリランカの家庭料理たるカレーを提供する名店であり、台風の目だ。チキン、マトンなどから選んだメインのカレーを中心に、皿の上には野菜や豆、ココナッツなど様々な具材が盛りだくさんに載る。それらをとにかく混ぜる。それぞれを味わって見たい気もするのだが、混ぜた方が良い。これをカレーと呼んで良いのかわからなくなるが、とにかく美味しい。

混ぜカレーにはロッダのように完全に混ぜてから食べるタイプもあるが、食べ進めていくうちに混ざったり、好きなタイミングで混ぜて食べるやり方もある。開店前に完売する(整理券がなくなってしまうのだ)こともしばしばの「ボタニカリー」をはじめ、いわゆる合い掛け文化も定着している大阪だが、この辺も広く混ぜカレーと言って良いだろう。

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その一大潮流と、時には融合を見せながら頭角を現してきたのが「出汁系」。和風カレーとも呼ばれ、スパイシーさは薄れ日本の家庭料理のような具材の組み合わせをする店も多い。しかし、昆布や鰹節などの和風の出汁をしっかりとりながら、それが主張することなくスパイスを支える屋台骨となる絶妙なバランスが素晴らしいニューカマーがある。「創作カレー ツキノワ」だ。

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写真提供:創作カレー ツキノワ。初掲時より変更。

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写真提供:創作カレー ツキノワ。初掲時より変更。

日替わりのカレーも惹かれるが、まずは定番のチキン。これにミニキーマをトッピング。合い掛け、混ぜカレーの魅力も加わる。付け合わせの野菜はもっと多い方が好みだが、トッピングメニューに大盛りの項目がないので聞いてみると、ある程度の融通は利くようだ。次回から我儘を言ってみようと思う。そして店名にある創作系の日替わりにも挑戦したい。すでに大阪を代表する名店だ。

創作カレー ツキノワ
カレー屋

住所:〒541-0058 大阪府大阪市中央区南久宝寺町1-1-3 KT 船場ビル 2F
電話:06-6265-8336
営業時間:11:30〜16:00(L.O.15:30)
休:水曜日(twitterで告知)

※新型コロナウイルス感染対策のため、営業時間は変更の場合がございます。

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クリエイティブディレクター
梶原 由景

LOWERCASE代表。元BEAMSクリエイティブディレクター。ソニーとのデザインホテル・プロジェクトを行うなど異業種コラボレーションの草分けとして知られる。またルイ・ヴィトンとKDDIのモバイルコンテンツを手掛けデジタル、デザインからアパレルまで幅広い業界にクライアントを持つ。藤原ヒロシ氏とコンテンツサイトRing of Colourを立ち上げ情報発信中。
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