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アート

つくらずにはいられないわけ

はじめのい~っぽは何?|ラーメンやんぐ店主・高梨哲宏

author: 三谷温紀date: 2024/12/14

ものづくりをしている人は、自分の世界観を表現できて羨ましいなと思う。イベントや展示会、コラボなど……さまざまな場所で活躍する彼らも、ものづくりをしようと思ったはじめの一歩が案外身近なところにあるはず。


今回話を伺ったのが、「ラーメンやんぐ」の店主、高梨哲宏さん。2017年に静岡県三島市にお店をオープンし、野外音楽イベント「森、道、市場」では、3日間で2000食以上を販売する人気のラーメン屋。ラーメンだけでなく、普段使いしたくなるようなデザイン性の高いオリジナルグッズも人気の理由のひとつ。そんな高梨哲宏さんの作品をつくるようになったきっかけや、現在に至るまでの過程とは?

高梨哲宏

ラーメンやんぐ店主。グッズ制作を行うほか、クリエイターの展示やイベント開催などジャンルに囚われないボーダレスな企画を実施。三島の小商い店主3人組バンド「みふく」のボーカル。好きな温泉は箱根の天山。

ラーメンやんぐInstagram:@young_mishima
みふくInstagram:@mifuk.jp
Instagram:@takanashitetsu

パンクバンドからラーメン屋への道のり

──以前はバンドの活動もされていたんですね。

パンクバンドをやっていました。ネガティブな感情が歓迎されるような世界だったので、僕にとって逃げ場でもあったんです。ただ、自分にとって音楽はパーソナルな位置付けで大切だからこそ、売れるようにマーケティングすることができず、挫折してしまって。それがきっかけで、他人よりも秀でていることってなんだろう、と自分を客観的に分析するようになっていきました。

──そこからラーメン屋を始めるに至ったのはなぜですか?

バンド活動と並行して、兄が経営しているラーメン屋「ろたす」を手伝っていくなかで、自分が創作したラーメンでお客さんからいい反応をもらえるようになっていったんです。やりたいことも十分やってみたし、次は得意なことで社会と繋がってみたいと思い、ラーメン店を開業しました。

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ラーメンやんぐ店内の様子。

──グッズ制作にも意欲的で、ラーメン屋らしからぬ、かわいいデザインのグッズをたくさん出されていますよね。

バンドの物販としてツアーグッズを作っていた経験から、お店でもグッズを作るようになりました。モノって時代や場所によって社会的な価値が変動するから、どのタイミングでどんなグッズを発表するのがベストなのか見極めるように心掛けています。思い返せば、子どもの頃から何をどこに置いたらしっくりくるか、よりよく見えるのかを考えるのが好きで、部屋の模様替えをよくしていました。

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形を問わないアウトプットの数々

──バンドを始める前から、ゼロイチで何かをつくることは身近にあったんですか?

小学生の頃は漫画が好きで絵をよく描いていましたね。両親が共働きで、家に一人でいる時間が多かったこともあり、即興で物語をつくって遊んだり、空想のなかで生きる子どもでした。

──幼少期に物語を考えたり絵を描いたりしていたのは、純粋な楽しさからだったのですか?

田舎だったので、広めの庭がある実家で、子どもの頃に庭で火を燃やして遊んでいたんです。それは、自分のなかで整理できない気持ちやストレスを消化する作業だったのかもしれないですね。今やっているものづくりも、手に取りやすいようにパッケージ化しているか、していないかの違いだけで、あの頃火を燃やしていた行為と感覚的には近いです。

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──イラストや文章、音楽など、形を問わずアウトプットされていますよね。

つくったり書いたりしていないと、落ち着かないんです。自分に対して納得できないことや許せないことが多くて、自分の価値を見いだすために、アウトプットをせざるを得ない。自分を褒められるような経験や実績があったとしても、一晩寝たらゼロに戻っているので、本当に健康的じゃないんです(笑)。

──今後、どういった表現活動をしていきたいですか?

ありがたいことに約8年間「ラーメンやんぐ」として続けられているので、今後は自分の心が動いたものをもっと自由に形にしていきたいです。正直に話すと、今はものづくりの際に外向きに働く自分の作為性に対して自分自身で冷めてしまっているんです。本当のところは、パッケージ化されていない高純度の作品を世に出したい。そのためには自分の気持ちに正直になって、何かが自然と生まれてくるまで待つしかないと思うんです。自分はどんなことに感動するのかを、ずっと模索し続けています。

ラーメンやんぐ

静岡県三島市大社町16-1
Instagram:@young_mishima
オンラインストア:young store

イベント情報

🎤「みふく × Lullatone」LIVE
開催場所:EARLYBIRDS BREAKFAST(愛知県名古屋市中区千代田4丁目14−20)
開催日:2025年1月12日(日)
※詳細後日発表

🎤「mmm × トクマルシューゴ」LIVE
開催場所:ラーメンやんぐ(静岡県三島市大社町16−1)
開催日:2025年2月9日(日)
チケット:https://mmmtkmr.peatix.com/

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ライター・編集者
三谷温紀

2000年生まれ。ファッション業界のウェブメディアでライター・編集者として会社員をする傍ら、カルチャーやビジネスメディアでも執筆活動を行っている。フェミニズムやメンタルヘルスなどのトピックに興味関心を持ち、メンタルヘルスコミュニティ『紡』を運営中。
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