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アート

サッカー少年からラグアーティストに? 

はじめのい~っぽは何?|ryokato

author: 三谷温紀date: 2024/12/05

ものづくりをしている人は、自分の世界観を表現できて羨ましいなと思う。イベントや展示会、コラボなど……様々な場所で活躍する彼らも、ものづくりをしようと思ったはじめの一歩が案外身近なところにあるはず。


今回話を伺ったのが、東京と福岡を拠点に活動するラグアーティストのryokatoさん。各地でポップアップの開催やコラボ作品の発表などを精力的に行っています。そんなryokatoさんの、作品をつくるようになったきっかけや、現在に至るまでの過程とは?

ryokato

東京・福岡を拠点に活動するラグアーティスト・ デザイナー。 徳島県にある伝統的な敷物工場で得た技術をベースに一つひとつ手作業でラグを制作。アーティストやブランドとのジャンルレスなコラボレーションも行う。合言葉は “madewithlove”

Instagram:@ryokato.jp

意外なキャリアチェンジの裏側

――現在はラグアーティストとして活躍の場を広げられていますが、ラグとの出会いはいつだったんですか?

コロナ禍が始まる少し前のタイミングで、ラグのブランドを運営されている方とご縁があり、徳島県の敷物工場をリブランディングするプロジェクトにジョインしたことがきっかけです。

最近では、テレビやSNSでも目にするようになった「タフティング」というラグの製造技法は、日本で数十年以上前からある技法で、今でも職人が一点ずつ手作業で製作しています。その中でも多くの敷物工場があった徳島県の工場に足を運ぶ機会をいただいて、人手不足や高齢化など様々な理由で先行きが見えなくなっているという現状を目の当たりにしたことで、技術継承やアップデートの必要性を強く感じました。その素晴らしいものづくりの現場で自分自身もなにかできないかという思いで、約2年弱の間、徳島県の敷物工場でラグ製造の事業と技術について学んできました。

fade-image

multi stripe rug / W750 × H500mm

――徳島の工場まで足を運ぶのはすごいですね。昔からものづくりに興味があったんですか?

幼稚園から高校まで、サッカー漬けの毎日を送っていたので、自分がものづくりをする未来はあまり想像できていなかったですね。ただ思い返してみると、幼少期から図画工作やレゴといった自分で考えて手を動かすことは好きでした。当時好きだったサッカーチームのユニフォームのデザインを描いてみたり、自由研究でサッカー選手の人形を作ったりしていましたね。

――スポーツとものづくりは、かけ離れているイメージですが、クリエイションの道に舵を切ったきっかけはありますか?

高校の途中でサッカーを引退して、海の近くに移住するほどサーフィンをするようになったんです。それを機に、今までとは違う視点で物事を見られるようになりました。アパレルや飲食など興味のある様々なことを経験していくなかで、物事の見せ方や空間づくりに意識が向いていることに気がついて。そこから空間デザインの学校に通い始めました。

ただ、空間デザインが活きる建築やインテリアの業界を知っていく中で、自分がやりたい方向とは少しずれがあるなと思って、並行してデジタルプロダクトデザインを独学で勉強していたんです。結局その後は、空間デザインの業界ではなくWEBサービスをつくるスタートアップ企業にデジタルプロダクトデザイナーとして就職しました。

television × ryokato
SOCIETY RUG / W2200 × H1142mm

――デザイナーとしての経験を経て、本格的にものづくりをスタートするようになったんですね。

ものづくりを始めたのは、自分や社会をとりまく環境の変化や違和感が重なったことだった気がします。

本業のデザインの仕事は、基本的には画面上でデザインが完結して、お客さんのリアクションも画面上の数字として返ってきます。当然何をするにもロジックやコスパが求められるので、そういったことを常に考える癖がつきましたね。

僕にとって、とても大きな学びでしたし、仕事をしていく上では大切な要素だと思います。一方で、WEB上とはいえ人のサービス体験をデザインしているはずなのに画面上だけで完結していることに葛藤もあって。もっと人と人が直接エモーショナルさを感じ取れるようなこともしていきたいなと思うようになりました。

ちょうどその頃からコロナウイルスが流行したこともあり、「人」が介在することの大切さを改めて実感していたんです。そんなタイミングで徳島の敷物工場と出会いました。

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tete a tete rug / 700×455mm

Hoodmart × ryokato
Hoodmart Rug / W650 × H650mm

multi stripe rug / W700 × H500mm

――"madewithlove"を合言葉に、展示やイベントをよく開催されていますね。

だれかの想いが詰まっているモノ・コトをその場の消費として終わらせたくなくて。そこで出会ったなにかで新しい感情や感覚が生まれたり、あとから思い返したり触れたりしたときにどんな形であれ、どこかで生き続けるものになったらいいなとか。それが“madewithlove”を伝えている理由かなと思います。

――年を重ねるほど感情を見つめる機会が減っている気がします。

様々な経験をして、多くの情報が自分の中に蓄積されることで、日常の中で大きな感情の変化って少なくなっていきますよね。それでも、新しい感情や感覚って、何かに対して本気で向き合っていれば、大人になっても沢山出会える気がしていて。

そんなきっかけを、僕のつくる何かで、だれかの衝動や変化が起こる瞬間を少しでも生み出せたらいいなと思っています。そのためにも常に僕自身がみんなに本気で向き合っていたいです。

moi. × ryokato
WAVY RUG, BENTO RUG / W1200 × H900mm

【イベント情報】

🧶三島・ヨット 編
会 期:2024年11月23日(土)- 12月10日(火)*水木定休
時 間:13:00-20:00(土日は10時から)
会 場:ヨット 静岡県三島市北田町4-21 1F
Instagram:@yacht_books


🧶甲府・文化沼 編
会 期:2024年12月13日(金)・14日(土)・15日(日)
時 間:13:00-19:00
会 場:文化沼 山梨県甲府市中央1-7-14 パリスビル 2F
Instagram:@bunkanuma

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ライター・編集者
三谷温紀

2000年生まれ。ファッション業界のウェブメディアでライター・編集者として会社員をする傍ら、カルチャーやビジネスメディアでも執筆活動を行っている。フェミニズムやメンタルヘルスなどのトピックに興味関心を持ち、メンタルヘルスコミュニティ『紡』を運営中。
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はじめのい~っぽは何?|マトバユウコ
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date 2024/12/18