FREAK’S STOREとBeyond magazineによる、ユース世代応援プロジェクト「若者フリーク」。このプロジェクトは、若者の「好き」がいつか「夢」に変わり、もっと将来の自分に「ワクワク」してもらうきっかけを作ることを目指している。
若者フリーク連載「好きを転じて夢と為す」では、自分の好きなことを見つけてその夢に向かっている人たちや、夢の実現に向けて行動しているユース世代に、その半生や夢との出合いを語ってもらう。先輩フリークたちの言葉を聞けば、自分の夢を見つけるヒントになるかもしれない。
第2回は、お笑いコンビ・はるかぜに告ぐに話を聞いた。2022年7月に結成、2023年4月にプロデビューした2人は瞬く間にお茶の間の人気者に。そんな2人はどんな夢を描き、どんな道を辿ってきたのか。
はるかぜに告ぐ
NSC大阪校45期生、2023年4月デビューのお笑いコンビ。キレよくツッコむとんず(写真左)とほんわかとしたボケの一色といろ(写真右)によるしゃべくり漫才で人気。2023年には「女芸人No.1決定戦THEW」の決勝に進出。
とんず Instagram:@newtonez_
とんず X:@tontokotonez_
一色といろ Instagram:@toiro_isshiki
一色といろ X:@toiro_isshiki
就活中&就職後にお笑い芸人を目指し始めた
──芸人としてデビューしてすぐから大活躍されているお2人ですが、そもそもお笑いは好きですか?
といろ:私にとっては土のような存在ですね。
とんず:土? もうちょっとうまい言い方あるやろ!(笑)
といろ:好きとか嫌いとか超越して、日常に溶け込んだものってこと。もともと観るのは好きだったんですけど、自分が芸人としてお笑いを仕事にすると「好き」とはちょっと違う感覚がありますね。
とんず:なるほどな。私はもう、お笑いは恋人のような存在。大好きです。
──そんなお2人が、お笑い芸人を目指そうと思ったきっかけを教えてください。
といろ:私はもともと会社員としてウェブディレクターをしていたんですけど、なんか普通に仕事するの嫌だなと思って、フリーランス目指して会社をやめようとしていたんですよね。ちょうどその頃コロナ禍に入って、在宅勤務が増えて運動不足を感じたので、体脂肪落としたいなと思ってNSCに入って。そのまま、今に至ります。
とんず:なんでその途中で、とんずという天才に出会うというエピソードがないんや。体脂肪落としたいやつと組むやつなんかいないで。でも、意外とといろさんみたいな人多くて、もともと遊びでお笑いやっとったけど、コロナの時にお笑い始めた人結構いるよな。
といろ:とんずが芸人を目指したきっかけは?
とんず:中学の時にはもう芸人になるの決めてたんですよ。 頭いいやつはいい大学を目指すし、スポーツできる人はスポーツの強い学校に行くでしょ。で、うちはおもろいからNSCに入ろうと思ったんですよ。 卒アルで「面白い人ランキング」に自分の名前入ってんの見て、自分はおもろいんだって思って。
それが最初のきっかけなんですけど、その後、大学生の時にもう1回決断のタイミングがあって。そいつのために就職してもいいと思うくらい好きだった彼氏が浮気してたんですよ。それでもう「芸人なったるー!」って決めてすぐにNSCに願書を出しました。
芸人は他にはない刺激的な仕事
──お笑い芸人になってよかったことはありますか?
とんず:ええ~。ないよそんなもん。
といろ:貯金が増えたとかないんですか。
とんず:最近は増えてない。
といろ:増えてないんかい。私は最初の目的通り、体脂肪が減った気がしてる。前は体の80パーセントぐらいが体脂肪やったんですよ。
とんず:前提がキモいって。
といろ:でも、同じ体重・身長のまま体脂肪率だけ減っていってるから、それよかったなと思う。
とんず:その目的だったら、絶対お笑いじゃなくて土木系の仕事とかの方がいいやろ。私は、今までの生活では出会わなかった人に出会えたのがよかったかな。飲み会とかも芸人ばっかりだからみんなボケるし喋るしでおもろい。みんな金無いのに金遣い荒くて、何か欠落した人も多いけど(笑)。
といろ:社会不適合者しかおらんからね。でも、私もそれは楽しい部分かも。会社員の時はホワイト企業で安定感はあったけど、暇やったし刺激もなかった。刺激とか達成感があるのは芸人のおもろいところかもしれないです。
──一方で、芸人という仕事をしていて難しいと感じたり、苦しいと感じたりすることはありますか?
とんず:ありますよ。今までお笑いが好きで見てきたからこそ、先輩たちすげえって日々思っています。おもろいし、結果も残しているし、人としても尊敬できるし。外からは見えないところでこんなに努力していて、こんなにしんどい思いしてたんかって実感しているところです。
といろ:そうやね。そうですね。実力勝負、結果が全ての世界でもあるからいまだに怖いなとも思います。あと、会社員やっていた身からすると、給料の不安定さも改めてすごいなと思うかな。
とんず:そうそう。吉本興業は歩合制だから、事務所には所属しているけど、安定感は無いよな。今月めっちゃよかったと思ったら、次の月には30万円くらい下がるなんてことも全然あるからまじで怖い。
──そんなお2人の芸人としての今後の目標は?
といろ:私は文化人になる。
とんず:私は賞レースで優勝できるようになりたいな。
といろ:もし優勝できたら、私も文化人として賞レースで勝つ方法とか本に書けるから、頑張りたいな。
とんず:ネタ書けよ! でもまあ、目標は完全に一致していなくてもある程度被ってる部分があればいいと思ってます。
夢へのスタンスが真逆の2人
──日本の若者は夢中になれることや、夢を持っている人がほかの国に比べて少ないというデータ(※)があるのですが、それを聞いてどう感じましたか?
といろ:私も最初、普通に会社員になることを選んだんですけど、その時は「責任の大きく無い仕事を」っていう理由でウェブディレクターを選んだんですよ。クライアントとクリエイターさんの橋渡し役なんで、言われたことをちゃんと伝えていればそんなに大きな責任は発生しないよなって思って(笑)。
子どもの時はもっと夢のあることを考えていたと思うんですけど、いつの間にかそんな風に進路を決めていたので、そういう意味では夢がない人って結構多いんじゃないかなと思います。
とんず:そうなんや。私は今でも日に日に夢が増えてるけどな。夢を増やしすぎて時間が足りないくらい。私は夢というか「これやりたい!」っていう気持ちがないと動けないから、明確な夢がなくてもちゃんと生活してる人の方が逆にすごいなと思う。
といろ:「やってみたいな」と思っても、実現するまでの労力とか、その労力に見合った価値があるのかとか計算してしまうんよな。ちなみに、どんな夢があるん?
とんず:いろいろあるけど、例えば、前にBeyond magazineで取材していただいた通り、私は音楽が好きなんですよ。だから、いつか自分で音楽フェスをやってみたいなって思ってて。出演者さんはもちろん、カメラマンさんとか衣装さんとかそういうところまで自分でアサインしてやってみたいな。
──FREAK’S STOREとBeyond magazineでは、夢を描いたりそれを実現する後押しがしたいと思って「若者フリーク」に取り組んでいるのですが、この取り組みについて、どのような感想を抱きましたか?
とんず:こういうコラボって作り手側からすると大変やと思うんです。今、この現場ができるまでに私から見えた範囲だけでも10人くらいの人が携わっていて。それだけの人たちが、「若者を応援しよう!」と思って行動しているってだけで愛おしいなって思うんです。
とんず:私たちは今回、「若者フリーク」のイベントに出演させてもらいましたが、その場にこれだけのお客さんが集まってくれた時点で、このプロジェクトは成功しているって言えるんやないかな。あと、こういうコラボを見て、私もやりたいと思いました! 私の夢を増やしたという意味でも大成功です。
といろ:面白いですよね。アパレルブランドとウェブマガジンがコラボレーションして、私たちもこうやって取材していただいて、こんなおしゃれな空間になって。関西の人間からすると、これが東京か! って。これからの社会を作っていくのは若者なので、素敵な取り組みだと思います。
──最後に、これから好きや夢を見つけたいなと思っている人に向けてメッセージをください。
といろ:まだ夢まで見つかっていなくても、よく考えると好きなものってあると思うんです。そういうところから、掘り下げていったら、いつの間にか大きな夢が見つかるんじゃないかな。私はやったことないけど。
とんず:ありそうな言い方やったけども。
といろ:あと、どうしてもやりたいことが見つからないって人は、はるかぜのライブに来てくれたら、とんずさんが夢を決めてくれます。「この夢にしなさい」って。
とんず:せやな。私は夢をいっぱい持っているから。
とんず:あと、やってみたいことはあるんだけど一歩踏み出せないって人は、できない理由を見つけて諦めるんじゃなくて、できない理由を見つけたら一個ずつ消していけばいいと思うんよ。
といろ:その間に人生終わっちゃったらどうすんの。
とんず:そうなっても、その間の努力は無駄にならないからいいのよ。私たちも今賞レースで勝つのを目指して頑張っていて、結果的に優勝できなくても、その過程を見てくれた人達が声をかけてくれて新しい仕事ができてるじゃん。だから、まずは自分の「やってみたい」って気持ちを認めてあげるところからスタートだと思う。