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音楽

若者フリーク連載「好きを転じて夢と為す」vol.1

シンガーソングライター・荒谷翔大が“音楽”という夢を掴むまで

author: 白鳥菜都date: 2024/12/10

FREAK’S STOREとBeyond magazineによる、ユース世代応援プロジェクト「若者フリーク」。このプロジェクトは、若者の「好き」がいつか「夢」に変わり、もっと将来の自分に「ワクワク」してもらうきっかけを作ることを目指している。
 
若者フリーク連載「好きを転じて夢と為す」では、自分の好きなことを見つけてその夢に向かっている人たちや、夢の実現に向けて行動しているユース世代に、その半生や夢との出合いを語ってもらう。先輩フリークたちの言葉を聞けば、自分の夢を見つけるヒントになるかもしれない。
 
第1回目は、シンガーソングライターの荒谷翔大さんが登場。バンド・yonawoでの活動を経て、2024年からはソロで活動を開始。8月にメジャーデビューを果たしたばかりだ。「若者フリーク」開始を記念したイベントでのライブ後の荒谷さんに話を聞いた。
 

荒谷翔大

2023年12月、ボーカルとほぼ全曲のソングライティングを手がけていたバンド・yonawoを脱退。2024年4月、1stシングル「涙」よりソロ活動スタート。同年、8月23日にユニバーサルミュージックよりメジャーデビューシングル「雨」をリリース。

X:@araaraaratani
Instagram:@araaraaratani
公式サイト:https://aratanishota.com/

ジョン・レノンの「Imagine」で、作曲に目覚める

──ライブお疲れ様でした。若者を応援するという「若者フリーク」のコンセプトに合わせ、今日は学生さんを観客にライブしていただきましたが、いかがでしたか?

こういう機会があるのってすごく素敵なことだなと思いました。FREAK’S STOREとBeyond magazineのコラボということで、いろいろな角度から若い人が好きなものに出合うきっかけを作れる企画だなと思います。

イベントだったり、メディアだったり、そういうものをきっかけに「好き」に出合って、将来につながることってよくあると思います。自分もテレビの音楽番組とか雑誌にも影響を受けてどんどん音楽を好きになっていった記憶があります。

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──荒谷さんが最初に音楽を好きになったのはいつ頃なのでしょうか。

たぶん、幼稚園の年長くらいの時だと思います。お母さんが家で音楽をかけながら掃除をしていて。ノラ・ジョーンズとか、竹内まりやの曲がよくかかっていた記憶があります。お父さんも音楽を聴くのが好きで、尾崎豊の曲を聞いたりしていて。

そんな両親の影響で、自分も音楽を聴くのが好きになっていました。でも、その時は曲を作ろうとは思っていなかったです。

──音楽を作りたいと思ったきっかけは何だったのでしょうか?


小学校6年生の頃に、ジョン・レノンを見て、音楽を作りたいなと思いました。テレビでジョン・レノン特集の番組がやっていて、「Imagine」ができた背景や曲に込められたメッセージが紹介されていたんですよね。

それを見て、音楽ってこんなに可能性があるのか、こんなに人の心に届くものなのかと思って。シンプルだけど、すっと自分の中に入ってくる「Imazine」を聴いて、小学生ながら何か響いたんでしょうね。何の根拠もないけれど、自分も何か作れるかもしれないとも思いました。

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──そこから、どうやって実際に音楽を作り始めましたか?
当時は楽器も全く弾けなかったので、アカペラで歌って、録音して、それを友達に共有してみんなで歌って、という感じでした。その後、中学生時代からギターやピアノを練習し始めて、楽器もできるようになっていきました。

「失敗してもいいから賭けてみたい」

──音楽を作り始めた当時は、どんな将来を想像していましたか?


中学生の頃は、音楽を仕事にしようとは思っていなかったです。

サッカーをしていたので、サッカー関連の仕事もいいなと思っていました。あとは、天文学とか宇宙が好きだったので、天文学者とかもいいな、なんて思ったり。 読んでも全然わからないのに、『Newton(ニュートン)』とか買っていました(笑)。

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──音楽という「好き」が明確に「夢」になったのはいつですか?

高校を卒業したあと、カナダのバンクーバーに1年ほどいたのですが、その頃には「音楽が仕事にできたらいいな」と思うようになっていました。

でも、正直に言うと、今でも「音楽でやっていける!」という確信はないんです。ただ、それでも音楽が好きだし、やらないと後悔すると思えたので、音楽が「夢」であり仕事になったのかなと思います。失敗してもいいから賭けてみようと思えたのが音楽でした。

──人生を賭けても良いと思えるくらい、荒谷さんにとって音楽は魅力的なものということですね。

そうですね。楽しいときに聴く音楽ももちろん好きですが、自分にとってはしんどいときに救ってくれるものという感覚もあって。バンクーバーにいた時も「これからどうしていけばいいんだろう」という不安のなかで、音楽が心の支えになる場面がよくありました。

誰にも言えない悩みがあるときとか、自分1人でどうにかしなければならないときに、音楽が寄り添ってくれる。自分もそういう曲を作りたいなという気持ちもあります。

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──そんな音楽という「好き」を「夢」にしてよかったこと、大変だったことを教えてください。

やっぱり「音楽で食べていく」と考えると、それなりに数字や周りの反応は考えなければいけないので、単純な自分の「好き」とのバランスを取るのは難しいですね。だから、20歳でバンドを始めてから、自分のなかでも音楽の在り方が変わっていっている感覚があります。

でも、それは自分にとってはポジティブなことだと捉えています。10代の頃と今では作る音楽も違う。それは成長とも言えるんじゃないかなって。もちろん、10代の何も知らなかった頃だからこそ作れるものの純粋さも、それはそれでかけがえのないものだと思いますが。

あと、「好き」を「夢」にして1番良いことは、しんどい時にも乗り越えられること。ちょっと大変だなと思う場面があっても、結局は好きなことができているから頑張ろうと思えます。

大事なのは、「好き」や「夢」を追って幸せになれるか否か

──荒谷さんのように、夢に向かって前に進んでいる人がいる一方で、そもそも「好き」がわからないという若者も多いように感じます。

そうですよね。「好き」を見つけるのって本当に難しいと思います。「たまたまこの顔で生まれた」くらいの偶然のような気もしていて。俺もたまたま音楽と出合えただけですし。

それに、「好き」を「夢」にするのだけが正解ではないとも思うんですよね。もちろん「好き」を仕事にするのって楽しい面もありますが、それによって犠牲になるものもあるのも事実で。

大事なのは、自分が「幸せだ」と感じられることだと思うんです。だから全員に「好きを見つけろ」「大きな夢を持て!」とは言えない。

最近俺は、「しあわせ日記」というものを始めたんですけど、これが結構良くて。その日にあったことを書いて、最後に「幸せ」って書いて締めるんです(笑)。小さなことだけど、こういうものを積み重ねていくことが「夢」でも良いと思うんですよね。

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──では、「好き」や「夢」が見つかった人が、荒谷さんのようにそれらを実現していくためには、どんなことが大事だと思いますか?

どれくらい好きなのかを早いうちに確かめるのがすごく大事だと思います。好きだと思っていても、案外そうでもないかも? となることもあるんですよ。

例えば俺は、音楽をやる前はサッカーをしていましたが、音楽と出合ってからすんなりとサッカーでプロになることは諦めたんです。何か、音楽とサッカーとでは心のときめき方が違ったから。

あとは、切磋琢磨できる環境に身を置くことも大事だと思います。やっぱり、人はどうしても周りの影響を受けるし、周りの人に影響する。だから、誰と関わるのかは大切です。

いま、自分の周りにも頑張っている人がたくさんいて、一緒に高め合っている感覚があります。「こういう目標がある」と言えば「じゃあ、次はこういう活動をした方がいいんじゃない?」とか、前向きな会話ができます。そういう仲間を見つけられるといいと思います。

──最後に荒谷さんご自身の、今後の夢を教えてください。

たくさんの人が関わってくださって、今の自分の活動ができています。リスナーの方も含め、自分に関わってくださる人たちが笑顔になったり、幸せを感じたりしてくれるような活動をできればと思っています。

それから、自分が音楽に助けられてきたように、聴いてくれる人を支えられるような音楽を作りたいですね。仕事とか恋愛とか、人生の中で挫けそうになる場面っていろいろあると思いますが、そういう時に手を差し伸べられるような音楽を届けたいです。

Photo:笠川泰希
Text & Edit:白鳥菜都

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白鳥菜都

ライター・編集者。1999年生まれ。好きな食べ物はみかん、柿、桃、洋梨、辛いもの、お茶。
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