ロボット掃除機といえばアイロボットの「ルンバ」が市場シェアの大半を占めていたが、最近は主に中国メーカーが猛追しており、選択肢が増えている。ロボット掃除機で大事なのは、やはり吸引力や拭き掃除の能力、そして賢さだ。今回試したロボット掃除機は全て自律的に地図を作り、無駄なく移動していく。人間の手で行う掃除とは異なり、自走で部屋全体を掃除するのがロボット掃除機だが、それも性能の差がある。今回はそういった基本的な性能比較も含め、5種類のロボット掃除機をさまざまな角度から検証してみた。
1位:アイロボット
「Roomba Combo j7+」
僅差ではあるものの1位となったのは「Roomba Combo j7+」だ。他社とは異なるアプローチで、水拭きも拭き掃除もできる機構を搭載している。カーペットを濡らさない、パッドリフティングシステムも便利だ。パッドが上まで持ち上がるので、厚めのカーペットでも汚れることがない。フローリングに一部カーペットなどを敷いているご家庭では、一番使いやすいモデルと言えるだろう。また、障害物回避についても優秀で、他社モデルが苦戦していた部屋の隅にあるコードも、ほぼ回避できていた。床に置かれていた靴下についても巻き込むことがほぼなく、今回試した中で一番実用的な賢さを実感できた。
2位(同着):エコバックス
「DEEBOT X1 OMNI I」
ゴミ収集から水拭きタンクへの給水、そしてモップの洗浄・熱風乾燥まですべて自動で行う「全自動クリーニングステーション」を搭載している。水拭きは2つのモップが回転して掃除をするタイプで、回転しながら床を拭いていく。途中で戻り、モップ洗浄を行ってくれるのは安心だ。常に清潔な状態で拭き掃除を行ってくれるのは頼もしい。このあたりはよく考えられており、主にフローリングの水拭きをメインで考えている方は、ぜひ候補に入れていただきたいモデルだ。比較的家具や壁のキワまで近付いて掃除をするので隅はキレイになっているが、リビングのテーブル下の砂については、いつも同じ場所に少し残っている。もう少し丁寧にテーブル下などの狭い場所も掃除してほしいところだ。
第2位(同着):ロボロック
「S7 MaxV Ultra」
全体的に吸引力、水拭き、賢さ、お手入れのバランスがよいロボット掃除機。吸引力はペットのトイレ砂などの大きくて重いゴミも吸引しているのでパワフル。気になった点は、微細なゴミが残りがちだったこと。一見キレイに見えるものの、素足で歩いてみるとザラッとする箇所があった。カーペットについては、センサーがカーペットを検知すると、水拭きモップが自動で5mm持ち上がり、吸引掃除のみに切り替えるという機能も備えている。ただ、5mmでは薄めのマットでもこすってしまうことがあった。濡らしたくない場合はカーペット回避モードを利用するなど、使い分ける必要がある。
第4位(同着):アンカー・ジャパン
「Eufy RoboVac L35 Hybrid+」
1~2位のロボット掃除機と比較すると価格は1/2以下。とはいえ、マッピング性能は優秀で、あっという間に正確に地図が完成し、正確に掃除できる。家具の下の空間まで把握しており、入って掃除もしていた。ゴミの吸引能力も高く、通ったところは大小のゴミを取りきれる。ただ、障害物を認識する能力は低いので、基本的には先に部屋を片付けておくことをおすすめしたい。今回はコードや靴下などを置いておいたが、すべて巻き込んでしまった。家具や壁などに激しく当たることはないので、その点は安心だ。吸引力をメインに掃除したい方におすすめだ。
第4位(同着): SwitchBot
「SwitchBot S1 Plus」
今回試した中で一番音は静かだった。在宅時に運転してもそれほど気にならず、夜間でも使えそうだ。本体から⾃動ゴミ収集ベースにゴミを収集する際の音も静かだが、ゴミが本体に残ってしまうことがあり、その点は残念だった。マッピング性能は優秀で、地図は正確だ。順番にまんべんなく掃除をしており、部屋全体のゴミを吸引できる。床にゴミが多いと、一度だけでは取り切れない箇所もいくつかあった。本体は軽く、ブラシなどをお手入れする際に持ち上げるのはとてもラクだった。
今回試したのは3モデルが15万円以上、2モデルが約7万円ということで、価格差が大きく、そのぶん能力にも差があった。高い掃除機はやはり障害物の認識能力が高く、家具などを避ける。価格が安いタイプはコードなどを巻き込んでしまうので、事前にきちんと片付けておく必要がある。ただ、掃除能力は高価なモデルと比べても見劣りしないので、ふだん片付けているのであれば、十分と言える。ライフスタイルと予算に合わせ、最適な一台を見つけてほしい。
製品貸与:アイロボット、エコバックス、ロボロック、アンカー・ジャパン、SwitchBot