食材を入れておけば、ボタンを押すだけで調理できる「電気調理鍋」。つきっきりになることもなく、火加減を調整して手の込んだ料理が作れるので人気だ。今回は人気の電気調理鍋5モデルをプロ家電レビュアーの石井和美が徹底比較。その結果をまとめてみた。
ほったらかしで時短につながる自動調理鍋は操作性と美味しさが決め手に
在宅時間の増加により、食事作りに悩む方に支持されてきた自動調理鍋。最近では、外食の値上げラッシュで内食を増やすという方も多く、引き続き自動調理鍋は注目されている。火加減の調整をする必要がなく、失敗なくできるので料理初心者にもおすすめだが、使いやすさや仕上がりに関しては各社特徴が異なる。今回は付属のレシピ通りに料理を作り、準備から片付けまで行ったところ、色々な気付きがあった。
1位 パナソニックオートクッカービストロ NF-AC1000
今回、1位に輝いたのはパナソニックの最新電気圧力鍋だ。圧力をかけながら、混ぜることもできる、他社にはない製品。煮込み料理は短い時間でやわらかく、煮物などもかき混ぜて煮汁を飛ばしながらしっかり煮詰めることもでき、美味しくできるので驚いた。
自動で混ぜるのでムラがなく、焦げ付かずにできる点も魅力だ。ほったらかしで、煮物やカレーが短時間でしっかり煮込んだような仕上がりになっていた。
また、フタを閉めて調理をしても、自動で排気ができるので、炒める調理も得意だ。操作もカンタンで、手軽に使える。内鍋が浅く、間口が大きいので食材を入れやすい。羽根も小さいので取り外しがしやすく、お手入れもしやすかった。煮物系では圧力の有無を選ぶことができ、そのほかにも炒めたり、蒸したり、さまざまな調理方法に対応している。
幅広い調理に対応しているので、これが一台あれば色々なメニューに挑戦できそうだ。まだ発売して日が浅いということもあってレシピ数は少なめだが、アプリも使えるので今後充実されることを期待したい。
S P E C
消費電力:1290W
サイズ:幅×奥行×高さ:33.3×33.6×26.0cm
質量(約):8.2kg
容量:満水容量4.2L 調理容量2.4L
圧力対応:○
実勢価格:8万8000円
2位(同着) ティファール クックフォーミー 6L
クックフォーミーシリーズは、初心者にやさしく、高機能な電動圧力鍋。できるだけラクに、短い時間で作るというコンセプトが伝わる製品だった。操作パネルの表記も丁寧で、迷わず作ることができる。こういった家電は幅広いメニューを搭載していても難しくて使いこなせないという方も多いが、操作パネルの手順に従ってできるので安心して使える。
今回試した中では一番親切と言えるだろう。調理時間は他社と比較するとどれも短く、電気圧力鍋特有の「煮崩れ」が少ない。ドロドロになることがほぼなかったので、食感を味わうことができた。味のしみ込みについてはもう少し欲しいところだったが、慣れてくるとマニュアル調理もできるので、色々な楽しみ方ができそうだ。
また、容量の選択肢が豊富であることも魅力だ。6L、3Lから選ぶことができ、世帯人数によって選択できる。マニュアル調理タイプであれば、マニュアル操作で調理ができる「ラクラ·クッカー」という選択肢もある。自分の料理スキルに合わせて選べるのも特徴的だ。
S P E C
消費電力:1200W
サイズ:幅×奥行×高さ:38.0×35.0×32.5cm
質量(約):6.5kg
容量:満水容量6.0L 調理容量4.0L
圧力対応:○
実勢価格:5万2000円(税込)
2位(同着) シャープ 水なし自動調理鍋ヘルシオ「ホットクック」 KN-HW24G
歴史があり、自動調理鍋の代名詞とも言える「ホットクック」。電気圧力鍋は圧力をかけるため、加圧と減圧に時間がかかるが、その時間がないので家庭でよく作る煮物などをサッと作りたいのであればホットクックのほうが早い。
無水メニューも「まぜ技ユニット」があることで焦げ付かずにできるので、安心してほったらかしにできた。豚の角煮などの長時間煮込むようなメニューは電気圧力鍋のほうが時間は早いが、やさしい味わいでメニューはどれも美味しい。また、メニュー数が約560種類と多いので、料理初心者でも色々な料理に挑戦できる。
メニュー数が多いと探したり、設定したりするのが面倒になって作らなくなることもあるが、アプリの操作性もよく、音声での案内もあるので迷わずできるのも安心して作ることができた。圧力をかけない自動調理鍋の中では、やはりダントツで使いやすいと感じた。
S P E C
消費電力:800W
サイズ:幅×奥行×高さ:34.5×30.5×25.6cm
質量(約):5.8kg
容量:満水容量4.7L 調理容量2.4L
圧力対応:×
実勢価格:6万5000円前後(税込)
4位(同着) アイリスオーヤマ 自動かくはん式調理機 CHEF DRUM
鍋の角度を調節でき、グルグルと回転する新しい自動調理鍋だ。パナソニックやシャープのようにかき混ぜる棒や羽根のようなものはなく、本体が回転するので食材をムラなくかくはんしながら調理できる。
パワフルな火力で焦げ付きや味のムラを抑え、煮物や炒め物、揚げ物までできる。今回は主に煮物系で試したので、やはり圧力系と比較すると肉がやわらかくなるまで時間がかかってしまった。
ただ、食感を残したい方であれば、かぼちゃの煮物などは好みかもしれない。圧力をかけるわけではないので、手軽にマニュアル操作で時間を足せるところも便利だった。気になったのは、操作性だ。メニュー番号で指定をするのだが、調理できる種類が多いので番号を指定するのが思いのほか大変だった。
他社のモデルはメニューなどの検索がしやすく、設定もわかりやすいものが多かったが、常にレシピブックを見ながら設定する必要があったので、その点は改良してほしい。
S P E C
消費電力:900W
サイズ:幅×奥行×高さ:37.0×27.9×34.3cm
質量(約):7.2kg
容量:満水容量4.5L:調理容量2.0L
圧力対応:×
価格:1万7980円
4位(同着)シロカ おうちシェフPRO L
他社にはない特徴で、一番惹かれたのは蒸気がほぼ出ないこと。圧力鍋の自動排気はかなり勢いよく蒸気が排出されるものが多く、音も大きく驚くことがあるが、静かで蒸気がほとんど出ない。これなら場所を選ばず、小さなお子さんがいるご家庭でも安心して使うことができる。レシピはヘルシーな料理が多い。
他社よりもレシピは一手間加えるものが多く、美味しさを追求している印象だ。圧力調理に関しては、味のバランスはよく染みこんでいるものの、圧力をかける時間が長いのか、野菜の煮崩れが少々気になった。また、使い勝手の面では操作パネルが少し見にくい。
内鍋に取っ手がないために横幅はスリムであるが、熱いうちだと取り外しがしにくいという点も残念だった。本体のフチに細い溝があり、そこは掃除しにくかったので改善してほしい点だ。全体的に調理内容というよりも、お手入れや操作性でポイントを落とした。
S P E C
消費電力:800W
サイズ:幅×奥行×高さ:34.5×30.5×25.6cm
質量(約):5.8kg
容量:満水容量4.7L 調理容量2.4L
圧力対応:○
実勢価格:-
今回はおすすめの最新5モデルを比較したが、やはり群を抜いていたのはパナソニックの「オートクッカー ビストロ NF-AC1000」だ。圧力をかけながらかき混ぜられる機構はこれまでなかった。時短かつムラがなく、しっかりと味が染みこんでおり、どれも完成度が高い。価格が一番高いということを差し引いても、おすすめできる自動調理鍋だ。
製品貸与:パナソニック、ティファール、シャープ、アイリスオーヤマ、シロカ