食材を入れておけば、ボタンを押すだけで調理できる「電気調理鍋」。つきっきりになることもなく、火加減を調整して手の込んだ料理が作れるので人気だ。今回は人気の電気調理鍋5モデルをプロ家電レビュアーの石井和美が徹底比較。5モデルのうち、パナソニック、ティファール、シロカの3モデルは圧力をかける電気圧力鍋タイプ、シャープとアイリスオーヤマは圧力をかけない電気調理鍋タイプだ。それぞれ作る料理によって得意不得意も異なる。
比較したのは「豚の角煮」「かぼちゃの煮物」「カレー」で、あとは本体の「操作性」「独自機能」「お手入れのしやすさ」の合計6項目で評価している。調理についてはすべて4人分、一部をのぞいて付属のレシピ通りに行い、やわらかさや煮崩れの有無、味のしみこみなどをチェックした。日常的に使うことを考え、使いやすさも評価している。
パナソニック
「オートクッカー ビストロ NF-AC1000」の特徴
「圧力」と「かき混ぜ」の機能を合わせ持つ業界初の電気調理鍋。鍋に独自の羽根が搭載されており、かき混ぜを鍋底で行なえる。高火力で調理しても鍋底をさらうように混ぜながら調理できるので、焦げ付きを抑えつつ、煮込みなどができる。煮物だけではなく、チャーハンや野菜炒めといった、炒めものもカバーできる。
Point ①「豚の角煮」
調理時間は1時間50分。鍋底からかき混ぜることで、煮詰めても焦げつかず、調味料がムラなく絡まっている。下準備ではレシピ通り、肉は大きめに切っているが、加圧によってやわらかい。しっかり味が染みこんでいて、煮崩れもなかった。
Point ②「かぼちゃの煮物」
圧力をかけると煮崩れしやすいかぼちゃの煮物も、形を保ったままでほくほく感を楽しめた。照りもよく、煮詰めているので味はしっかり。調味料は少ないものの、混ぜることによってムラなく中まで味が染みこんでいる。
レシピの「ポークカレー」を作った。他社と比較すると水の分量が少ないため、濃いカレーに。かき混ぜなければ焦げる粘度だったが、羽根があるので焦げ付くこともなく、じゃがいもも崩れていない。
Point ④「操作性」
フラットパネルとタッチキーで、シンプルな操作。アプリでも設定を送信できるので、本体は「スタート」ボタンを押すだけで調理もできる。内鍋は高さが低く、間口が広いので食材を入れやすい。内鍋に取っ手がついているのも便利。
Point ⑤「独自機能」
鍋底にかき混ぜる羽根がついており、かき混ぜながら、高い圧力で調理ができる。羽根は独自形状で、火力が強くても鍋底からすくい上げられるので焦げ付きがない。煮物だけでなく、チャーハンや野菜炒めなどの炒め物も美味しく仕上げられる。
Point ⑥「お手入れのしやすさ」
洗う部品が少なく、羽根も簡単に外してサッと洗える。蓋の部分は指紋がつきやすいツルツルした素材だが、アプリから設定をするようになるとお手入れはラクになる。蓋からたれる水が溜まりやすいので、溜まる部分は外せるようにしてほしかった。
かき混ぜながら作れるので、ムラがなくしっかり味が染みこむ
電気調理鍋は「ほったらかし」「時短」「失敗しない」といったイメージが大きいが、オートクッカー ビストロは、さらにとびきり美味しくできるので驚いた。かき混ぜながら作る料理はムラがなく、焦げ付かずにとても美味しく、満足度も高い。
また、高圧力で調理できるため、調理時間も短く、味も染みこむ。フタを閉めて調理をしても、自動で排気しながら煮詰めることができるので、角煮も煮汁がとろりとしており、水っぽさがなく、理想的な角煮に仕上がった。炒める調理も得意で、さまざまな調理方法に対応している。
付属のレシピブックのほか、無料アプリ「Kitchen Pocket」にもレシピが掲載されている。現在もさまざまなレシピが紹介されているが、さらに色々と作りたくなるので、アプリの方でレシピが増えることを期待したい。
製品本体はサイズが少し大きめだが、そのぶん内鍋は間口が広く、浅いので食品を入れやすい。また、内鍋には取っ手がついているので、鍋がまだ熱い状態でも外すことができる。一般的な電気圧力鍋はフタが重く、閉めにくいものも多いが、ハンドルをサッと回してセットできる手軽さも毎日使用する前提では大事なポイントだった。
アプリでレシピ検索、本体への送信もでき、調理が終わるとスマートフォンに通知が届くのはとても便利だった。お手入れもカンタンで、全体的にバランスがよい。デザインもモノトーンで高級感があり、電気調理鍋としては細部まで質感にも高級感がある、スタイリッシュなデザインだ。
S P E C
消費電力:1290W
サイズ:幅×奥行×高さ:33.3×33.6×26.0cm
質量(約):8.2kg
容量:満水容量4.2L 調理容量2.4L
圧力対応:○
実勢価格:8万8000円
製品貸与:パナソニック