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こばかなの、無駄話から生まれる“感性”の法則

「SNSで発信しなければ……」と、焦らなくていい理由

author: こばかなdate: 2022/11/04

さまざまな事象を分かりやすい図解で表現し、Twitterやnoteでの発信で支持を集めるこばかなさん。多摩美術大学を卒業後、デザイナーとして歩み始めたのち、コーチング会社THE COACHの代表を務める。SNSなどで発信する内容は理路整然としているこばかなさんだが、普段どんなことを考えているのか。そして普段の発信から削ぎ落とされている“無駄”な部分にこそ、感性を刺激する大事なモノが宿っているはず!



外からの力が作用しなければ、物体は静止、または等速度運動を続けるという「慣性の法則」をなぞり、「こばかなの無駄話から生まれる“感性”の法則」と題した連載。こばかなさんと無駄話をして、日々の生活で静止しがちな思考を動かし始めよう。第11回目は、SNS上での発信についてのお話し。

発信することには才能がいる

「世の中には大きく分けて、TwitterやInstagramなどのSNSで息を吸うように発信し続ける人と、そうでない人がいる」。これが私の持論なのですが、発信し続けられるということは、ある種の才能だと思います。

もちろん世の中の多くの人は、自分の友達とつながっているアカウントでつぶやき的なストーリーをあげたり、ツイートしたりしますよね。ただ、どんな場合でも発信について共通して言えることがあると私は思っていて。

それは「自分の内から湧いて出る感情があり、それを世の中に言いたくて仕方がないというエネルギーが、人を発信へと向かわせる」ということです。

友達にLINEとかで直接伝えることでもない。だけど内に秘めてはおけず、誰かに伝えたい……。やっぱり「この思いを誰かに見て欲しい」というような、承認欲求にも似た気持ちが心のどこかにあるから、人は発信する。もしそういう気持ちがないなら、一人で日記を書いているだけで満足するはずですからね。

思いの受け止め先を人は欲している

では、なぜ発信することが才能だと言えるのかというと、こういう「自分の思いを見てもらいたい!」というエネルギーが強い人って、意外と少ないからです。

たとえば私が発信の才能と考えるときに、真っ先に思い浮かぶのがnote社CXOの深津貴之さん。UI・UXデザインの会社『THE GUILD』で一緒に仕事をしていたときから、深津さんは隙間時間にTwitterをチェックしつつ、驚くべき量の発信を続けていた。

実は私も10年くらい前はTwitterに常時張り込んでいて、やめたいのにやめられないみたいな時期もあって。当時Twiterには時間あたりの投稿回数制限があって、それを超えるとアカウントが停止してしまう規制があったんですが、それをゆうに超えるレベルでツイートしていました。

そんな私でしたが、数年前に発信欲が一気に落ちたんです。その理由は明確で、パートナーができたから。自分の言いたいことをパートナーが受け止めてくれるから、世の中にもの申す必要がなくなったんですね。結局、私は溢れてくる思いの受け止め先を欲していただけなんだ、と気づきました。

発信するということの意味

私は、特にビジネスパーソンの方を中心に次のような相談をよく受けます。「発信しなければと思うけど、どうすればいいか」。あるいは「フォロワーはどうしたら増えるのか」など……。

こういう質問をいただいたとき、身も蓋もないとは思うのですが、「無理して発信しようとしてもおそらく続かないので、他のことに時間を使った方がいい」と答えています。もちろんフォロワーを増やすための再現性のあるテクニックは存在しますし、発信する努力を続けることは無駄ではないかもしれません。

また、いまの世の中「発信は別にしなければいい」と言い切られても、モヤモヤが残る人は一定数いますよね。インターネット上の存在感が大きな実効力を持つ現在、発信し続けられる人がキラキラして見えて、「自分もやらなければ」とプレッシャーを感じる人は多いでしょう。

でも、そもそも発信できないと悩んでいる人が、息を吸うように発信し続ける人に勝てるかというとおそらく難しい。それに実際、SNSはただの手段に過ぎないので、ほかにもっと人それぞれに合った代替手段があるはずなんです。この点を理解するのがポイントです。

発信なんて、しなくてもいい

SNSでフォロワーを増やしたいと考える人は多いです。でも、それは一体何のためでしょうか? SNSでの発信はそもそも、何かを成し遂げるための手段であるはず。でも、その手段が別にSNSである必要はなかったりします。

特にビジネスパーソンはフォロワーが増えれば仕事が増えると考えがちですが、実際のところはそういうわけでもないです。たしかにフォロワーが多ければ稀にボーナスタイムのようなものがあり、仕事が舞い込むこともなくはない。漫画『HUNTER×HUNTER』でいうところのハンターライセンスがある状態で戦える、みたいなことはあります。でもSNSを頑張るのも向き不向きがあるので、自分は違うなと感じたら別のやり方を模索したほうがいいです。

それに、私は何回かTwitterやnoteでバズったことがありますが、そこで思ったのは「バズっているのは自分ではなくてツイートだ」ということ。不特定多数の人って基本的に発信者には興味がない場合が多いです。

結局、目の前の仕事をコツコツ頑張っていれば、周囲の人から新しく仕事が舞い込んできたりするものです。また、何か新しい仕事をしたかったら、SNSで発信してフォロワーを増やすことを目指すのではなく、一人のキーパーソンに営業する方が良かったりもします。

だから、発信しなければと悩む必要なんて本当はありません。目的と手段を切り分けて、自分が一番得意な手段を取ればいいだけです。SNSは自分にとっての自然なペースで活用する、くらいの距離感が一番良いと思いますよ。

Text.弥富文次

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THE COACH 代表
こばかな

THE COACH 代表。デザイナーとして株式会社DeNAに入社後、株式会社THE GUILD、フリーランスを経て株式会社THE COACHを創業。キャリアとエグゼクティブを中心にコーチングの実績400人以上。国際コーチング連盟認定コーチ(ACC)。開講以来、講師として150名以上のトレーニングを担当。Twitterやnoteでコーチングについて発信しており、SNS合計フォロワー数6万人以上。
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