MENU
search icon
media
Beyond magazineでは
ニュースレターを配信しています
  1. TOP/
  2. ウェルネス/
  3. リモートワーク歴3年になって考える「現状の最適解」
ウェルネス

こばかなの、無駄話から生まれる“感性”の法則

リモートワーク歴3年になって考える「現状の最適解」

author: こばかなdate: 2022/10/04

さまざまな事象を分かりやすい図解で表現し、Twitterやnoteでの発信で支持を集めるこばかなさん。多摩美術大学を卒業後、デザイナーとして歩み始めたのち、コーチング会社THE COACHの代表を務める。SNSなどで発信する内容は理路整然としているこばかなさんだが、普段どんなことを考えているのか。そして普段の発信から削ぎ落とされている“無駄”な部分にこそ、感性を刺激する大事なモノが宿っているはず!



外からの力が作用しなければ、物体は静止、または等速度運動を続けるという「慣性の法則」をなぞり、「こばかなの無駄話から生まれる“感性”の法則」と題した連載。こばかなさんと無駄話をして、日々の生活で静止しがちな思考を動かし始めよう。第10回目は、リモートワークのお話し。

リモートワークのふたつの課題

もうそろそろ、私自身がリモートワークを始めてから3年くらいが経ちます。私が代表を務めるTHE COACHは創業直後からずっとリモートワークを実践してきて、コロナ禍が収まったとしても基本はリモート前提。ほとんど出社せずに仕事する環境が当たり前になっています。

リモートワークは今のところ、Zoomなどのミーティング系ツールと、Slackなどのチャット系ツールのふたつを駆使している会社が大半でしょう。でも、この方法だと「リモートワークの完成形」には少し遠いと思っていて。

まず、集中力の問題があります。在宅ワークなので生活との切り替えがなく、集中力が続かないと悩む人は多いです。逆に出社したい派も一定数いたりしますよね。

もうひとつはコミュニケーションの問題。メンバー間でチームワークを育みにくく、齟齬が生まれる場合も。現状のツールだけでは不完全だと感じる局面が多いです。

空間を切り替えることで集中力を保つ

悩むことも多いリモートワークですが、私自身、リモートワーカーのひとりとしていろいろと工夫をしてきました。まず、思い切って引っ越しを敢行。もともと立地の良い渋谷区に住んでいましたが、少し郊外の家に転居しました。家賃はほぼ変わらず、広さが2倍以上になって、働く環境がかなり良くなりました。

引っ越しにおいて、もっとも重要視したのは部屋数です。集中力が切れたときは、空間を切り替えることがとても大事だと思っていて。たとえばオフィスではミーティングの際に会議室に行き、終わったら自分のデスクに戻りますよね。こうすることで、自然とモードが切り替わって作業に集中できると思うんです。

それと同じことを家でもやろうと思うと、必然的に部屋数が必要。だから仕事専用の部屋が確保できる物件に引っ越しました。そこで作業をして、集中力が切れたらリビングに移動する。このように空間を切り替えることで集中を保っています。

また、気合いを入れて作業しなければならない日は、近場のカフェやコワーキングスペースを活用しています。特にコワーキングスペースで仕事をしていて思ったんですが、周りに集中して作業している人がいると、自分の集中スイッチも入るんです。そのときどきの仕事内容に合わせて空間をコントロールすることが、集中を保ち続けるコツだと思います。

雑談の欠如で失われていた価値

集中力の問題は空間を切り替えることである程度解決できるものの、もうひとつの「コミュニケーション問題」の方は、そううまくコトが運びません。

やっぱり顔を突き合わせて話さないと、普段みんながどういうことを考えているのか、どんな不満を抱えているかが見えてこないこともあります。組織のメンバーが同じ方向を見ているのか確信が持てず、慢性的に不安を抱えていました。

何とかしようといろいろ試してみました。まず思ったのは、リモートワークだと雑談不足になるということ。そこでリモートランチを行ってみたのですが、結局あまり効果を感じられなくて……。それで「雑談がなくなったことによって、失われている価値は何か」と、問いを変えるべきことに気がついたんです。

雑談によって得られる価値は「○○さんが何をした」という情報自体ではなく、コミュニケーションの上で見えてくる「相手の元気度」だったり、接触頻度を増やしたことで生まれる「心理的安全性」だったりします。

誰かと話をするときって、話す内容以上に「メタ的な情報」が多くを語ります。例えば、会話の間や相手の立っている位置、体の向きなど、あらゆる要素がその場の空気感を定義していく。そういったメタ的な情報があってこそ、お互いの理解が深まり、チームの一体感が醸成され得ます。

と考えると、Zoomでの会話はあくまで情報の交換がメイン。会議室などの固めの空間で話している体験と比較的近いので、いくらリモートランチで雑談をしたとしても、お互いの理解が深まらないんです。

現状の解決策として、定期的に社員みんなで合宿をしています。半分旅行の気分を楽しみつつ、お互いを理解するためのワークショップを組むんです。工程をデザインする準備は大変ですが、リモートワーク下では今のところベストの解だと思っていますね。

リモートワークの将来像

ここまで考えてきたリモートワークの課題について、将来的にはテクノロジーの発達によって解決されると私は個人的に考えています。最近はメタバースも注目されていますし、出社時のコミュニケーション上のメリットを享受しながらリモートワークする働き方は、スタンダードになっていくと見ています。

というわけで、今後も世の中的にはリモートワーク化が進むはず。企業の人材採用における競争戦略的に見ても、リモートワーク可能の条件は求職者にとって魅力的なため、企業もそのニーズに最適化していく必要があるでしょう。

リモートワークでも出社時と同じか、それ以上のパフォーマンスを個々人が発揮できるかが、当面の課題です。いろいろな工夫を逆に楽しみながらやってみると、毎日の仕事がより面白くなるかもしれませんね。

Text:弥富文次

author's articles
author's articles

author
https://d3n24rcbvpcz6k.cloudfront.net/wp-content/uploads/2021/11/113.jpg

THE COACH 代表
こばかな

THE COACH 代表。デザイナーとして株式会社DeNAに入社後、株式会社THE GUILD、フリーランスを経て株式会社THE COACHを創業。キャリアとエグゼクティブを中心にコーチングの実績400人以上。国際コーチング連盟認定コーチ(ACC)。開講以来、講師として150名以上のトレーニングを担当。Twitterやnoteでコーチングについて発信しており、SNS合計フォロワー数6万人以上。
more article
media
「1人行動が好きだけど、将来が不安です」
ウェルネス
date 2024/11/20