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Z世代のアドベンチャー(冒険者)たちに捧ぐ

山田Gの「大人の社会見学」 vol.3:コンカフェ

author: 山田ゴメスdate: 2022/06/05

還暦間際のベテランライターが老体に鞭打ちながらも「考えるな! 感じろ!」と自身を奮い立たせ、さまざまなジャンルの「新しい経験」にチャレンジ! そこで得た感動と成長を、Z世代の『Beyond』読者諸君にもお伝えすることを旨とする体験ルポ型の本連載も、はや3回目──今回は、意外とこれまで行きそびれてしまっていた「メイド喫茶」……令和風に表現するところの「コンカフェ」に初凸撃!!

わたしはどうも、性癖として「コスプレ」に対する執着が薄いようで、仮にエロチックなシチュエーションにおいて女性にコスチュームを強要“しなければ”ならない場合でも、「じゃあボディコンでお願いします」「なるべくエッチな下着がいいです」……程度の、やんわりとしたリクエストを丁寧語でするのがせいぜい、関の山だったりする。

結局、肝心なのは“中身”であって、女子高生だったりCAだったりの制服やメイド服などの“ウワモノ”にはちっとも食指が動かない──だから「はじめてのオープンは20年以上前」との説もある「メイド喫茶」にも、これまで足を運ぶ機会は一度もなかった。いや!「あえて足を運ばなかった」と言ってしまったほうが、より正確だろう。

そんなわたしのもとにある日、古くからの付き合いである男性編集者からこんなお誘いが……。

「オレの友だちが今度、秋葉原でコンカフェをプロデュースしたんで、行ってみませんか?」

正直、最初はあんまし気乗りがしなかった。けれど、話をよくよく聞いていると……その「オレの友だち」ってのが、あのカリスマ元セクシー女優・上原亜衣であることが判明! “中身重視派”のわたしゆえ、「行く行く〜!」と“いつも”のように二つ返事で快諾した。

「コンカフェ」とは?

某日の午後8時前。JR秋葉原駅の「電気街口」を降りて、中央通りを地下鉄広末町駅方面へと向かう。

目的地に到着するまでに、道沿いに点々と立つメイド服を身に纏(まと)ったムスメさんたちが、アニメ声でさかんに客引きをしている。この時間帯の秋葉原にはほとんど馴染みがないわたしにとっては、なかなかに新鮮な光景だ。

5分ほど歩いて、指定された住所へと到着した。店名は「eternal stage(エターナル・ステージ)」──直訳すれば「終わりがない舞台」? いい名前である。お店が入っているビルのエントランス前には、「秋葉原コンカフェ 上原亜衣 電撃参戦!!」とのコピーが、ご本人のバストアップ写真上におどる電飾看板がドカンと置いてある。

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「コンカフェ」とは「コンセプト・カフェ」の略語であり(※わたしは真剣に「婚活カフェ」の略語だと思い込んでいたw)、そのルーツであるメイド喫茶との差別化を図った「特定のテーマで独自のコンセプトを展開するカフェ」のことを指すらしい。ちなみに、「eternal stage」のコンセプトは

「ステージでファン(=客)と一緒に盛り上げながらアイドルを養成すること」

……なのだそう。

エレベーターで6階まで上がって、扉が開くと……店内はやたら明るい。まるでモダンなデンタルクリニックみたいに強い明度の照明で、いわゆる“淫猥”な雰囲気は一切ない。その清潔感に、まずは意表を突かれた。

あと、相当に広い。白を基調としたスクエアな空間のエントランス側にはカウンター席があって、中は丸テーブルと簡単なソファが。さらに、その奥にはステージが設置されており、そこからランウエイが客席へと向かってT字型に伸びている。

予想以上に本格的なつくりであり(※実際、こうも立派なステージがあるコンカフェは稀…とのこと)、これからここで我々は一体なにをすればいいのか、なにをしてもらえるのか、まったく見当もつかない……ただ戸惑うばかりのわたしなのであった。

あの上原亜衣ちゃんと夢のご対面!

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入店して5分も経たないうちに、もったいつけるわけでもなく、いきなり上原亜衣ちゃんが登場! わたしと友人が座るソファに付いてくれる。

「はじめまして〜!」

……と、満面の笑みで挨拶をしてくれるメイド服姿の亜衣ちゃんを眼前に、ふと不思議な既視感がよぎる。二次元の世界では散々お世話になってきた(はずの)“セクシーシンボル”が三次元で、しかも1メートルにも満たない距離で会話まで交わしてくださって……。ちまたの大勢の男子たちにとっては、下手な女性タレントと対面するよりも歓喜の度合いは大きいのではなかろうか。

コンカフェはキャバクラでもガールズバーでもないため、原則としてはテーブルを隔てたスタンディングスタイルの接客となる……らしい(※写真は取材中のためご着席いただいた)。

このあたりで「上原亜衣」の現在に到るまでの簡単な経歴を紹介しておこう。

2011年:AVデビュー
2016年:引退
2019年:しばしの休業ののち、タレント業に復帰
2022年2月:自身がプロデュースを手掛ける「eternal stage」プレオープン
2022年4月1日:「eternal stage」グランドオープン

セクシー女優になる前はメイド喫茶でアルバイトしていた経験もあるという亜衣ちゃん。また、女優時代は秋葉原でイベントにもよく参加していたそうで、元々「セクシー女優」と「アキバ」は親和性が高いとも聞く。

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「コンセプト会議からメイドコスチュームのデザイン…と、がっつり(お店の立ち上げには)関わってきました。タレントがプロデュースしているコンカフェはまだ珍しいので、その発信力をフルに活用して、次世代のアイドルを輩出していきたいですね」(上原亜衣)

“プロデューサー”としての熱い想いがヒシヒシと伝わってくる、じつに力強いお言葉である。なるほど!? コンカフェって……そーいうスポットだったんですね?

コンカフェを楽しむコツと禁止事項

ほんのりと察するかぎり、どうやらコンカフェは「女性を口説く場」ではないようだ。じゃあ、わたし(ら男子)はこのコンカフェをどう楽しめばいいのか? そんな“基本の基”を亜衣ちゃんに質問してみる。

すると、彼女は「未成年の子も働いているので、ポイントは“健全”です」と前置きしたうえで、五箇条の「楽しみ方のコツ」を伝授してくださった。

其の一:禁止事項に該当する行為は絶対にしない!
其の二:推しメンをつくる!
其の三:女の子にドリンクを奢ってあげる!
其の四:チェキ・ダーツほかのコミュニケーションツールを最大限利用する!
其の五:オタク的な話題はむしろプラス!

「其の一」にある「禁止事項」は、おおよそだと以下のとおり。

・メイドさんたちに触れる行為
・メイドさんのプライバシー(電話番号・アドレス・LINE等)を聞くこと
・出入り口での待ち伏せ、ストーカー行為
・未成年の飲酒、喫煙
・店内、店外でのメイドさんたちの撮影(ドリンク・フード・自撮りはOK)
・卒業したメイドさんとの交友や情報交換を行う行為(SNS全般)
・スカウトおよび引き抜き行為

ボディタッチは×、連絡先交換も撮影も×……と、キャバクラやガールズバーと比べれば、やや厳しめである。

基本料金は40分飲み放題で3000円。推しメンを決めて、メイドさんのドリンク料:1000円〜、メイドさんとのチェキ撮影:1000円〜、メイドさんとのダーツプレイ料:1000円〜……ほか、払うモノは気前良く払って、おたがい気持ちよく遊ぶ──ひと言でまとめてしまえば「良い客であること」、究極的には「良いファンであること」こそが、コンカフェで“モテ”を獲得するための最大の秘訣なんだろう。

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「健全さ」こそが新しい!?

入店して30分も経ったころ……「未成年のメイドさんもいる」という事実が、けっこうに高いハードルとなっていることを、あらためて痛感した。自身の年齢や社会的立場(そう大したもんでもないのだけれどw)を考えると、お酒を勧めてメイドさんを酔わせるような“蛮行”は論外で、連絡先の交換どころか指一本触れるのさえおっかない。おのずと「良い客」として振舞わざるを得ないのだ。

亜衣ちゃんが他の席へと去っていったと同時に、「アニメが大好き」という18歳のとあるメイドさんが付いてくれた。

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アンダー20の女子と対面でお話しするなんて、姪っ子を除けば、まだ当時は小学6年生だった元SKE48の松井珠理奈にインタビューしたとき以来ではないか?

アニメ情報が『巨人の星』『宇宙戦艦ヤマト』あたりで止まってしまっているわたしとしては、なにを話題にすればいいのかさっぱりわからないので、わたしら世代と彼女ら世代各々に馴染みが深いキーワードを代わりばんこにぶつけ合って、そこで生じるジェネレーションギャップに一喜一憂する“ゲーム”に興じることにする。

ゴメス「ミスチルは知ってる?」

メイドさん「知ってますよ〜!」

ゴメス「じゃあ、グレイは?」

メイドさん「ん〜っ…なんとなく」

ゴメス「じゃあ、ケミストリーは?」

メイドさん「え! それってバンドの名前ですか〜!?」

最近の10代が「ケミストリー」の名前すら知らなかったことには心底びっくりした。そして、彼女が口にしたバンド名(らしき)キーワードは……どれも初耳の、異星人の言語にしか聞こえないようなものばかりであった。

わたしは生粋の女好きである。振り返るに……公私問わず、相手がプロであろうとアマであろうと、この半生で「色恋」という着眼を正真正銘抜きにして(成人した)女性と接したことはほぼなかった……気がする。

そういう意味では、下心ゼロの「健全さ」をもってコンカフェでメイドさんたちと無邪気にコミュニケイトするのも、またひとつの未知たる経験だったのかもしれない……と、このたびのメインイベントである5分ほどのショータイムで両手に握りしめたペンライトを揺らしながら、わたしはわたしなりの“結論”へと辿り着けたことに、軽い満足感をおぼえていた。

[追記]総額は二人で10350円。なお、冒頭のサムネイル写真でゴメスが両手でやっている謎の指先は今、若い女子のあいだで一番イケてる「ハートマーク」のサインであるらしい

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eternal stage

住所:東京都千代田区外神田4-4-3 秋葉原SILビル6F
電話:03-6260-8995
営業:14:00〜23:00
Twitter:@StageEternal

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文筆家・イラストレーター
山田ゴメス

大阪府生まれ。年齢非公開。関西大学経済学部卒業後、大手画材屋勤務を経てフリーランスに。エロからファッション・学年誌・音楽&美術評論・人工衛星・AI、さらには漫画原作…まで、記名・無記名、紙・ネットを問わず、偏った幅広さを持ち味としながら、草野球をこよなく愛し、年間80試合以上に出場するコラムニスト兼ライター&イラストレーター。『麗羅』(漫画原作・作画:三山のぼる/集英社)、『「若い人と話が合わない」と思ったら読む本』(日本実業出版)、『「モテ」と「非モテ」の脳科学~おじさんの恋はなぜ報われないのか~』(菅原道仁共著/ワニブックスPLUS新書)ほか、著書は覆面のものを含めると50冊を超える。特に身体を張った体験取材モノはメディアからも高い評価を得ている。2019年、HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)カウンセラー資格取得。2020年、温泉マイスター取得。2022年、合コンマスター取得(最年長)。
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