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WAKAYAMAごんぱち家族の移住日記♯6

楽しんで自然農!こだわり過ぎるな自然脳!

author: 利根川 幸秀date: 2022/04/08

「WAKAYAMA」こと和歌山県への移住を本格始動した利根川一家。連載6回目は、地方ならではの憧れのライフスタイル「家庭菜園」について。利根川一家の畑「きみよファーム」の収穫の成果から、一歩間違えば村八分にされてしまうかもしれない農法の種類まで……。楽しくレポートしてもらいます。

東京にいた頃、ベランダで家庭菜園をしたり、郊外に畑を借りて野菜を作ったりしている知り合いが何人もいた。田舎では山あいに畑があり、畑の中に家があるような暮らしで、本気になれば都会の小・中学校の敷地くらいの田畑を借りることだって難しくない。田舎は農に関する選択肢と可能性が無限大。そんな中で始まった「きみよファーム」の遊農スタイル! 目指すはゆるくて楽しい“自然農”!!

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 自然農!2カ月経ったら、“雑草園”

借りたら耕せ、草を刈れ!

こんにちわカワイイえだまめちゃん
借りた畑の耕しはじめ
豊作の予感びんびん!サツマイモ

「空いてる畑があるけど、どうや?」と声をかけてもらい、始まった「きみよファーム」(妻きみよ担当)。焼き芋が食べたいからサツマイモ、子どもが好きだからえだまめ……。食べたいものを自分で決めて作れるのが、自分で畑をやる醍醐味。借りた畑は、ありがたいことに害獣よけの電気柵ネットが張ってあり、そんな好条件にもかかわらずそこに畑があるのは「きみよファーム」だけ。

他の人を気にせずのびのび畑に取り組める最高の環境! 自分の畑なので失敗したって問題なし! ひとまず「無農薬・無肥料」の自然農法をやってみることにした。とはいっても、あまりこだわらないので、“マジ自然農”の人たちから見たら、遊んでると思われそうな「遊農スタイル」。とにかく先輩の“農達者”の皆さんに色々と教わりながら、楽しめる畑をモットーに「きみよファーム」は始まった。

自然農は耕さないのが基本だが、こだわらない自然農なので、さっそくサツマイモ畑とえだまめ畑を耕して藁を敷いた。それから苗を植えて、あとは定期的に水をやりに来るだけ。暖かくなってくると、雑草の成長が早くなる。特に夏の雑草の増え方は半端じゃない(鬼早い)。

規模にもよるが、一週間も経ったら、除草作業が一日がかりになってしまう勢いだ。ここに来て、こだわらない「きみよファーム」の自然農ルールが本領を発揮する。水やりの片手間で抜いていては追いつかない雑草たちを、「自然農は除草をしない場合もあるらしいで」と呟きながら見て見ぬ振りをしているうちに、「きみよファーム」はみるみる雑草畑へと成長していった。※借りた畑で自然農をする場合は、貸し主にその意図を伝えておくことを、お勧めします(笑)。

自分的には自然農、他人が見たら“放置農”!

荒れ地に見えるが畑です(自宅ファーム)
ジャングル畑でパクチー栽培!(自宅ファーム)

田舎に行ったら家庭菜園をやってみたい人はたくさんいるだろう。妻のきみよもまさにそのタイプで、近所のおじさんに教わったり、ネットで調べたりしながら、オーソドックスなやり方からマニアックなやり方まで、いろいろと実践して楽しんでいる。移住してから、家庭菜園をやる人の中には、自然農法(無農薬、無肥料、不耕作、不除草など)をやる人も多いが、ここで移住者あるある、田んぼ・畑のトラブル話をしておきたい。

僕たちが引っ越してきたエリアでは、代々、農作業をやっている地元の人で、自然農法でお米や野菜を育てている人は、まずいない。そんな中で、ごりごりの自然農法をいきなり始めると、反感を買ってしまうことが多い。特に無農薬で不除草の部分が誤解や反感につながっているようだ。

無農薬(害虫や病気の被害が他の畑にも拡がる可能性)、それと、不除草による雑草問題。田舎は代々引き継いできた土地を大切にしている人が多く、農作業をすることで土地が荒れないため、無償で畑を貸してくれることも多い。そのため貸したにも関わらず、畑が雑草でボウボウ状態などは、よほどの理由がない限りレッドカードに近く、すすんで村八分の入り口に立つようなものだ。

また、自然農法をする人の中には、こだわりが強いあまりに他の農法を否定しがちな人がいるのも、トラブルの理由の一つのような気がする。家庭菜園なんて、こだわり全開よりも、その土地の人の話を聞いては、「へぇ〜! ほぉ〜! えええ!」ってやるくらいが楽しいのだ。「エンジョイ! 畑!」のはずが、「炎上! 畑!」にならないように「きみよファーム」では謙虚に楽しく、こだわらない精神を大切にしている。それでも畑はボウボウです。※自然農は誤解されないためのコミュニケーションが大切です(笑)。

何はともあれ、収穫あっての畑です

芋掘り芋づるワーイワイ!
農薬不使用だから虫くん達も食べ放題
念願の自給自足で焼き芋!

夏頃は、畑が雑草でジャングルと化したことによって、途中退場させられるんじゃないかとヒヤヒヤ(勝手に僕が)心配していたが、「きみよファーム」は無事、初めての収穫を迎えることができた。芋掘りする頃には芋の葉っぱは、イモムシくんたちに完食されていたけど、気にしない気にしない。お芋が取れたらいいんです! 

20kg以上の収穫、掘っても掘っても、いくらでも出てくる芋掘りは、宝探しのような楽しさがあった。ツタをたどっていくと、土の中にチラリと見えてくる赤ピンク色に、幼少期、保育園の遠足で芋掘りをした淡い記憶も呼び覚まされる。ノスタルジックな気持ちになったが、3秒もしない内にもっと大きいイモ! もっと大きいイモ! と、収穫欲求がどんどん膨らんでいった。

そして、一方のえだまめちゃん。それなりに成長して豆をたくさんつけてくれたので、外見は完璧。ただ、中身がスカスカというとても残念な結果に。「そんな人間になったら、いけないぞ! でも、えだまめちゃんは頑張って大きくなったから、なんつーか、エライな!」と、謎の菜園教育を子どもにしながら、なぜ中身がスカスカになったのかを聞かれても、答えることはできなかった。

なんでだろう?と思いながらも、家庭菜園は「考えるより感じろ! サイエンスより、菜園っす!」と、自分に言い聞かせた。そして何より、自然農法という名のもとに、借りた畑をジャングル畑にしても、雑草には目もくれずに苗に水やりをしていた“ファーマーきみよ”に、ただならぬ“野良魂”を感じた。※自然農は貸し主の理解がとても大切です。

次回は、キングオプ野良仕事!ライス・メイキング・イン・ザ 田んぼでーす!

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フォトグラファー
利根川 幸秀

1978年埼玉育ち、99年にインドよりエジプトまで陸路で旅して、途中イスラエルで旅費を稼ぎ、2000年ハンガリーより帰国、その後も東南アジアなどバックパッカーしたのち、職人などを経て、2006年写真家・𣘺本雅司氏に師事。2010年フリーランスとして独立。雑誌、webメディア、ポートレート、家族写真等、多岐にわたり撮影。趣味:川遊び、ダム瞑想。2021年、家族で東京より和歌山に移住。
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