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上段深型ケース&霜つき抑制で冷凍室が“使える”大容量へ

パナソニックが挑んだ「小さいのに大きい」冷蔵庫の答え

author: 滝田 勝紀date: 2025/04/28

パナソニックは、現代の都市型住環境に対応すべく、省スペース設置と大容量化を両立した新シリーズ「コンパクトBIGシリーズ HYタイプ」を発売した。キッチン空間で最も場所を取る冷蔵庫において、設置面積を増やすことなく収納力を高めた本シリーズは、狭い住まいでも“大きな冷蔵庫が欲しい”というニーズに応える、革新的な提案。今回は家電スペシャリストの滝田勝紀が、この製品の革新性・実用性・都市型生活への適応力を専門的視点から紐解きます。

住空間縮小と高まる冷凍ニーズへの解答

近年、共働き世帯や単身世帯の増加、都心の住宅価格上昇などを背景に、日本の住宅面積は縮小傾向にあります。特に都会のキッチンでは、大型冷蔵庫を置きたくてもスペース上の制約で諦めるケースも少なくありません。一方で、時短や食品ロス削減の観点から冷凍食品の活用が広がり、一度に多く買い置きして冷凍保存したいニーズは高まる一方です。こうしたジレンマに応えるべく登場したのが「コンパクトBIG」シリーズであり、最新モデルHYタイプではその代表的機種。じ設置寸法で庫内容量を増やす取り組みは年々進められ、9年前のモデルに比べ約50Lも容量アップ。昨年モデルからも+26L(525L→551L)もの拡大を実現しています。

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● 型番:NR-F55HY2(定格内容積551Lモデル)
● 寸法:幅650mm×奥行699mm×高さ1850mm
● 主な機能:奥まで見えるフルオープン(ベアリング式高耐荷重レール)、上段ケースカバー、急速冷凍モード、自動製氷、エコナビ運転、省エネインバーター、静音設計
● カラー展開:ヘアラインシャンパン、パールホワイト
● その他:庫内LED照明、ナノイーX+Wクリーンフィルター(抗菌・脱臭)、パーシャル/チルド切替室
●価格:オープン価格(公式通販サイト価格)税込 ※NR-F55HY2 316,800円

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薄型断熱材が生む“大きく使える”冷蔵庫

HYタイプ最大の特徴の一つが、断熱壁の薄型化と冷却ユニットの小型化による新しい薄壁構造です。従来と同じ外形サイズのまま内部スペースを広げるこの技術により、最上位モデルでは定格内容積551Lもの大容量を確保しました。庫内容量拡大の恩恵は特に冷凍室に表れており、例えばNR-F55HY2(551Lモデル)の冷凍室容量は従来比で14L増加しています。容量アップには、数字以上の価値があります。限られた設置面積でより多くの食材ストックが可能になることは、買い物の頻度削減やまとめ買いニーズに直結し、忙しい現代人の生活効率化につながるからです。

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“ワンダフルオープン”な引き出しで効率収納

冷凍庫はただ大きくすれば良いわけではなく、いかに効率よく整理し取り出せるかが重要です。HYタイプでは、冷凍室と野菜室の引き出し構造を刷新し、100%フルオープンで奥までしっかり見渡せる設計を実現しました。従来より引き出し長を約5cm延長することで奥行きいっぱいまで引き出せるこの「奥まで見えるフルオープン(ワンダフルオープン)」構造は、奥にしまい込んでしまいがちな食品の存在を忘れて無駄にするリスクを減らし、手前から奥まで隅々まで無駄なく収納スペースとして活用できます。

特に新採用の上段深型ケースは高さ約12cmと深く設計され、立てづらい冷凍食品パッケージもタテ置き収納が可能です。ピザや冷凍野菜パックなども立てて並べれば、何が入っているか一目で分かり、探しやすくなります。上下2段にわたる大容量フリーザー全体を見ても、単に容量が増えただけでなく「使い切れる大容量」としての配慮が行き届いていると言えるでしょう。

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霜つき抑制で鮮度キープ&省メンテナンス

冷凍庫内の霜問題にもHYタイプは目を向けています。上段ケースに蓋を設けた「霜つき抑制冷凍」機能により、引き出し開閉時や保存中の温度変化から食品をガードし、霜の付着を抑えて品質を守ります。パナソニックの試験では、市販の冷凍食品を開封後にこのケースに入れて4週間保存しても、おいしさが約1カ月間キープできたとの結果が報告されています。霜が付きにくいことで食品ロスが減るのはもちろん、庫内の霜取りに悩まされる頻度も減らせます。霜の付着は冷凍効率のロスにもつながるため、間接的に省エネ効果も期待できるでしょう。

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インテリアになじむ洗練デザイン

性能だけでなく、デザイン面でも都市生活者のニーズに応えています。本シリーズはフラットでミニマルな外観デザインを採用し、キッチン収納やインテリアとも調和しやすい佇まいです。カラーバリエーションは上品な質感のホワイト系やチャコールグレー系に加え、金属調のヘアラインシャンパンを含む3色展開。

木目調のキッチンともマッチする温かみのある色からモダンな質感まで揃え、冷蔵庫を“隠す”存在ではなく、空間の一部として引き立てます。実用性と美観を両立したそのデザインは、リビング・ダイニング一体型が増えた現代の住環境でも違和感なく溶け込むでしょう。

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家電スペシャリストが見る都市型冷蔵庫の新潮流

コンパクトBIG HYタイプは、限られた空間で豊かな食生活を実現するための知恵と工夫が詰まった製品です。省スペースと大容量、利便性、デザイン性という、一見トレードオフになりがちな要素を高水準でバランスさせた点に、技術者の執念すら感じます。都市部のマンション住まいでも、大型冷蔵庫の恩恵を妥協することなく享受できるこのシリーズは、まさに現代のライフスタイルに寄り添った“使える冷蔵庫”の新潮流と言えるでしょう。

冷蔵庫選びにおいて「サイズ優先か機能優先か」と悩んでいた消費者に対し、その二律背反を解消するHYタイプは有力なソリューションとなりそうです。今後、このような省スペース×大容量を追求した動きが他社にも波及し、冷蔵庫全体の進化につながっていくことを期待したいです。

Author : 滝田勝紀

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Beyondプロデューサー・家電スペシャリスト
滝田 勝紀

Beyond Magazineのプロデューサー。電子雑誌「デジモノステーション」の元編集長。All Aboutの家電ガイドとして活動中。楽天のショッピングSNS「ROOM」の家電公式インフルエンサーを務め、フォロワー数は40万人(2021年3月現在)以上を抱える。ベルリンで毎年開催される世界最大の家電見本市「IFA」ほか、海外取材の経験も豊富。インテリアスタイリスト窪川勝哉氏とともに、オフィス兼「家電とインテリアのショールーム」をオープン。コンサルティングクリエイターとしても活躍中。
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