アフリカと聞いて何を思い浮かべる? キリンやシマウマが歩く“最後のフロンティア”も、きっと正解。けれども、今はカルチャーもかなり面白い。今年チャートを席巻した南アフリカ出身のシンガー・Tylaのメロウなダンスチューンを聴けば、その予感を抱けるはずだ。
現地ではどんなカルチャーが根付いているのか。18時間のフライトで確かめに行くのも絶対楽しいが、まずは東京で手軽に体験してみるのもあり。アフリカのクラブミュージックをテーマにしたイベントを開催し、現地のカルチャーにも詳しいmitokonさんに、おすすめスポットやイベントをご紹介してもらった。
本場の味に舌鼓。渋谷の奥地にある小さなアフリカ「Los Barbados」
東京でアフリカを体験するなら? mitokonさんいわく、外せない場所が奥渋谷エリアにある「Los Barbados」だ。扉を開ければ所せましと並んだアフリカの民芸品やアート作品がお出迎え。BGMにはコンゴの伝統音楽・リンガラが流れ、濃密な異国情緒に一瞬で引き込まれる。
リンガラのミュージシャンでもある上川大助さんとパートナーの真弓さんが経営するこのお店。提供するのは、アフリカ大陸や中東の料理が中心だ。西アフリカの鶏肉レモン煮込み「プーレヤッサ」や、キャッサバの粉を使ったお餅のような「フフ」、オクラやレンズ豆、ファラフェルなどを盛り合わせた「ヴェジタリアン・マッツァ」など、耳馴染みのないラインナップが探究心をくすぐる。
「南アフリカでは休日に現地式のバーベキュー『ブラーイ』をいただくのが定番」とmitokonさん。そう聞くとぜひ頼みたくなるのが、鶏肉をこんがりと焼いた「アフリカン・グリルチキン」と、トマトとココナッツミルクで炊いた「ジョロフライス」のセット。インドや南米とも違う風味のスパイスが効いた味わいと、爽やかな酸味が効いたお米が食欲を刺激しまくる! 併せて、タンザニア生まれのジンのようなお酒「コニャギ」を飲めば大満足だ。
Los Barbados
住所:東京都渋谷区宇田川町41−26
営業時間:月火 11:30〜18:00、木~土 11:30~21:00、日 11:30〜20:00
定休日:水、隔週木
TEL:03-3496-7157
WEB:https://losbarbados-tokyo.com/
Instagram:@losbarbados_tokyo
400種類以上がずらり。南アフリカ産ワインを知るなら「a2 by af-liquor」
「Los Barbados」でいただいたお酒の美味しさに心奪われていると、「南アフリカはワインの生産量が世界7位」との情報が。
「確かにお酒好きの友人が南アフリカ産はいいと言っていたな」と思い出しつつ足を運んだのが、日本橋にあるリカーショップ「a2 by af-liquor」だ。天井が高く開放的な空間に、現地で仕入れた400種類以上のワインがずらりと並ぶ。「南アフリカのケープタウンの近くにあるワインランドという地域でよく飲んでいたんです。アフリカーは通信販売もやっているから、現地の味を思い出したい時に取り寄せていますね。リーズナブルな価格も嬉しいです」とmitokonさん。
南アフリカ産ワインの味は、店主の小泉俊幸さんいわく「大まかな傾向としては、酸味と甘味のバランスが取れていて、フランス産とアメリカ産の中間のようなイメージ」とのこと。ナチュールワインのように保存料の使用基準が厳しいのがポイントだ。アフリカンなデザインのエチケットも部屋に飾っておきたい存在感。
(左から)ほのかな甘みとコク、果実味が広がる“アフリカワイン入門編”的な「マリヌー クルーフ ストリート シュナンブラン(2750円)」、贈り物にもぴったりな最高ランクの「ザ・ヴィノニア オルフェウス & ザ レイヴン No.7 ピノタージュ(7480円)」、スパイシーな香りとコクのある口触りがクセになる「ガーディアンピーク シラーズ(2090円)」。
さらにブランデーやクラフトジンもラインナップ。要チェックなのは「クラックスランド ジン」だ。実は南アフリカにしか自生しないというルイボスを中心にミックスした意外性のある味わい。お酒好きの友人へのお土産には、これも良さそう!
a2 by af-liquor
住所:東京都中央区日本橋蛎殻町2-6-8日本橋KSビル1F
営業時間:12:00〜20:00
定休日:月
TEL:03-6231-0264
WEB:https://af-liquor.com/
Instagram:@af_liquor
アフリカンプリントに紙製アクセサリー。「RICCI EVERYDAY」で伝統技術に触れる
アフリカンプリントのアイテムも、やっぱり忘れてはいけない。デザインがいいのはもちろん、普段使いしやすい物ってある? 探すなら、神楽坂にある「RICCI EVERYDAY」がおすすめ。デザイナーの仲本千津さんがウガンダの職人と手がけたバッグやアクセサリー、服などを展開するお店だ。アフリカンプリントの魅力を日本で発信する一方で、現地の女性の雇用支援も行うなど、サスティナブルな側面にも注目したい。
「南アフリカの人たちが着ている服は欧米と大きく異なりませんが、帰郷するときや特別なイベントがあるときは生まれ育った民族の伝統的な衣装を着ることが多いようです。アフリカの人たちは“民族”に対する帰属意識を感じますね」とmitokonさん。
繊細で迫力あるアフリカンプリントを眺めていると、伝統技術への誇りが伝わってくる。特にチェックしたいのが「アケロバッグ」。豊富すぎる柄やサイズのラインナップに加え、肩にかけるストラップが付属するなど、幅広いシーンで使える工夫も嬉しい。
クラッチ、ショルダー、トート、ハンドバッグの4WAYで使える「アケロバッグ(1万1550円〜1万5180円)」。鮮やかな柄から優しい風合いのものまで、幅広いラインナップに目移りする。
他にも気になったのが、“ムトゥバ”という木の皮を加工した生地を用いた「バーククロストート」や、紙を手作業で丸めた「ペーパービーズ」のネックレス。馴染み深い素材とは異なる意外な質感は、いつものコーディネートに新しい風を吹かせてくれそうだ。
RICCI EVERYDAY The Hill
住所:東京都新宿区市谷甲良町2-17 ビルA
営業時間:12:00〜16:00(土日は11:00〜17:00)
定休日:火木
TEL:03-3266-7066
WEB:https://www.riccieveryday.com/
Instagram:@riccieveryday
アマピアノって知ってる? 現地のクラブミュージックを東京で堪能
アフリカのユースカルチャーにおける重要なキーワードが、クラブミュージック。南アフリカで生まれたミニマルな電子音楽「ゴム」や、タンザニア発の超高速ダンスミュージック「シンゲリ」など、個性豊かなジャンルが次々に生まれているという。中でも、近年ユースの耳を独占しているのが「アマピアノ」。ハウスやジャズ、現地の伝統的なリズムなどの要素がミックスされた音楽で、踊り出したくなるビートと、浮遊するような心地よい旋律が魅力だ。音楽配信サービスで「Amapiano」と検索すれば、グローバルチャートで人気のTylaやキング・オブ・アマピアノことKabza De Smallなどの様々な楽曲がヒットする。
「ヨハネスブルグにあるマボネンやブラームフォンテインなどの都会や、多くの人々が暮らすタウンシップという居住区にはクラブがたくさんあるんです。南アフリカのユースはそこでアマピアノを聴きながら踊る、というのが最近の定番の過ごし方ですね」とmitokonさん。
そう聞くと、サブスクやYouTubeだけでなくクラブで実際に聴いてみたくなる。アフリカのクラブミュージックをプレイするイベントは東京でも開催されているのだ。
「アマピアノやナイジェリアで生まれたアフロビーツをテーマにしたイベントを多く企画している『House of Music』や『AfroPiano Japan』は、六本木の『R3 Club Lounge』や銀座の『The Mint Gnza』などで定期的に開催されています。手前味噌ですが私たちが主催する『TYO GQOM』もおすすめ。どれも現地の方が多く訪れるので、時には“ここは本当に日本?”と感じることもありますね。異国のクラブミュージックに身を委ねる特別な時間を過ごしてみてください」
アフリカユースの遊びを東京で知る
ボリューミーな肉料理で腹ごしらえをして、好みのアフリカンプリントを探し、シメに心地よいアマピアノで踊る。そんな一日を過ごせば、現地のカルチャーへの理解もぐっと深まるはず。アフリカを知る第一歩として、まずは東京の街に繰り出してみてはどうだろう?