ワクチン接種が始まったとはいえ、まだまだ予断を許さない状況が続いている昨今。リモートワークも一部ではすっかり定着し、オンラインの画面で自分の見え方にドキリとさせられた経験のある読者もいることだろう。
“若者VS.中高年”という単純な図式ではない
2018年から始まったメンズメイクという新たな潮流で、その問題を解決している人もでてきた。その中でおもしろい傾向があり、20代以下は実際の自分の肌よりも明るく見せることを好み、40代以降ではより濃い色を求める人が多いという。
それは韓流アイドルなどの影響が大きい若い世代ではツルリとしたヒゲのない白い肌を理想としているのに対し、ミドルエイジは精悍さを求めて日焼け肌の演出を意識しているから。メンズメイクを手がけるブランドにヒアリングしたところ、やはり売り場でも同様の動きが見られるとのこと。
若い世代ではヒゲを嫌い、在宅時間が長くなるこのタイミングで完全脱毛に踏み切る人も少なくない。また、前回の日焼け止めの記事でも指摘したが、美容だけでなく健康意識が高い人ほど紫外線によるシミやシワなどの光老化を回避して、免疫を下げない努力をしていている。すると、スキンケアをよく知る若い年代では日焼け肌を求める数はどんどん少なくなっている、という図式が浮かび上がってくる。
一方で、小麦色は収縮系で、青白い肌よりは引き締まった印象を与え、ヒゲも骨格や顔立ちにうまくフィットすれば小顔に見せることができる。また、ヒゲにボリュームを出すことで、加齢で薄くなった頭髪から視線をずらすこともできるし、童顔に貫禄を出すこともできる。ある意味、「ヒゲはメイク」だ。このようなメリットを理解すると、中年男性が色の濃いファンデーションを選ぶのも一理ある。
セルフプロデュースの一環として、肌を考える
これはどちらがよい、悪いと簡単にジャッジするものではない。ただし、オンラインで会議に出る場合、肌は明るめにした方が健康的に見えるだろう。Web会議ツールの中には肌色補正機能が搭載されているものがあり、自動補正では明るくするものがほとんど。
加えて日本の住宅の照明は上から降り注ぐシーリングライトが多いため、顔に影ができて暗く見えてしまうことも考慮すると、もしメイクで老け見えを解消したいなら明るめを選ぶ方が使い勝手がよい。
ファンデーションは肌の色に合ったものを選ぼう。多くの男性は勘違いしているが、色合わせは首との境のフェイスラインで行うのが正しい。顔と首の色が違いすぎると、「いかにも塗りました」という状態になってしまい具合が悪いから。あえて顔で色合わせを提案する動画を見たが、あれはある程度の経験者のための方法かと。シミや赤みなどのトラブル隠しに重きを置いたとしても、初心者ならばセオリー通りにフェイスラインで色合わせをするのがいいだろう。
メイク初心者におすすめの便利アイテムとレッスン
そんな迷える男性に筆者がおすすめするなら、FIVEISM × THREEのネイキッドコンプレクション バー だ。
というのは、男性用で15色の展開をしている希有な存在。これだけあれば個々人で微妙に異なる肌の色をきちんとカバーできる。自分で選ぶもよし、ショップで合わせてもらうのもよし。
そして、ハリウッド生まれのブランド・スターオブザカラーでは、男性向けにメイクレッスンを行っている。
ベースとなるファンデーションの塗り方から始めて、立体感を生み出すシェーディングや印象がガラリと変わる眉の描き方などをレクチャー。メイク初心者はまずここで技術を学ぶのがいいだろう。
個人カウンセリングをしているとメイクだけではなく、最低限のスキンケアの提案にさえも言い訳を求め、わざと興味のないフリをする中年男性が多い。カウンセリングを希望してきたにもかかわらず、だ。
シャイであるのは構わないが、「人は人、自分は自分」という割り切りができなくて、なんだかいじましい。その点、潔いのは若い男子たち。メイクの提案をすると目を輝かせてそのメリットを聞いてくる。
少し話しは飛躍するが、夫婦別姓や同性婚の議論を見ていてもわかるように年を取ると思い込みに囚われすぎている気がする。変化に柔軟に対応できるのが「心の若さ」なのだろう。
製品提供:アクロ