長い戦いだ。いまだ我々は自由を謳歌できないでいる。ニューヨーク、例年なら今頃もう二度ほどは訪れているだろうか。
ここ最近彼の地に到着した夜に必ず訪れるレストランがある。オバマ元大統領も訪れたという店、SOHOにある“ESTELA”だ。シェフのイグナシオ・マットスは西海岸の至宝“Chez Panisse”を経て、こちらも何度も訪れたことがあるNYの人気店“Il Buco”で活躍。食のアカデミー賞とも言われるジェームス・ビアード賞にノミネートされたこともある。そんな人の作るもの、絶対美味いに決まっている。
そしてここ“ESTELA”を彼と一緒に立ち上げたソムリエは、農場も併設する孤高のレストラン“Blue Hill at Stone Barns”出身だが、こちらもオバマ元大統領が通う店として知られている。
そんなオバマ贔屓なお店、いつもウェイティングバーまで満席だ。ニューヨーカーはあまり予約して行かないのか、これほどの人気店でも十日程度前に予約サイトから簡単に席を得ることができるのも、必ず訪れることのできる理由の一つである。
夕方到着の便でJFK国際空港に降り立ち、イミグレーションを経て(ある時期はESTA採用直後はスムーズに通過できたのに、その後またかなり待たされることになったのも今は懐かしい)荷物をピックアップしタクシーでマンハッタンのホテルに向かう。最近はバワリーあたりのホテルが多い。18時半くらいには荷物の整理も終わり、30分ほど散歩がてらニューオープンのショップなど見に行き、その足で“ESTELA”へ。
まずはローカルビールで喉を湿らせる。狭い店内はNYのお洒落な飲食店にありがちな照明の暗さ。スマホのカメラ性能が著しく上がったためなんとか撮影できているが、ちょっと前だとデジカメにとって難攻不落のレストラン。雰囲気は抜群だが、テーブルの蝋燭がないと実際料理がよく見えないくらいだ(笑)。
さあ、テーブルにはアンディーブと胡桃のサラダ、薄くカットされたマッシュルームの乗ったリコッタチーズのダンプリングなどが並んだ。十数時間のフライト、そして時差。そんなストレス状態にあっても胃に負荷のない、そしてとても美味しい料理。ムール貝のエスカベッシュが乗ったトーストも手応えバッチリ。そしてイカ墨のフライドライスは絶品。「うちの自慢の皿を全部頼んだね!」などスタッフに言われ、ビールもワインへと替わる。
コロナ前、一昨年訪れた際は店の前のバワリー・ミューラル(キースへリングも手掛けた)で知人の松山智一氏の作品がフィーチャーされ、街の明かりに照らされていた。すぐにでも飛んで行きたい街、ニューヨーク。 “ESTELA”も営業再開した様だ。しかし今はこちらが身動き取れない。イカ墨チャーハンも思い浮かべるだけで満足しなくては。
ESTELA
イタリアン、アメリカ料理
- アメリカ/ニューヨーク
- 住所:アメリカ47 E Houston St, New York City, NY 10012-2749
- 電話:(+1) 2122197693
- https://www.estelanyc.com/