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圧巻のパビリオンが勢ぞろい

【体験レポ】ドバイ万博EXPO2020で世界最高峰の建築物を見た

author: 鬼澤 孝史date: 2022/04/21

ドバイ万博は中東、アフリカ、南アジア地域で開催される初の万博。それだけでなく、コロナ後に開催される最初の革新的な博覧会であった。僕自身、コロナ禍になって初の海外渡航だ。各種検査や手続きなど、出入国は面倒も多かったが、大きな期待とこれからの生きるヒントを探しにドバイに飛んでみた。

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「自然との共生」が未来の暮らし方

仕事柄、世界各国のパビリオン建築物は今回の旅の目玉である。ドバイ万博では90以上ある国別のパビリオンが各国の優れた点を紹介している。会場はとても広く、今回の3泊4日の旅程では回れないほどの規模。全部をしっかり見ようとしたら2週間ぐらいは要する広さだ。

ちなみに2025年に日本で開催される予定の大阪万博はドバイ万博の3分の1の規模だそう。小さなスケールでどれだけの表現ができるのかは期待したいところだ。

まずは、数あるパビリオンの中から気になったパビリオンを紹介していこう。

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先ず目を引いたのが開催国のUAEのパビリオン。スペイン出身の建築家サンティアゴ・カラトラバが設計した建物は飛翔する鷹をイメージしており、エミラティの文化を紹介している。

注目は羽のような部分が太陽光発電になっており、電力を賄えるシステム構造というところ。サスティナビリティも万博の1テーマだけあり、これからの世界では太陽光、風力、水力など、エネルギーも自然との融合がテーマになっていきそうだ。「地球と暮らす」そんなシンプルなことが今更ながら気付かされる。

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次に紹介したいのがスウェーデンのパビリオン。サステイナブルな素材を用い、「森」をコンセプトとする同館は、パビリオン建造のために伐採される木1本につき、3本を新たに植林するとして環境への配慮をアピールしている。

北欧の森林とアラビアの幾何学的デザインが融合した、森に息吹を与えるインタラクティブなコンテンツになっている。

気候変動に対抗するために、最も効果的かつ導入しやすい方法が、木を植え、緑地を増やすこと。シンガポールのパビリオンは造園をデザインに取り入れ、「建築自体が自然を奪う行為ではない」ことを示しているように思えた。スウェーデン同様、自然と暮らすというメッセージが自分には響いた。

ここでも太陽光パネルの電力を利用し、地下水の脱塩を行うことで、6ヶ月間のドバイ万博の期間中におけるエネルギーと水の消費量をゼロにしている。

スウェーデンとシンガポールは、外観含め自然との融合・調和をテーマに、より自然と共に暮らすことの大切さを教えてくれた。

見た目がとにかくかっこいい、スイスとサウジアラビア

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次に紹介するのは視覚的観点で好きだったパビリオン。中でも特に気に入ったのがスイス。実にシンプルな物だが反射をうまく使った構造で、地面に敷かれたカーペットが映し出されて、建築物の顔になるという仕組み。トリックアートのような構造で、アイデアを掻き立てられるデザインだった。奇抜な外観のパビリオンが多く点在する中、一際、品がある佇まいだった。

数あるパビリオンの中で「ベストパビリオン部門」を受賞したのがサウジアラビア。約7800個のLEDライトを使用した世界最大のインタラクティブライティングは圧巻の一言。サウジアラビアでは4つのコアなテーマ(人・遺産・自然・ビジネスチャンス)を掲げ、人の歴史や遺産、自然を段階的にめぐるツアーを通じてサウジアラビアを知り、伝統的なおもてなしや本物の文化、豊かな遺産、自然の多様性について学ぶことができる。

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万博でも一番人気!日本のパビリオン

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最後に紹介したいのが日本のパビリオン。万博初の女性建築家・永山裕子さんが手掛けた日本館は、展示部門で金賞を受賞。現地では「一番入れない、見られない」パビリオンとして語られていた。僕が行った際は完全予約制の入場のみ。毎朝9時に当日申し込みが始まるが、わずか1分で全時間SOLDOUTするという人気ぶりだった。日本からはるばる来たのに「母国のパビリオンを見れなかった」と残念な声もたくさん聞いた。

日本のコンセプトは3つの視点で『つなぐ』を表現。ひとつめは日本と中東の歴史的なつながりを感じさせるアラベスクと日本の伝統的な文様を組み合わせたファサード。2つめは水を通じた『つながり』。3つめは世代や国を超え、人々が万博を機につながり合える場所にとの思いだ。

外観デザインは日本の折り紙がコンセプト。折り紙は他者への敬意を表す礼法が発祥で、世界中の人をお迎えする万博にふさわしいファサードデザインだ。さらに今回の日本館の敷地は台形なので、これを生かし、日本人が美しいと感じる白銀比(紙の寸法などに用いられる)をベースに、ひとつひとつの佇まいに日本らしさや日本の精神性がにじみ出ている。

日本人は出会いやおもてなし、趣き、文化を大切に生きているように感じる。日本人が昔から変わらないものは、自然に身を寄せる感性だ。今回、日本館を訪れて、改めて日本人としての誇りを持つことができた。日本人のしなやかさ、繊細さ、アイデアは世界でも類をみないだろう。そして禅の精神が世界中に浸透し、世界平和に繋がってくれることを願っている。

未来予想図「融合」

この万博を通して感じたのは、今後、デジタルと自然の融合の時代になるのは間違いないということ。自身が変わらずとも、時代は急速なスピードで流れ、変化していく。その中で進化をネガティブに捉えるのではなく、新しい物事は受け止め、古きよきものを大切に思う心も重要になるだろう。新旧の融合の時代だ。

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そしてエネルギー問題、食糧問題、環境問題、世界中で様々な問題を抱えているが今後は世界がひとつになりアイデアを出し合いグローバルで繋がっていく未来が想像できる。ビジネスも国境や人種の壁を越え、世界で働く時代になるだろう。今更ながら英語ぐらいは学んでおこうと思う。

さらにAIやロボットの技術進化も急速に進み、万博内でもロボットが活躍していたが、便利になる一方、人間の価値、アイデンティティを再度考えさせられる。

これからはAIを中心としたデジタル上のメタ仮想現実×仮想通貨も急速に広がりをみせ、マーケットもデジタル上に移行していくのであろう。しかし、自分は「リアル」の希少性価値も高め、一人間としてリアルを楽しんでいきたい。「リアル×仮想現実の融合」 「自然×デジタルの融合」が今後のテーマになりそうだ。

最後にひとりの日本人として、日本人の「心」、「思いやり」、「文化」を誇りに思う。そして次世代、子供たちの未来のために、人の心を残すために、一人一人の大人達がしっかり考え、行動で示していくことが大切だと感じた。

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インテリアスタイリスト
鬼澤 孝史

2009年にCREATIVE DESIGN OFFICEを設立。店舗・商業施設を得意とし、そのデザイン性・独自性の感性を生かし住宅等のインテリアデザイン・インテリアコーディネート・インテリア設計も手掛ける。他とは違った細部にこだわった空間造りをトータルにデザイン・コーディネート。ホームステージングやディスプレイ、スタイリングまで幅を広げ活動。2017年には一般社団法人インテリアスタイリング協会設立。
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