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誰でも弾ける新しい楽器「InstaChord」自腹レビュー

パッシング サウンド スプラッシュ シャワー

author: GOROmandate: 2022/02/15

物心ついた時から、電子音に囲まれていた。任天堂のTVゲーム。ブロック崩し。サウンドジェネレーターのピコピコ音が心地よい。

小学生の頃、初めて買ったカセットテープは「ザナドゥ(日本ファルコム)」(もう存在すら知られてないかも)というパソコンゲームの楽曲だった。ちなみにそのゲームは持っていない。動作するパソコンを持っていなかったからだ。憧れて音楽テープだけ買った。

中学生の頃、CDラジカセを買ってもらった。はじめて買ったCDは、ドラゴンクエストIIIのオーケストラCDだ。これまたゲームは持っていなかった。友人に借りて夢中でクリアしたように思う。

高校生の頃、自分でも曲を作ってみたくなり、Rolandの音源を買った。当時、「ミュージ郎」と呼ばれたDTM(パソコンで曲をつくるシステム)が一世を風靡した。いわゆる打ち込みみたいなものを少しやった。

挫折ビリティ

そんなこんなで鍵盤付きの音源やシンセサイザーも好きで色々買ったが、結局まともに楽器は弾けなかった。しょうがないのでパソコンに打ち込んだ。パソコンは入力した通りに奏でてくれる。素晴らしい相棒だ。

でも楽器は一向に上達しなかった。一度挫折のイメージがつくと、自分には向いてないという意識が強くなる。補助輪ナシで自転車に乗ろうとするようなものだった。全力でコケて、膝でも擦り剝こうものなら、もう乗らなくていいかな? と思ってしまうだろう。

最初に成功体験がないと、「挫折ビリティ」が上がっていく。挫折のハードル。精神や根性でなんとかする時代はもう昭和で終わりでいいだろう。

ビジョン・ビジョン・ビジョン

ビジョンは大事だ。ヒトの脳に他人と同期(Sync)する機能はない。藤子・F・不二雄先生のパーマンに出てくるコピーロボットみたいに、おでこ間通信できるとラクそうだけど、知らないヒトのおでこをつけるのは嫌だ。コロナ禍だし。

なにをしたいのか、どういう世界をつくりたいのか。それはアウトプットするしかない。ビジョンを見せるしかない。今回紹介するガジェットは「InstaChord(インスタコード)」のビジョン。たまたまクラウドファンディングで見つけて出資した。

InstaChord公式Facebookより引用

インスタントの力

見た目がギターっぽいので、ギターっぽくジャーンとやればまずは音がでる。UIにおけるメタファーは大事。想像がつくから。見たこともないものはキモい。触り方もわからない。が、これはなんとなく見覚えがある。とにかく、イメージ通りになんとなく触れば音が出る。

正直言ってチート感はすごい。海原雄山だったら「こんなものは楽器ではない!」とか怒って出てきそうである。「このあらいを作ったのは誰だ!」。

コードは完全にボタンになっている。本物のギターのコードだと弦を押さえる時に指が痛くなった記憶がある(音楽の授業でやらされた)。

しかし、InstaChordではボタンである。完全にオンとオフしかない。0と1。今話題のデジタル化というやつだ。曖昧な状態がない。曖昧がなければ操作もしやすい。左手で鳴らしたいコード(CとかDmとか)のボタンを押すだけだ。インターネットの海には山のようにコード譜がある。それを電卓の数字の要領で押すだけで演奏できる。

メジャーコードとかマイナーコードとか入れ替えはSHIFTキーのようなボタンがあるし、7thはCAPS LOCKのようにロックできてしまう。発想がすごすぎる。

逆に右手側は完全にアナログである。押した圧力で表現が変わる。つまり、左手デジタル・右手アナログというハイブリッドデジアナ楽器だ。(右利きの場合。左利きもモードで設定可能)

キモチいい体験を全てインスタントに先取りしている。割り切りがすごい。引き算の美学を感じる。美味しいところだけ抽出。誰でも使える。インスタントに奏でる7thコード(Lockして適当に押す)も心地よい。

InstaChordのおかげで今までよくわからなかった「コード」というものが少しづつ理解できた。靄(もや)が晴れたような爽快感がある。

最近のアップデートでUSB MIDI接続にも対応した。今まで山ほど買ってきた音源たちも火を入れる機会も増えそうだ。

あなたも秋の夜長にきらきら星を弾いてみませんか?
個人的評価:★★★★★(5.0)
挫折ビリティ:5%

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エクシヴィ代表/XRコンソーシアム理事
GOROman

7歳の時に8bitのパソコンに出会い、以後プログラミングに熱中。中学になるとパソコン通信にハマりネットの住人に。大学中退後、ゲーム開発会社を転々とし、コンシューマーゲームや3Dツールのエンジニアを経験、2010年にエクシヴィ起業。2012年、現在のVRブームの火付け役”Oculus Rift DK1”にクラウドファンディングで出会い「これからはVRの時代が来る!」と勝手に確信。Oculus創業者であるパルマー・ラッキーに米国まで会いに行きOculus Japanチームを立ち上げる。自分の会社であるエクシヴィを副社長に任せ放置、後にOculus社を買収したFacebookにOculusパートナーエンジニアスペシャリストとして入社、VRの国内普及に努めた。著書「ミライをつくろう! VRで紡ぐバーチャル創世記(翔泳社)」他
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