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耳ディグVol.4

「生活と孤独に寄り添うプレイリスト」dodo

author: dododate: 2024/07/05

CDからサブスクへ、ラジカセからスマートフォンへ。聴くフォーマットやツールは変わっても、いつの時代も私たちに寄り添ってくれるのが、音楽やラジオなどの音声コンテンツ。「耳ディグ」と題し、気になるあの人のお耳のお供を“digる”本連載。

第4回に登場するのは、ラッパーのdodoさん。YouTubeでの再生回数が1400万回を超える「im」をはじめ、聴く人のリアルに寄り添う音楽を届け続ける彼が愛聴する、ヒップホップ作品を中心とした「生活と孤独に寄り添うプレイリスト」。その中から、特にお気に入りだという5つ+1つのコンテンツを訊いた。


dodo

1995年2月生まれ身長170cm体重59Kg前後。高校生の時にhiphopに感化され音楽制作を開始。知る人ぞ知るはざま系アーティストとして、細く息をし続けている。多摩川の結界を破り都内に侵入。コロナウィルスに2回感染し、1回目はかんぽ生命で保険金を受け取る。「コロナの後遺症か、いまだ不明だが、うん。何かがおかしい。」アラサー病に感染してるのかもしれない。自身の生きた証を歌に凝縮したいというピュアな心とこの曲がバズったらうひょっひょという気持ちといまだにこじらせた思春マインドをブレンドした絶滅危惧種系芋マルコスおじさん。それが、dodoこと近藤大貴。daikikondo.com 現CEO。

Instagram: @dodo_fnt_pokimonisforever
X:@SheisFNT

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浜松時代の孤独な日々を支えてくれた『More Life』(Drake)

カナダ出身のラッパー・Drake(ドレイク)が2017年にリリースした作品。

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孤独に寄り添ってくれた音楽として、まず思い浮かんだのが『More Life』。ちょうどこの作品がリリースされた時期(2017年)に、当時勤めていた職場の都合で3か月間だけ静岡県の浜松へ単身赴任することになったのですが、静岡には友だちがいなかったので一人でずっとこのアルバムを聴いていたのを覚えています。近所のショッピングモールで買った3万円のママチャリで浜松駅へ出かける道中で、会社で借りてもらったレオパレスの部屋で、1時間かけて海へ向かう電車で……。いろんな場所を共にしました。

ドレイク自身も元々好きで、影響を受けているアーティストの一人。ヒップホップ・アーティストにはメインのラップとは別に「エイ」みたいな掛け声を入れるアーティストがほとんどな中、彼は初期の頃からそういうのをしない人で、そこに憧れて真似していたり。このアルバムはそこまでヒップホップ感が強くなく、ダンスミュージックもあるし、シンギングも多め。そんな作風が、太平洋から爽やかな海風が入ってくる浜松の環境にも合っていました。ちなみに、僕の「again」という楽曲のリリックもこの時期の思い出だったりします。

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全てがカオスで、孤独を忘れさせてくれる「KOODA」(6ix9ine)

アメリカ出身のラッパー・6ix9ine(シックスナイン)が2017年にリリースした作品。

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この曲に出合ったのは、仕事を辞めて「これから音楽を頑張っていくぞ」というタイミング。長野にある祖父の家に2か月ほど滞在することになって、そのときにYouTubeで出合いました。アメリカのギャングたちが集結するMVも、楽曲も、そして6ix9ineというアーティストも全てがカオス。頭がびっくりする感覚がして、当時の孤独を忘れさせてくれました。6ix9ineは伝説的なアーティストだし、今振り返っても売り出し方やその後の騒動も含めてトレンディな人で、そういうところが僕も好きです。ヒップホップが好きな人なら、誰しも根本ではこういう音楽が好きなんじゃないかなって思います。

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歴史に名を残す“ヤバいコンビ”が誕生『My Side, They Side & The Truth』(Big Sad 1900)

Big Sad 1900が2024年にリリースしたアルバム。

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ヒップホップって、ラッパーかトラックメイカーのどちらかが優れていれば良いというものではなく、お互いの相性がマッチすることで傑作が生まれるものだと思っています。実際にYoung ThugとLondon On Da Trackや、昔でいうとJay-ZとKanye Westなど、業界内には相性の良いコンビというのがいくつか存在するのですが、その人たちと同じくらい“ヤバいコンビ”だと思ったのが、Big Sad 1900とトラックメイカーのMIKE MADE THE 808'Sの2人。ともにロサンゼルス出身らしく、Gファンクの文脈をブラッシュアップしたトラックも、忙しくないラップの乗せ方もすごく良い。とにかくここ最近で一番お気に入りの作品です。

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時代を超えたシンパシーを感じる「Big Poppa」(ノトーリアス・B.I.G.)

アメリカ出身のラッパー・ノトーリアス・B.I.G.が1994年にリリースしたアルバム『Ready To Die』の収録曲。1996年の第38回グラミー賞で、最優秀ラップ・ソロ・パフォーマンスを獲得。

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言わずと知れた名曲ですが、ちゃんと聴いたのは今年になってから。曲が良いのはもちろん、よくよく歌詞を見てみると「ウェルチのグレープ・ジュース」とか「グッチのセーター」「ベンツ」といった固有名詞が使われていて、おこがましい話なんですけどシンパシーを感じてしまいました。

グッチには僕も思い出があって、以前新宿の伊勢丹メンズ館へ訪れたときにたまたまお店に入ってみたら、スカンク柄にグッチマークが入った赤いセーターがかわいくて、試着させてもらった流れでそのまま買うことに。値札がなかったので不安な気持ちは残りつつ、「あっちのジャケットよりは安いだろう」と高を括っていたら、お会計はジャケットよりも高い25万円で、「セーターでこんなに!?」と驚きました。僕の「Kelly」という楽曲にある「値段聞かずに選ばなきゃGucci」という歌詞は実話なんです(笑)。

でもグッチのセーターも、ご縁があって今乗っているベンツの車もやっぱり物が良くて、さすが名のあるブランドなだけあるなと。この曲が作られた90年代から今も変わらず知名度があるブランドだし、30年じゃハイブラのトレンドは変わらないんだな、というのも発見でした。

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ハイウェイの景色にぴったりなドライブソング「5 ’N The Mornin’」($uicideboy$)

ヒップホップデュオ・$uicideboy$が2023年にリリースした『YIN YANG TAPES: Summer Season』の収録曲。

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今年1月に福岡、大阪、宮城、東京を回る自主ワンマン「ひんし巡業 2024」を開催したんですが、物販用に初めて作ったフーディーを大量に詰め込んだ段ボール20箱を持って行かなきゃいけなくなったので、各地をレンタカーで自走したんです。そのときに$uicideboy$の『Yin Yang Tapes』というミックステープをずっと流していました。春夏秋冬をテーマに4枚で構成されていて、お気に入りの曲をプレイリストにまとめて聴いていたのですが、その中でもドライブソングとして一番ハマったのがこの曲でした。

$uicideboy$の普段の声とは違って、全ての声にエフェクトがかかっているんですけど、それが曲にすごくマッチしていて良いんですよね。ハイウェイの景色ととても合うので、ぜひドライブ中に聴いてほしいです。

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寝る前に聴く「タロット占い」

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昔から寝る前に音を聴く習慣があって、学生時代は爆笑問題さんや伊集院光さん、ビートボクサーのTaigaさんらのPodcastをよく聴いていたのですが、最近はYouTubeのタロット占いの動画ばかり流すように。画面は観ずBGMのように垂れ流しにしているので、だんだんと内容がわからなくなってきて、そのまま寝落ちしている……という。これが一番寝られます(笑)。

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“バズ”を超えて生まれた、韻を踏む楽しさと良い曲を作りたい欲

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dodoさんはSHUREの「SRH840」(※生産終了)を愛用中。

1日1回は音楽を聴いていて、YouTubeでおすすめに出てくるMVを観て、気になったアーティストの楽曲を車で流したり、JBLの防水スピーカーをお風呂に持ち込んで聴いたりするのが僕の音楽ルーティン。ヒップホップ以外だとEDM系を聴くことが多いですが、ジャンルを問わず再生回数が多いものや人気なものを中心に聴いています。

最近は、音楽の心地良さの奥にある不思議さや、科学的なものが気になっています。音楽って一言で言えば体に直接訴えかけてくるものですが、目には見えないけど音によって空気の流れが変わって、それを僕たちは耳で感じている。だから売れる曲、売れない曲にも物理的なものが深く関わっていて、良い曲はそういった面でも整えられているんだろうなと。言語化はできないのですが、僕も良い曲を作っていきたいなと思っています。

中高生の頃は多感で「日本語をどうやってヒップホップに落とし込むか」なんて熱中してきましたが、30歳を目前とした今はだいぶ落ち着いてきちゃって、学生時代から目標としてきた「YouTubeで100万回再生する」というのも「im」で叶ったので、ある種の燃え尽き症候群みたいになっているところもあります。でも、一国民として「日本語をうまく使って遊んで、貢献できたらいいな」というのはずっと根幹にあります。

今でも楽曲の再生回数は気になるし、自分で会社をやっているのでその先行きも不安だし、悩みはたくさん。でも最近「自分は韻を踏むことが楽しいんだ」ということに気づいたので、売れても売れなくてもその楽しさは今後も持ち続けていきたいです。


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ラッパー
dodo

1995年2月生まれ身長170cm体重59Kg前後。高校生の時にhiphopに感化され音楽制作を開始。知る人ぞ知るはざま系アーティストとして、細く息をし続けている。多摩川の結界を破り都内に侵入。コロナウィルスに2回感染し、1回目はかんぽ生命で保険金を受け取る。「コロナの後遺症か、いまだ不明だが、うん。何かがおかしい。」アラサー病に感染してるのかもしれない。自身の生きた証を歌に凝縮したいというピュアな心とこの曲がバズったらうひょっひょという気持ちといまだにこじらせた思春マインドをブレンドした絶滅危惧種系芋マルコスおじさん。それが、dodoこと近藤大貴。daikikondo.com 現CEO。
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