ガーミンのハイエンドスマートウォッチ『fēnix 6X Pro Dual Power Ti Black DLC』が都市型ユーザーにもおすすめな理由。
たどり着いた答え、24時間ライフログを取り続けるならApple Watchではダメ
近年、特に40代を超えたあたりから強く体力の衰えを感じ始めています。もとからあまり運動が好きでなかったことに加え、新型コロナ禍で外出できなくなったことも追い打ちをかけました。全く出歩かなくなったし、なんだか眠りも浅くなった気がします。結果、体重もみるみる増加。年齢的にもいろいろとガタが出始めてくる頃です。
そこで去年から始めたのがスマートウォッチを使ったライフログの取得。まず克服すべき敵(すなわち自分)について知るところから始めようというわけです。しかし、睡眠も含めたライフログの記録にはこれまで愛用してきたApple Watchでは力不足。というか、ほとんどのスマートウォッチは夜、寝ている間に充電する使い方を想定しているため、24時間記録を取り続けるような用途には向いていません。
そうして理想の製品を求める“スマートウォッチ難民”となり、数ヶ月、あらゆる製品を試して回った結果、行き着いたのが、ガーミンのビジネスアスリート向けモデル「fēnix 6(フェニックス・シックス)」シリーズです。ガーミンと言えば、登山などのアウトドア愛好家向けブランドというイメージだったので当初は選択肢から外していたのですが、調べていくうちに日常生活におけるライフログの取得という観点でも極めて有望な選択だということが分かってきました。
そこで入手した『fēnix 6X Pro Dual Power Ti Black DLC(以下、fēnix 6X Pro DP)』は同シリーズのハイエンドモデルで、大画面かつソーラー充電対応など多くの新機能が搭載されていることが自慢。本稿では、ビジネスアスリートでもアウトドア愛好家でもない、普通の40代男性がゆるく、日常生活を共に過ごす相棒としての本製品をレビューします。
3週間充電せずに使える驚きのスタミナ、さらに太陽光充電にも対応
今回のミッションにおいて、私がスマートウォッチに求める機能は以下の通りです。
・メールやLINEの着信通知など、スマートウォッチとしての基本機能を備えていること
・なるべく多くのライフログを安定して取得できること
・最低でも1週間は充電せずに使い続けられること
1つ目については全く問題ありません。『fēnix 6X Pro DP』はスマホに届いた通知を即座にバイブや音で教えてくれますし、音楽プレイヤー操作やスマートウォッチからのスマホ捜索なども行えます。通知機能を特定のアプリでしか使えないスマートウォッチも多いのですが、『fēnix 6X Pro DP』にそういった制限はありません。メールの送信者や内容(冒頭)などもウォッチフェイス上で確認できます。
2つ目のなるべく多くのライフログを取得できるという点においても『fēnix 6X Pro DP』は優秀です。本機には高精度な光学式心拍計と、歩数計としても機能する加速度計が搭載されており、これによってユーザーの運動量や健康状態を正確に分析してくれます。データは専用のスマホアプリ『Garmin Connect Mobile』で一元管理・蓄積され、「心拍」「ステップ数」やそこから導き出される「Body Battery(活動すると減り、休むと増えるHPのような数値)」「ストレスレベル」「睡眠」など、さまざまなライフログ情報をグラフィカルな表示で確認できます。
ライフログ取得の安定性に優れ、取得ミスが少ないことも『fēnix 6X Pro DP』の良いところ。そんなの当たり前だと思いますか? でも実はそれができないスマートウォッチが、かなり多いんです。『fēnix 6X Pro DP』では、歩いているはずなのに歩数がカウントされなかったり、たっぷり寝たのにずっと起きていたことになっているといったことがほとんどありませんでした。
そしてこれらの基本機能を長時間使い続けられることが今回のミッションにおいては最重要。気になる『fēnix 6X Pro DP』のバッテリー駆動時間はなんと最大で約24日間(後述の太陽光充電による駆動時間も含む)。この数字はあくまでカタログスペックなのですが、実際、驚くほど長持ちでした。普通の使い方なら実測で1日5%くらいしか減らないので、毎日10分程度、シャワーを浴びている時間に充電すればずっと使い続けられます。
さらに『fēnix 6X Pro DP』ではハイエンドモデルの目玉機能として太陽光充電にも対応。ウォッチフェイスにソーラーパネルが組み込まれており、晴天の屋外にいるだけでバッテリーが充電されるようになっています。残念ながらソーラー電卓のようにその電力だけで動かすのは難しく、あくまで補助的なものなのですが、スマホで「あとちょっとだけ……!」と思ったことは多いはず。ちなみに充電状況はウォッチフェイス上でリアルタイムに確認できます。
GPSロガー機能を本気で使うならやっぱりガーミン
……と、私が欲する機能をひと通り、しかも高いレベルで備えている『fēnix 6X Pro DP』ですが、実はもうひとつ、私が譲れない条件がありました。それが、GPSロガー機能を長時間使えることです。
ライフログを取得して自分の健康状態を把握するのと並行して、新型コロナ禍中でもしっかりと運動をして、健康状態を改善してくことにも取り組んでいくのがミッションの最終目的。最初からあまり高いハードルを課してもサボるだけなので、まずは人のいない夜中に散歩したり、緊急事態宣言解除後の移動に自転車を使ったりするようにしているのですが、そのやる気を維持するために、GPSロガー機能で、移動の記録を「見える化」したかったのです。
ところがこのGPSロガー機能は、GPS電波を数秒おきに取得・演算するという非常に電力食いな機能で、例えば『Apple Watch』でこの機能を使うと、半日程度でバッテリーがカラになってしまいます。しかし、圧倒的な長時間駆動が可能な『fēnix 6X Pro DP』なら、GPSロガー機能をオンにしても、なんと最大で約66時間(太陽光充電による駆動時間も含む)も動作。バッテリー残量を気にすることなくGPSロガー機能を使えるのです。
ガーミンの歴史がアウトドア用のハンディGPSデバイスから始まったこともあって、GPSの感度も極めて良好。「よし、今日はこんなに歩いた。えらいぞ、自分」という感じで、運動嫌いなりに日々のモチベーションを高めることに成功しました。もちろん、将来的にはもう少しハードな運動にも取り組んでいくつもり。そうした際には『fēnix 6X Pro DP』本来のターゲットに向けた多彩なアクティビティサポート機能が役に立つことでしょう。
ちなみに、『fēnix 6X Pro DP』がこれほどの長時間駆動を実現しているのは、ディスプレイに超省電力な反射型液晶パネルを採用しているから。『Apple Watch』などの美しく見やすいタッチパネルディスプレイと比べ、明るい場所では高い視認性を誇るものの暗い場所では全く見えず(側面ライトボタンを押すことでバックライトを点灯可能)、解像度も粗く、タッチ操作もできない(側面の5つのボタンで操作します)という弱点があります。とは言え、この辺りは用途とのトレードオフと考えるべきでしょう。
アウトドア愛好家はもちろん、都市型ユーザーにもおすすめ
その他、単体での音楽再生機能(最大2000曲まで保存可能、Spotifyなどのストリーミング音楽配信サービスにも対応)や、内蔵地図を使ったナビ機能など、多彩な機能を誇る『fēnix 6X Pro DP』。海外メーカー製品としては珍しく、Suica決済(および独自の電子決済サービスGarmin Pay)にも対応しているので、ジョギング時などにスマホや財布を持っていく必要がありません。
また、個人的にはデザインも高級感があってお気に入り。本当にフォーマルな場では厳しいでしょうが、スマートウォッチへの理解が進んでいる昨今、通常のビジネスシーンであれば悪目立ちすることもないでしょう。バンドの交換もクイックリリース式で簡単に行えるので、仕事の時はメタルバンド、休日はレザーバンド、運動時にはシリコンバンドといった使い分けが可能です。もちろんウォッチフェイスも自由にカスタマイズできます。
ガーミンはその出自からどうしてもアウトドア向けというイメージの強いメーカーですが、実際に使ってみると、スタンダードなスマートウォッチとしても非常に良くできていることがわかりました。こまめな充電がストレスになっている人には特に試していただきたいです。
最大の泣き所は14万3000円(税込)という価格設定なのですが、基本的な機能はそのままに、画面サイズを小型化したり、ソーラーパネルなどの先進機能を省略したエントリーモデルも用意。最も安価な『fēnix 6 Black』(写真右は、7万7000円(税込)で購入できるので、少しでも費用を抑えたいという人にはこちらもおすすめです。