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クルマ選びの”SUVじゃない”選択肢

SUV全盛だけど、クルマ好きにあえてセダンをすすめたい理由

author: 増谷 茂樹date: 2022/08/31

クルマの世界では今、SUVが人気。これは日本だけでなく世界的な傾向で、ミドルクラス以上だけでなくコンパクトサイズでもSUVが売れ筋です。ただ、実際に取材を通して多くのクルマに乗っていると、改めて「セダンっていいな」と感じることが少なくありません。特にクルマ好きの人には、改めて乗ってもらいたいと思うところ。その理由を紐解いてご紹介します。

重心が低く、走りがいい

SUVと比べてセダンの特徴といえるのが重心の低さ。重心が低ければ、コーナーリング時のロール軸も低くなり、ひと言でいうとコーナーリング性能が良くなります。SUVから乗り替えると、路面に貼り付くようなコーナーリングのフィーリングに思わず頬が緩みます。

近年は低重心をうたうSUVも増えてきていますが、そもそも構造的に重心を低くしにくいので、基本的な設計としてセダンとは比較になりません。タイヤ径も大きく、サスペンションストロークが長いので、SUVでハンドリングを良くするのは限界があります。走りを楽しみたいクルマ好きにこそ、セダンを選んでほしいと思う理由です。

車内が静かで乗り心地が上質

セダンに乗ると、同価格帯のSUVと比較しても車内が静かで乗り心地が上質なことに気付かされます。

これは、前述の重心の高さやタイヤ径の大きさ、サスペンションストロークの長さも関係していますが、もうひとつ大きいのがボディの構造。SUVはリアのタイヤハウスが車室内に位置していますが、セダンはエンジンルーム、トランクルーム、タイヤハウスがキャビンと分離しているので、構造的にロードノイズを遮音しやすいのです。

空力性能もSUVに比べて高めやすいので、風切り音も抑えられている車種が多い。上質なドライブを楽しみたい人におすすめしたい理由です。

剛性が高めやすい車体構造

セダンの走りが良いと言われる理由のひとつに、ボディの剛性が高めやすい構造があります。エンジンルーム、トランクルーム、キャビンが別れている構造に加えて、左右のタイヤハウスの上部が骨格で結ばれているので、言ってみればタワーバーが入っているような状態。

SUVなどで同等の剛性を実現しようとすると、多くの補強を入れる必要があります。セダンがクルマのスタンダードのように位置づけられているのは、理由があったのだと改めて感じさせられます。

デザイン的にも魅力を増している

個人的にセダンを推したい最後の理由はルックス。昔のオヤジグルマ的なイメージのセダンとは異なり、近年のセダンはクーペに近いようなスマートなシルエットに仕上がっています。

また、SUVがブームであることの裏返しですが、街中で見かける機会も少なくなっているので、買ってみたら誰かと同じ車種だったという”カブり”を防ぐことができます。人と同じクルマには乗りたくないという人は、今こそセダンという選択肢を推したいところです。

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増谷 茂樹

クルマ、バイク、自転車などタイヤのついた乗り物を中心に取材・執筆を続けているライター。基本的に土の上で乗るのが好き。車中泊やバイクパッキングなど乗り物を使った遊びにも守備範囲を広げつつ、さまざまな雑誌やWebメディアに寄稿している。
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