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組み立て20秒、解体10秒

軽くて丈夫でグッドデザイン。「オーディオテクニカ」が作った焚き火台がすごい

author: 松井 直之date: 2022/08/01

キャンプの醍醐味のひとつである焚き火。昔は直火でできる場所も各地にあったが、自然環境保護の観点や安全面からほぼNGに。近年では焚き火台という専用の道具を使って、その上で薪を焚くのがマナーだ。そのため、焚き火台はキャンプを楽しむためには欠かせない最重要ギアのひとつなのだが、選択肢があまりに多すぎるので「何を選ぶのが正解なのかがわからない」という声もよく聞く。

アウトドアメーカーじゃないほうという選択肢

焚き火台といえば、スノーピークやコールマン、ユニフレームといった大手アウトドアメーカーのものがまずは選択肢にあがるだろう。種類やサイズも豊富に揃い、全国の量販店でも取り扱いがあるため、キャンプ初心者が「最初の一台」として手に取る機会は多い。使い勝手もよく、耐久性にも優れているので王道を狙うという意図であれば間違いのない選択肢だ。しかし、人とかぶらない、個性的で愛着の湧く焚き火台を手に入れたいのであれば、大手アウトドアメーカーじゃないほうのブランドにスポットを当てたい。中でも筆者が気になっているのが2022年6月にデビューしたばかりの「AUTEC CAMP(オーテックキャンプ)」。ヘッドホンやイヤホンでおなじみの音響機器メーカー、オーディオテクニカが創業60周年の節目の年に立ち上げたキャンプブランドだ。

「なぜ音響機器メーカーが焚き火台を?」という疑問が浮かぶのは当然のことだろう。その背景には、オーディオテクニカのもうひとつの顔となったAUTECという事業体の存在がある。1970年代後半、すでにステレオカートリッジで世界の頂点に立っていたオーディオテクニカは、新しい時代をけん引する“音響機器以外の領域”への進出を模索していた。その時に誕生したのが、のちに特許を取得し世界的に普及されるシャリ玉成形機の前身、家庭用すしメーカー「にぎりっこ」だった。AUTEC CAMPの焚き火台には、そこで培った緻密な板金設計の技術が惜しみなく注入されているのだ。

機能性、収納性、耐久性、デザイン性、どれもが秀逸

今回、AUTEC CAMPの焚き火台「TRY AND GRILL(2万3100円)」を実際にキャンプ場で使う機会を頂いた。仕事柄、様々な焚き火台のレビューを行ってきたが、TRY AND GRILLはコンパクトな収納性と三角形をベースにした美しいデザインがひときわ目を引く。

ヘッドホンやイヤホンのデザインを手掛けるデザイナーと、マイクなどの音響機器を手掛ける設計者が製品開発を担っているというだけあって、無骨というよりは洗練。音響製品の緻密な設計技術が生かされているというのがヒシヒシと伝わってくる見た目だ。

随所に配置したスリットはデザインとしての美しさはもちろん、吸気口の役割を担っている。そのため、薪の燃焼はとてもよく、種火が安定すると灰になるまできれいに燃え続けてくれた。本体に採用されたステンレスは非常に薄いものを使っているが、リブをプレスすることで強度を保ち、錆びにくい材料を選定しているというから耐久性も期待できそうだ。

付属する焼き網は堅牢性の高いハニカム構造を採用。スリット部分に架台をはめ込むため安定性が高く、鉄板やクッカーを乗せて料理をすることも可能だ。薪の追加がしやすいように、焼き網は台形型を採用しているのもポイント。

使用時のサイズはW321×D331×H203mm、重量は約1.8kgとコンパクト。収納時はW302×D201×H41mmとA4サイズに折りたたんでしまえるため、クルマの積載スペースを気にする必要はない。組み立て20秒、解体10秒で行える手軽さも魅力だ。

機能性、収納性、耐久性、デザイン性、この四拍子がそろった焚き火台は意外とありそうで見当たらないもの。筆者は普段、4~5人で暖を取れる大きな焚き火台を愛用しているが、夏の暑い時期は「もう少し小さい焚き火台がいいな」と思うこともしばしば。サブ機として「TRY AND GRILL」があれば、もっと気軽に焚き火が楽しめるのは間違いないだろう。

AUTEC CAMPは現在、3つの商品をリリースしていて、今後はラインナップも拡充予定とのこと。オルタナティブな選択肢として、今後も動向を注視していきたい。

製品貸与:オーディオテクニカ

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Beyondディレクター・アウトドアライター
松井 直之

出版社で10年、IT企業で10年の編集職を経て2017年に独立。趣味はキャンプ。現在はアウトドア関連の企画・取材・執筆から、Webメディアのプロデュースやコンサルティング、広告制作まで、編集スキルを軸に幅広く活動中。
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