MENU
search icon
media
Beyond magazineでは
ニュースレターを配信しています
検索
Tags
  1. TOP/
  2. ANNEX/
  3. 2年ぶりの開催!『Honda Racing THANKS DAY』レポート
ANNEX

Honda Racing THANKS DAY 2021-2022

2年ぶりの開催!『Honda Racing THANKS DAY』レポート

author: 川端 由美date: 2022/04/01

レース活動を応援するファンやスポンサーへの感謝を込めて、ホンダが開催する『Honda Racing THANKS DAY 2021-2022』が、2年3か月ぶりに開催された。例年は、ツインリンクもてぎ(現モビリティリゾートもてぎ)での開催だが、今年は「鈴鹿サーキット」に場所を移して催された。30年ぶりにF1での勝利を収めたこともあって、日本中から集まったファンは、コロナ禍の困難を乗り越えて、勝利に向かって戦い抜いた選手たちを称えて大きな声援を送っていた。

今回のイベントで最大のサプライズは、2022年1月の『東京オートサロン』でお披露目されたばかりの「シビックタイプR」が2台並んで走行するシーンだ

サーキットだからこそ体感できるレースの魅力

早朝、名古屋を出るときは雪模様だったけれど、鈴鹿に着くと、青空が広がっていた。正直、前日まで、現地に取材に足を運ぶべきか逡巡したけれど、「レースの魅力はサーキットで取材してこそ」と再認識し、心がフワッと軽くなった。

レーシングマシンが走り抜ける姿を目の当たりにすると、ワクワクする。MotoGPのレーシングバイクやSUPER GTのレーシングカーが目の前を走り過ぎるときの轟音が、青空を突き抜けていくように聞こえる。コロナ禍で閉じこもりがちだった気持ちが一気に解放された気分になったし、なによりも、ファン同士が熱気を共有できるのもサーキットのいいところだ。

ホンダが1年間のレース活動の総括として、ファンへの感謝を込めて開催する『Honda Racing THANKS DAY(以下、サンクスデー)』は、ホンダ・ファンの間では、毎年、恒例のイベントである。

元々は、世界中からホンダに乗るレーシング・ドライバーやライダーが集まって、1年分の応援への感謝を込めて、ファンやスポンサーの前で、さまざまなカテゴリーのレーシングカーやモーターサイクルの走行シーンを披露するものだ。実際、コロナ禍となる直前の2019年の同イベントでは、その年にSUPER GTに参戦していたジェンソン・バトンや、(当時)F1ドライバーのダニール・クビアトといった有名選手が来日したこともあって、1万7500名ものファンが駆けつけた。

四輪だけでも、世界最高峰のF1から軽自動車「N-ONE」によるワンメイクレースまで幅広いレースに携わっている。二輪はさらに筋金入りで、1959年に歴史ある『マン島TTレース』に参戦して以降、世界最高峰であるMotoGP、オフロードの『全日本モトクロス選手権』や『ダカールラリー』、50ccの原付用エンジンをベースとした車両で1リッターのガソリンで走行できる距離を競う『Honda エコ マイレッジ チャレンジ』のような参加型環境競技まで、幅広い層にモーターサイクル競技の楽しさを提供している。

image

2021年シーズンにシリーズ優勝を果たしたF1マシンも登場。昨シーズンをもって参戦を終えたため、有終の美を飾った形となった

今年は、あいにくコロナ禍ゆえに、日本国内を活動拠点とするドライバーやライダーに参加が限られたものの、『全日本スーパーフォーミュラ選手権』でドライバーズ・チャンピオンを獲得した野尻智紀選手をはじめとする人気ドライバーやライダーが一堂に会した。日本全国という言葉が大袈裟ではないほど、まさに各地からファンが集結する一大イベントであり、2021年シーズンは特にホンダが30年ぶりにF1でタイトルを獲得したこともあって、ファンにとっては待ちに待ったイベントとなった。

image

本田技研工業を率いる三部敏宏社長

開幕セレモニーには、ホンダの代表取締役社長である三部敏宏さんが駆けつけて、ファンへのメッセージを伝えた。

「本日は寒い1日でありますが、ホンダレーシングサンクスデーにご来場頂きまして誠にありがとうございます。昨シーズンは二輪、四輪あわせてチャンピオン獲得ならびに好成績を挙げることができました。今シーズンは二輪と四輪をあわせた新生HRC、ホンダとしては新体制のもと、二輪・四輪、参加するすべてのカテゴリーにおいてチャンピオン獲得を目指して頑張っていきたいと思います。引き続き応援のほど、よろしくお願いいたします」(三部社長)

もちろん、コロナ禍において、大規模なイベントを開催することには、大企業ゆえのレピュテーションリスクを案じる声もあっただろう。実際、2020年シーズン後の同イベントはオンライン開催だったし、2021年シーズンを終えて次のシーズンに向けて「2021-2022」と題された今回のイベントも、開催前と開催中に参加者の体調確認をオンラインで行うという厳重な管理体制を敷いて開催されたのだ。

晴れたとはいえ、この年一番の寒波の影響を受けて、「鈴鹿サーキット」には寒風が吹き荒んでいたのだが、観客席にはソーシャルディスタンスを取ってファンが並んでいる。

実際、パドックで取材をしていると、足元から深々と冷える。本気で寒い。それでも、私たちメディアはまだ歩き回れるだけ暖かいのかもしれない。観客席のファンは、走行シーンを一瞬でも見逃すまいと、寒空の中、防寒ウェアに身を包んだり、ブランケットに包まったりするなどし、黙々と応援している。前回の開催から2年3か月ぶりということもあって、大声を出して声援を送れない代わりに、「HRC」の旗を目一杯にふって応援しているファンの姿には、同じクルマ好きとして、心を打たれた。

ファンによる参加型イベントも実施

また、今回はファンの参加型での対決プログラムが用意されていたのが面白かった。レーシングカーのデモランの合間に、ホンダのライダーやドライバーがTeam RedとTeam Blueの二手に分かれて、7つのプログラムで対決した結果を集計して、合計ポイントで勝敗を争うというものだ。チーム対抗戦プログラムの順位に応じて、ポイントが加算されることに加えて、Twitterを活用して、ファンがチームを応援することで“ファンブースト”なる特典が加算される。

image

MOTO GPで活躍したレーシングマシンをはじめ、今シーズンを戦ったマシンをライダーたちが駆って鈴鹿サーキットを走り抜けた

ちなみに、筆者は、MotoGPきってのイケメン・ライダーとして名高いマルク・マルケス選手の大ファンだが、今回はあいにく来日が叶わなかった。そこで、若手のイケメン選手に注目。インタビュー時のハスキーボイスが魅力の大城魁之助輔選手がRed、ヤマハからHRCへ移籍してきた大倉由揮選手がBlueと、注目のイケメン・ルーキーが両チームに分かれてしまったため、悩み抜いて、どちらも応援してしまうことにした。

ファンにとっては、対抗戦の勝ち負けにこだわるより、ホンダに乗ってシーズンを戦い抜いた選手たちに送ってきた声援の総決算という気持ちだからだ。そんなファン心理が伝わったのか、選手たちもまた、普段の緊張したレース時の面持ちとは違って、満面の笑顔でマシンを操っていたのが印象的だった。

image

トライアルマシンでは、観客席もどっと沸くほどのアクロバットが披露されていた

冒頭でも書いた通り、コロナ禍において、ファンの中でも、大規模なイベントに参加していいか悩む人も多いだろう。主催者側にとっても、感染対策を行った上での開催は、かなりの苦労があったと思う。ただ、ホンダのレース活動にとって節目となるシーズンだっただけに、長年、応援し続けているファンへの感謝を込めて、イベントを実施したホンダの気概を評価したい。前回のサンクスデーの開催から2年3か月もの間、応援し続けきたファンにとっても、選手の息遣いが伝わるリアルなイベントの開催は嬉しいに違いない。

それでも今回はまだ、声を出しての応援の制限やソーシャルディスタンスを取るなど処置は設けられていたため、本来の熱気を取り戻したとは言い難い。近い将来、コロナ禍が収束し、ファンと選手たちがまた気兼ねなくサーキットに集える日が来ることを願ってやまない。

image

ホンダといえば、二輪と四輪ともに世界最高峰のレースに打って出ている数少ないメーカーである。ショーランでは、ファン垂涎のレプソルカラーのMotoGPマシンや、30年ぶりに優勝を果たしたF1マシンなども揃い踏みだった

image

HRCテストライダーとして活躍する長島哲太選手がレプソルカラーのMotoGPマシンを駆って登場。ホンダ「RC213V」に搭載される水冷4ストロークDOHC4バルブV4エンジンの音色が鈴鹿の空に響いた

image

2022年『ブリティッシュスーパーバイク選手権』に参戦する高橋巧選手と水野涼選手がホンダ「CBR1000RR-R Fireblade SP」で現れた

image

三重県出身の小川友幸選手と、叔父も兄もトライアル選手である氏川政哉選手の2人のライダーが、アクロバットなトライアル競技の魅力を伝えるプログラムを披露した

image

サプライズで、「シビックタイプR」のデモ走行に立ち会えたのは、嬉しい誤算だった

写真/Honda

author's articles
author's articles

author
https://d3n24rcbvpcz6k.cloudfront.net/wp-content/uploads/2021/08/002.jpg

ジャーナリスト/戦略イノベーション・スペシャリスト
川端 由美

工学修士。住友電工にてエンジニアとして務めた後、自動車専門誌『NAVI』の編集記者に転身。『カーグラフィック』編集部を経て、ジャーナリストとして独立。自動車を中心に、新技術と環境問題を中心に取材活動を行なう。海外のモーターショーや学会を積極的に取材する国際派でもある。戦略コンサル・ファーム勤務後、戦略イノベーション・スペシャリストとして、再び、独立。現在は、ジャーナリストとのパラレル・キャリア。近著に、『日本車は生き残れるか』講談社刊がある。
more article
media
【総論】ミドルクラスは電子レンジ機能がどれも優秀オーブンや独自機能で個性が際立つ
ANNEX
date 2024/11/20