今回紹介するリコー「RICOH Image Pointer GP01」は、手持ちで使えるハンディサイズの超小型モバイルプロジェクター。LEDを光源に使ったミニサイズのプロジェクターは10年以上前から存在しますが、手に持って使うというアイデアはこれまで聞いたことがありません。さっそくお借りして、その使い勝手をチェックしてみました。
一見するとコンパクトなモバイルプロジェクターだけど…?
まずはハンディサイズということで、実際にどれくらいの大きさ、重さなのかを確認していきましょう。大きさは成人男性なら余裕で手に握り込めるくらいのサイズで、重さは実測で約204g(公称値は205g±10g)でした。
感覚的にはコーヒー缶くらい? 問題なく「ハンディ」と謳えるサイズ感です。形状も持ちやすいように底面に指がかりとなる突起があるなど配慮されています。
本体全面には映像を出力する投影レンズを配置。投影サイズは25~80型で、投影面(壁)との距離が約0.6mで25型、約2mで80型となるようです。
なお、ピントは左側面のダイヤルを使って手動で調整します。ソフトウェアでの台形補正にも対応します。
操作ボタン類は手に持ったときに親指で操作できるあたりに集中。真ん中に電源ボタン、その下にメニュー画面呼び出しボタン、台形補正ボタン、入力切換ボタンが並んでいます。
そして、電源ボタン上の大きなボタンを押すと表示を瞬間的にオン/オフできるのが、「RICOH Image Pointer」の大きな差別化ポイントの1つになっています。
通常のプロジェクターで表示をオン/オフするには電源をオン/オフするか、投影レンズを手で隠すなどしなければならなかったのですが、「RICOH Image Pointer」ではこれをボタンひとつで行えるのです。
あらかじめ電源を入れておいて待機させておいたり、一瞬だけ手を離してどこかに置いておきたいとき(ポケットの中にしまっておきたいとき)など、思った以上にこの機能が便利でした。
本体背面には充電用のUSB Type-C端子と外部機器接続用のHDMI端子を用意。HDMI端子はマイクロ端子ですが、きちんと変換用のコネクタが付いているのがうれしいですね。
で、実際に壁面に投影するとこんな感じ。
明るさや画質は、一般的なミニサイズのモバイルプロジェクターと比べて平均的なレベル。部屋をちょっと暗くしてあげれば日中でも充分に利用可能でした。解像度はFWVGAなので、スマホの画面を写すにはちょっと物足りないのですが、このサイズのモバイルプロジェクターとしては一般的なレベルでしょう。
本体底面には三脚穴が付いているので、市販の三脚でしっかり固定して投影することもできます。
なお、バッテリー駆動時間は公称約80分。外部バッテリーに接続してあげれば、より長時間の連続再生も可能です(ただし、投影しながらの充電は不可、あくまで給電のみ)。
思った以上にいろいろな使い方ができるかも?
一応、HDMI端子も搭載している本機ですが、メインの映像ソースはスマホです。内蔵Wi-Fiでスマホと接続して、ミラーリングした画面を投影するというのが基本的な使い方となります。
ちなみに対応OSは公式のWebページによるとiOS(OS標準のミラーリング機能を使用)のみとなっていますが、手元にある何台かの製品で試したAndroidからも「キャスト」が可能でした。というか、入力切換ボタンを押すと「Android」のモードもあったりして。要はすべてのAndroidで表示を確認できていない(=保証できない)といったところなのでしょう。
スマホとの接続は電源オン時に表示されるアクセスポイントにスマホから接続するだけでOK。とくにアプリなどをインストールする必要はありません。ですので、その場で友だちのスマホをつないでもらうなんて使い方もハードル低めでいけちゃいます。
何より、ミラーリング機能でつなぐので、スマホの画面に映せるものなら何でも投影できるのが最大のメリットと言えるでしょう。自分で撮った写真や動画はもちろん、スマホのUIやYouTubeやNetflixで配信されている映像作品(Wi-Fi接続時は著作権保護された一部コンテンツが再生できない可能性があります)、地図、ビジネス文書、もちろんゲーム画面なんかも表示できます。
ちなみに本体側面にはスピーカーも搭載されているので、音の出るコンテンツの再生も問題ありません(音質、音量はそこそこってところです)。
さて、問題はこれでなにをやるか、です。
まず当たり前ですが、普通のモバイルプロジェクターでできることは一通り対応可能です。キャンプに持ち込んで写真や動画再生を楽しんだり、天井に動画を投影して寝ながら動画を観たりなんてことは当たり前にできます。もちろんビジネスで使うのもOK(なにせ「リコー」製ですしね)。
でもせっかくなら、「モバイル」よりもさらに手軽な「ハンディ」プロジェクターならではの活用法を考えたいところ。
リコーの公式Webページでは、白地のTシャツに映像を投影するとプロジェクションマッピングみたいで盛り上がるというアイデアが紹介されていましたが、確かに面白そうですね。
また、飲み会などでサッと取りだして大画面で写真や動画を共有するという使い方もできそうです(「密」対策にもなる?)。手に持って使うというスタイルなので、あまり大げさにならず、カジュアルに使えるのも良いところ。
ワンタッチで表示をオン/オフできる特長を使えば、こんな使い方もできます。表示オン・オフで忍者がドロンと消えるのが見どころです(笑)。子どもと遊ぶのにちょうどいいかもしれませんね。
動画
同じリコーの全天球カメラTHETAアプリと連携すればこんな使い方も? 後半の「RICOH Image Pointer」と一緒に映像を動かすやり方はちょっとVRっぽい? 以下の動画では枠に収めるために壁の近くでやりましたが、実際には壁から少し離した方が映像がダイナミックになって楽しかったです。
動画
日が沈んでからしかできませんが、ナビアプリを路上に投影しながら道案内するなんて使い方もアリですね。
……と、こんなふうにアイデア次第でさまざまな活用法ができるのが「RICOH Image Pointer」の面白さなのだと思います。
新しい可能性を感じさせるオンリーワンのプロジェクター
全天球カメラを誰もが楽しめるカタチで提案した「RICHO THETA」シリーズや、モノに直接プリントできる「RICOH Handy Printer」など、定期的にこれまでになかったような個性的なガジェットを発売するリコー。「RICOH Image Pointer」もそんなリコーらしいオンリーワンのアイテムだと感じました。
さて、そんな「RICOH Image Pointer」の気になる価格は、直販サイト限定販売で5万9400円。同クラスの小型モバイルプロジェクターは3万円前後から売っているので、ちょっと(かなり?)割高ですね。
ただ、その代わりこれまでのモバイルプロジェクターではできなかったようなさまざまな活用方法ができるもの事実。ハンディにするだけでプロジェクターがこんなに楽しくなるのかという発見はとても新鮮でした。
自分ならもっと「RICOH Image Pointer」をナイスに活用できるぜというアイデアのある方に使ってみてもらいたいですね。新しい使い方を思いついたらぜひ教えてください!
製品貸与:リコー