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ファッション

ポスト・パタゴニアはコレ!

スタイリストの僕が惚れ込んだ、買うべき「名品ショーツ」

author: 平 健一date: 2021/08/09

「メンズの定番ショーツと言えば?」。この問いに対して一番多い回答は「パタゴニアのバギーズ・ショーツ」だと思う。定番中の定番としてその地位も不動のものにしているが、常に新しいモノや新定番、隠れた逸品を探究していくのもスタイリストの務めだ。そんななかで僕が出会った、ここ数年愛してやまないとっておきの新定番ショーツを紹介しよう。

パタゴニア「バギーズ・ショーツ」に代わる新定番

毎年、僕がショーツを履き出すのはだいたい5月から。そのまま10月ぐらいまで履いているから1年の半分はショーツで過ごしている。よって、1シーズンで数十着を着回している計算だ。仕事柄、洋服はたくさん持っている方だけど、やはりショーツの数は圧倒的に多い。気に入ったアイテムはカラバリはもちろん、別注やコラボなど同型のモデルを集めているし、アウトドアからトレランまでブランドの幅も広く、それぞれのアイテムのメリット、デメリットも熟知している。

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今シーズン着回しているものだけでも、トレランの新鋭ブランド「MOUNTAIN MARTIAL ARTS(マウンテン マーシャルアーツ)」、2020年にローンチしたばかりのスポーツブランド「HERENESS(ヒアネス)」、20年以上前のビンテージモノの「GRAMICI(グラミチ)」や「山と道」「STONEMASTER(ストーンマスター)」、定番の「patagonia(パタゴニア)」「THE NORTH FACE(ザ ノース フェイス)」など、とにかくいろんな型を着るようにしているし、機能性とデザインの両方を担保しもっとも楽に履けるアイテムを探し求めている。

大定番の「パタゴニアのバギーズ・ショーツ」は、シンプルな素材に絶妙なサイズ感、豊富なラインナップと、30年以上の歴史を持ち世界中で愛され続けている。そして、パタゴニアというブランドを語るうえでも欠かせない逸品だ。しかし、そのバギーズ・ショーツの牙城を崩すポテンシャルを持っているショーツはいくつもあると思っている。バギーズ・ショーツは3ポケットとシンプルな設計だけに収納力には欠けるし、素材面においても昨今のアウトドア業界の“機能性素材最前線”のトレンドをカバーするほどのパンチ力はない。また、定番なだけにカブりのリスクは避けがたい。

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そこでここ数年、僕がフィーチャーしているショーツが「GRIP SWANY(グリップスワニー)」の「ギアショーツ」。年々人気を博し今シーズンは12色各4サイズのバリエーションに加え、別注やコラボアイテムが発売されれば即完売するほどの人気だ。そして、一番の特徴である9ポケットの利便性は、使い倒してこそその価値が分かる。このグリップスワニー「ギアショーツ」は、「バギーズ・ショーツ」に取って代わる“ショーツの新定番”となる可能性が十分にあると思っている。

キャンプウェアのパイオニアとして「グリップスワニー」

古参のキャンパーにとって「グリップスワニーと言えば、焚き火グローブ」「焚き火グローブと言えば、グリップスワニー」という印象が強いかもしれないが、グリップスワニーは昨今のトレンドでもある「キャンプウェア」というジャンルにおいてもパイオニア的存在だ(ちなみに、創業はアメリカで170年以上の歴史を持つ。現在は日本のスワニーという会社がブランドホルダー)。今でこそ、「難燃性」「ファイヤープルーフ」を謳うキャンプウェアは数多くあるが、焚き火グローブで培ったノウハウをウェアに落とし込むことは、グリップスワニーにとって想像に易い筋書きだったと思う。

2008年、これまでにはなかったキャンプ用ウェア、焚き火用ウェアというカテゴリーで焚き火に強いウェアを開発しキャンプ市場に展開した。その「キャンプウェア」の一環で誕生したのが、この「ギアショーツ」。難燃性のキャンプパンツやポンチョをリリースしていくなかで、キャンプウェアを手がけて10年目の年、2018年にデビューした「ギアショーツ」は、キャンパーたちに心を掴んだ。

ポケットの数はなんと9つ。両サイドに配したワイドポケットや、さまざまなギアを収納することを想定した大小のポケットと、この多すぎるとも思える収納力がキャンプファンのニーズにマッチした。

僕がこのパンツを寵愛しているのは、これさえ履いていれば、ビジネスでもプライベートでもすべてものを携帯でき、手ぶらで過ごすことができるから。サイフ、小銭入れ、ハンカチ、カギ類、スマホ、名刺入れと、これだけ入れてもまだ空きがある。それでいて、立ったり座ったりすることが多いキャンプシーンを想定して座っても干渉の少ないところにポケットの多くが配置されている。これは普段使いならクルマの運転のときはすごく重宝している。

それに加えて、生地に使われているsupplex®︎(サプレックスナイロン)の機能美は、昨今の機能性素材トレンドにおいて目を引く存在だ。高い耐摩耗性と、撥水・速乾性、通気性、天然素材に近い質感、そしてUVカットという充実ぶり。我が家で洗濯をすると、各社の機能性素材のウェアが物干し竿にぶら下がるのだが、「ギアショーツ」の速乾性は群を抜いている。

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そして、もうひとつ。僕が「ギアショーツ」を推している理由にさまざまな別注規格による豊富なバリエーション展開にある。なかでも近年、発売数日で即完売となる「the Apartment」「atmos」「Koti」「ROOT CO.」といったブランドとのコラボレーションは、ファッションからアウトドアまで、「ギアショーツ」の実力が幅広いジャンルで評価された証拠だと思っている。

さまざまな表情を見せるグリップスワニー「ギアショーツ」

ブランド間の別注にはさまざまな経緯や背景があるが、ことグリップスワニー「ギアショーツ」においては、それぞれのブランドの個性が色濃く反映されていると思っている。発売後に即完売となった「the Apartment」との別注モデルは、同ブランドらしいストリート感を継承し、ワンサイズ大きめのサイジングで展開。スワニーイエローとHIPHOPスラング、ニューヨークのシンボルといったいくつもの意味を含んだこだわり抜いたカラーリングに、同店のオリジナルブランド「STABRIDGE」のロゴが映える一着だ。このカラーは、僕が持っているなかでも一番のお気に入り。

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また、「atmos」との別注モデルはスニーカーフリークたちの琴線に触れる仕様になっている。スニーカーの差し色をピックアップしてジッパーの色にインストールし、レオパードやジラフ、タイガーなど柄モノは同柄のスニーカーとのマッチアップを可能にする遊び心のあるラインナップを展開している。 ほかにもさまざまなブランドとのコラボレーションを繰り返しているが、いずれにおいても「9ポケット」と「サプレックスナイロン」というギアショーツの基本形は崩さず、この型があらゆる方面で評判を呼んでいるのは、この唯一無二のショーツの機能美がいかに完成度の高いものかを示しているのだと思う。他ブランドとの別注規格には、僕もディレクターとして関わっているものもあるが、手前味噌であることを重々承知のうえで、それを差し引いても推したいアイテムだ。

文・山田卓立 写真:下城英悟

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スタイリスト
平 健一

ファッションはもちろん、アウトドアからインテリアまで、幅広いフィールドでスタイリングを担当。雑誌、広告をはじめ、最近ではセレクトショップ「平屋」のディレクションや自身のブランド「TSPEC GEAR」も立ち上げる。アパレルブランドのプロデュースやアドバイザーなど、多岐にわたって活動中。
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